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辞書の生き物            #5 ミツバチは家畜だった

獣医さんのお仕事

 町の獣医さんには、種々のペットが持ち込まれます。少し前の傾向ではイグアナやカメレオンなど爬虫類も増えていたとか。ペット病院だけでなく動物園、水族館にも獣医さんがおり、それこそ多種多様な動物の健康診断、治療を行っています。しかし大学での獣医の授業で対象としている動物はペットや家畜で、せいぜいイヌ、ネコ、ブタ、ウシくらいですので、ペット病院や動物園の獣医さんは、現場での経験を積んでいく必要があります。初めて診察する動物や病気では治療法や有効な薬もわからず苦労することでしょう。同じ薬でも投与する動物によっては全く逆の作用を示すものもありますので要注意です。動物専用の薬の数は少なく人用の薬も使われますが、一般の人は獣医さんのまねをして使わないようにしましょう。解熱鎮痛薬として人でよく使われるイブプロフェンはイヌでは死に至るケースもあります。

家畜:産業動物

 人の役に立つ家畜の定義は、その生産物(乳、肉、卵、毛、皮、毛皮、労働力など)を人が利用するために飼いならし・飼育繁殖している動物とされています。ニワトリなど鳥類は家禽(かきん)と呼ばれる場合もありますが、最近はまとめて「産業動物」の呼称が使われるようになっています。 法令の「産業動物の飼養及び保管に関する基準」では、産業動物の定義として産業等の利用に供するため、飼養し又は保管しているほ乳類及び鳥類に属する動物をいう、とされています。「家畜伝染病予防法」で対象としている家畜は、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ニワトリなどおなじみの動物に加えて、ミツバチが挙げられています。蜂蜜やミツロウを採取する目的で養蜂家がハチを飼い育てていることが家畜の定義に当てはまるとの考えです。獣医さんはミツバチの病気も治療の対象ということになります。

女王蜂

 ミツバチと言えば、その巣で群れの中心となり産卵するのが女王蜂ですが、いつも取り巻きに囲まれ、その中心的な存在になっている女性の意味で使われます。女王蜂は一日に数千個の卵を産むとされ寿命も数年のようですが、働きバチの寿命は短くて1か月程度だとか。女王蜂が食べているロイヤルゼリーの効果は大きいようです。働きバチがその短い一生で集める蜂蜜の量はスプーン一杯程度と言われています。味わって食べねばですね。日本のサラリーマンも「働きバチ」と呼ばれた時期がありましたが、がんばっても年金だけでは足らないと言われる状況は「働きバチ」の哀愁を感じさせます。

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