読書感想文#2 『うろんな客』
こんにちは。
一週間が早く、過ぎ去って行きました。今週は色々とあって投稿ができませんでしたが、仕事的にとてもいい一週間であったと思います。
今回、本を紹介するにあたって本棚を引っ掻きまわして見たんですけど、やりたい本に出会えず。。。
紹介する本を探すとき、その時の気分とかあるんですよね。移り気なんです。
ただですね、ふと思い出したことがありました。
昨年の12月前半ですかね、銀座の外れにあるヴァニラ画廊という場所に行ったんですよ。
そこで開催されていたのが、「シリアルキラー展2020」でした。
その時のパンフレットです。
世界中の猟奇犯罪者が創った美術。いわゆる「アウトサイダーアート」ですね。(アール・ブリュットとも言いましたっけ)
その時の物販でなんとエドワード・ゴーリーのコーナーがあったんです!!!!
絵本をかじったことのある方なら、多分知っている方は多いですよね。
『ギャシュリークラムのちびっこたち』
『おぞましい二人』
『ウエストウィング』
以上の作品は有名で、様々な媒体で紹介されていたように思います。
(オリエンタルラジオの中田敦彦さんのYoutubeでも紹介されていましたっけ)
このように、様々な作品がある中で、私は『うろんな客』という絵本を選びました。
鉤鼻頭の変な生き物がやってきたのはヴィクトリア朝の館・・・
と解説文がありました。
やってきて、どうするの?って感じですよね。
ただ、今回の作品に関していえば、ネタバレ厳禁で感想を書くことがとても難しいと感じました。それは、エドワード・ゴーリーの世界観であったり、描写、言葉の韻などが、既読のひとにしか伝わらないように思うからです。(絵本で感想文って割と難しいな。)
※以下、ネタバレを含みます。
『うろんな客』はエドワード・ゴーリーが著した、1957年刊行の絵本です。
描写は、極めて細いタッチの線で描かれたモノクロームの絵で、文章自体は韻を踏んでいて、詩的な文章です。
面白いのが、それを翻訳する際、七五調で翻訳されています。
あきのたの 5
かりほのいほの 7
とまをあらみ 5(6だけど)
わがころもでは 7
つゆにぬれつつ 7
日本的な表現の一つですよね。
海外の作品の翻訳では、割と七五調が使われていることが多いです。
この作品の内容は、2行で説明できます。
「うろん(胡散臭いとかそういう意味)な客が、急に館にやってきて、いたずら惚けているうちに17年の年月が過ぎました。」
は?
って感じですよね。
ただこれが面白いんです。
つらつらと、うろんな客が館を荒らしている描写が最後まで続きます。
最後の一文がこうです。
「ーというような奴がやってきたのが17年前のことで、今日に至っても一向にいなくなる気配はないのです。」
17年も家荒らしを黙ってきたの?自分から追い出そうという気はないの?ってブチギレしたくなりますが。それはまた別として・・・
知り合いにこの本を読ませたことがあるんです。その知り合いは一つの解釈を提示したんです。
「この客はこども」
とても腑に落ちる解釈でした。
突然現れる生物。
家中を引っ掻き回す。
17年も一緒に暮らして追い出されない。
「館の夫婦の新しいこども」
これは非常に腑に落ちました。
まぁ、腑に落ちただけなんですけどね。
『ゴドーを待ちながら』の時も示したんですけど、この手の作品って「不思議」とか「違和感」とかそういう不条理を楽しむものだと常々思ってしまうんですよね。
うろんな客がこどもでもいい。それ以外でもいい。
ただ、エドワード・ゴーリーの世界観「倫理」とか「常識」とかそういう観念を徹底的に冷淡な目線を感じ取ることができるか。詩的な表現と繊細なタッチを楽しめるか。
私は、この作品を読んでそういう風に感じました。
以上!!!
後記
書き出しの段階では、特に決まってなくてダラダラと色々な情報を書き込んでしまいました。
シリアルキラー展、めっちゃ面白かったです。ジョンウェイゲイシーとか、アイリーンウォーノスとか。結構異様な雰囲気でした。キリスト者ではないですが、神に背中を向けたような気分になりましたね。おそるべきヴァニラ画廊。
アール・ブリュットについても調べてみようかな。いつか、noteで投稿できるくらいになったらいいな。
美術系の話もしたいですね。せっかく絵本っていうメディアを選んだのもありますし。
あ、どうでもいいんですけど今朝何度目かのバックトゥザフューチャーpart1を見ました。
ふと思ったのが、タイムスリップした後のゴミ箱の新聞を見て1955年に飛んだことを知るシーンの元ネタってどこからきてるんでしょうね。
ありがとうございました。