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運を哲学する / 小川仁志
運のパターンを知れば対処がわかる。哲学者が考える、不運がチャンスに変わる逆転思考!漫画やアニメが教えてくれた哲学の知恵。
この記事では、2024年6月20日発売の、小川仁志 著『運を哲学する』のはじめにを公開いたします。
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はじめに
運に左右されずに生きるために
はじめにいっておきますが、人生は不平等です。親、生まれた国、時代、友達、上司……何もかもが運で決まります。そんな運に左右されて、つらい人生を送る。これが現実です。でも、一生そのままでいなければならないわけではありません。少しだけ考え方を変えて、少しだけ行動することで、人生は大きく変わるのです。
そのためにヒントを与えてくれるのが、哲学にほかなりません。なぜなら哲学は私たちの視点を変えてくれるツールだからです。あまりそんなふうには認識されていないのがもったいないところなのですが、実際これまで私は哲学を使って多くの悩みを解決してきました。
学生をはじめ、身近な人たちの悩みはもちろんのこと、テレビや新聞などの媒体でも様々な人たちの悩みを哲学で解決してきた実績があります。でも、これは決して私の業績ということではなくて、哲学そのものの業績だと思うのです。
私がやっているのは哲学的なモノの見方を紹介することだけです。ただ、それだけで人の気持ちはガラッと変わるのです。そうして前向きになれます。哲学は、決して現実を変えることのできるマジックのようなものではありません。
しかし、物事の見方を変えるヒントを提示することで、気持ちを変える手助けはできます。この世のほとんどのことは、実際に変えるのは困難です。お金がないからといって、急にお金を生み出すことはできないでしょう。病気だからといって、急に健康になるのも不可能です。
それでも、前向きに、幸せに生きていくことは可能なのです。気持ちを変えることによって。哲学はそのために存在するのだと思います。
この世の中には、自分で選択できないことのために悩んでいる人たちがたくさんいます。あるいは、制限のある中での選択しかできなかったがために、苦しんでいる人たちがたくさんいます。
社会で不公平・不平等な扱いを受けて不満を抱いている人たちや、運のいい他者をうらやみ、悶々とした日々を送っている人たちもいるでしょう。そんな多くの人たちに、運に左右されることなく前向きに生きてもらうためのヒントを提示するのが、本書の目的です。その目的を実現するために、ここではある仕掛けを用意してみました。それは哲学に加え、子どもの遊び、漫画やアニメを掛け合わせた点です。
目次を見てもらえばおわかりかと思いますが、各章はガチャガチャ、駄菓子屋のくじ、アトラクション、カードゲーム、花いちもんめといった子どものための遊びで分けています。実は私たちは、子どもの頃から割と酷な遊びをしていたのです。
ガチャガチャをしてもなかなかお目当てのものが出てこない。駄菓子屋のくじでハズレを引く。乗りたい乗り物に乗れない。カードゲームで弱いカードが回ってくる。花いちもんめで選ばれない。しかもこれらの遊びには、それがなぜ酷なのか、異なる理由があります。
単に運が悪いのか、自分が悪いのか、はたまた自分次第で状況がよくなるのか。本書では、そうした子どもの遊びの特徴を基準にして不運な状況を割り振ってみました。それは、誰もが意外と、昔からそうした人生の不運なゲームにさらされていたことに気づいていただきたいからです。そして、あたかもゲームと同じように、なんとかなるということに気づいていただきたいのです。
これら子どもの遊びについては、それがどういう意味を持つのか、各章の冒頭で少し解説していますので、ご自身の子ども時代を思い出しながら振り返ってみてくださいね。
ちなみに、昔の遊びとはいえ、その要素はすべて現代のオンラインゲームなどに引き継がれています。ガチャガチャの発想がオンラインゲームのガシャポンとして使われているように。つまり、子どもの遊びは今も昔も同じなのです。ここではそれぞれの遊びの本質に気づいていただくために、あえて昔の遊びを切り口にしています。
少し前に「イカゲーム」という韓国ドラマが話題になりましたが、あれもまた昔の子どもの遊びを切り口に、現代の競争社会や運に左右される人生の不条理を描いたものでした。あのドラマが世界的にヒットしたのは、つまりどこの世界でも、人は子どもの頃から不運を乗り越えるための試練を強いられていたということの証でしょう。
さらに本書では、そんな不運を乗り越えるためのイメージを持ってもらうために、もう一つ工夫をしています。それは、各項目ごとにあえて漫画やアニメの登場人物に言及し、彼らの奮闘を具体例として挙げている点です。漫画やアニメは設定が極端なだけに、わかりやすいというメリットがあります。
人生の不運というとどうしても重い話になるのですが、重くなり過ぎないように、ぜひくすっと笑いながら、自分に状況を重ねてみてください。そして不運を乗り越えるためのきっかけにしていただけると幸いです。
なお、誰もが知っているような定番の作品から、少しマニアックな作品までチョイスしていますが、作品自体を知らなくても理解できるようになっていますので、ご安心ください。時に笑いながら、時に感動しながら、運に抗う方法を学んでいただけることを願っています。
それではお待たせしました。最後は昔の紙芝居の口上風に。寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、哲学、子どもの遊び、漫画・アニメを組み合わせた運を乗り越えるための楽しい方法、いよいよ始まるよー!
