鴨居:かもい #263 辞書の生き物
鴨居
「襖:ふすま」や「障子:しょうじ」など引き戸は溝に沿って動かしますが、引き戸の上側の溝が掘ってある部材のことを「鴨居」と言います。
なぜ「鴨」なのかについてはいくつか説があるようですが、防火の意味を込めて水鳥の鴨を置いたというのがありそうな気がしています。
上側の「鴨居」に対して下側は「敷居:しきい」と呼びます。
こちらは単純に敷かれる側という意味でしょう。
相手に不義理を働いてしまい行きにくくなっている状態を「敷居が高い」と言いますが、高い敷居では入りにくいですね。
同じ行きにくさでも高級店の場合は、「敷居が高い」ではなく「ハードルが高い」でしょうか
最近はバリアフリーになり、敷居は床と同じ高さになっているようです。
敷居側の溝は浅く、上の鴨居側の溝は深く彫られています。
鴨居側の深い溝に襖や障子の上側を差し込んでから、敷居の溝にはめて取り付けます。
一度深く上側を差し込んでから下側を合わせて設置したり、逆に外したりする方式を、建築用語では「行って来い」と言うようです。
為替の世界でも、相場が急激に上がった後に元に戻ってしまう場合に「行って来い」と言いますね。