小川仁志
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目次
第1章
ガチャガチャパターンでの不運に抗う
一発勝負で運命が決まり交換不可能!
ガチャガチャ運を哲学する
親ガチャ─九鬼周造×「天才バカボン」
その運命に置かれた「自分」を愛する
国ガチャ─カミュ×「進撃の巨人」
あがき続けることで生を肯定する
時代ガチャ─サンデル×「鬼滅の刃」
価値観を転換して正しさの意味を変える
身体ガチャ─メルロ=ポンティ×「どろろ」
心と世界をつなぐものとして身体を捉える
病気ガチャ─アラン×「キャプテン翼」
強い意志を持って病に打ち克つ
第2章
駄菓子屋のくじパターンでの不運をひっくり返す
アタリを引いたつもりがハズレ!?
駄菓子屋のくじ運を哲学する
学校ではずれた─サルトル×「花より男子」
選択できることを喜び、自分の選択を信じる
結婚ではずれた─ショーペンハウアー×「わたしの幸せな結婚」
諦めが幸福を引き寄せる
住む場所ではずれた─荘子×「魔女の宅急便」
本当は選択肢などなかったと考える
買い物ではずれた─モラン×「ロン僕のポンコツ・ボット」
詩的生き方でハズレを愛する
心身の一致ではずれた─マラブー×「身体改造レシピ」
身体には可塑性があり、変えられると信じる
第3章
アトラクションパターンでの不運をものともしない
多くの人はOKなのに自分だけが条件外で絶対NG!?
アトラクション運を哲学する
体質が普通じゃない─ベンサム×「らんま1/2」
誰もが少数者だと思って声を上げる
性に絡む悩みがある─フーコー×「レビュダン!」
自分らしい生き方を見せて周りを巻き込む
家庭に恵まれない─ヴェイユ×「エヴァンゲリオン」
自分との和解によって不幸を無化する
年齢がネックになる─ガルシア×「恋は雨上がりのように」
激しさで逆境を突き抜ける
余命宣告を言い渡された─デーケン×「君の膵臓をたべたい」
生と死を同列に捉え、死に向き合う
第4章
カードゲームパターンでの不運を逆転する
持ち札は選べないが替えられる!
カードゲーム運を哲学する
顔を変えたい─ロード×「最終フェイス」
容姿の基準など無化して輝く
学び直したい─プロティノス×「ReLIFE」
自分を磨くことで理想の自分に出逢う
貧乏から脱したい─ルッツ×「団地ともお」
やれないことを考えず、むしろ無目的を楽しむ
名前を変えたい─ローゼンツヴァイク×「君の名は。」
その名前の者として生きる
性格をなんとかしたい─三木清×「ドラえもん」
演じることでなりたい自分を手に入れる
第5章
花いちもんめパターンでの不運をはねのける
選ばれなくてもアピール次第で起死回生!
花いちもんめ運を哲学する
愛されない─フロム×「娚の一生」
バイタリティで愛せる人間に変わる
上司や先輩にかわいがられない─ホッファー×「新しい上司はど天然」
相手の心を変えようとせず自分の心を変える
陰キャで誘われない─ニーチェ×「弱キャラ友崎くん」
自分の基準で生きれば強くなれる
評価されない─トウェイン×「宇宙兄弟」
自分を信じてチャレンジし続ける
オーディションで選ばれない─アドラー×「オッサン(36)がアイドルになる話」
勇気を出してみんなで乗り切る
・主な引用・参考文献
・おわりに──結局、運とは何なのか?
お読みいただきありがとうございました。
続きはぜひ本書にてお楽しみください!
本書は全国の書店、ネット書店にて
お取り扱いをしております。
ぜひお手に取っていただけたら
嬉しいです。
小川仁志 著
『運を哲学する』
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小川仁志(おがわ・ひとし)
1970年、京都府生まれ。哲学者。山口大学国際総合科学部教授。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。商社マン、フリーター、公務員を経た異色の経歴。米プリンストン大学客員研究員等を経て現職。専門は公共哲学。NHK Eテレ「ロッチと子羊」などで指南役を務めた。『不条理を乗り越える』(平凡社)、『前向きに、あきらめる。』(集英社クリエイティブ)、『「当たり前」を疑う100の方法』(幻冬舎)他、著書多数。YouTube「小川仁志の哲学チャンネル」でも発信中。