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『デジタル時代のマーケティング・エクササイズ』 〜私たちは誰もが皆マーケターなのだ〜

『デジタル時代のマーケティング・エクササイズ』を読了。

「マーケティング」
言葉は誰でも知っている。でも「マーケティング」って何だろう?

マーケティングって、ちょっと説明するのが難しい。
細かいところを全部とっぱらうと、「欲しいと思ってない人に、それを買ってもらうこと」ってことなんだけれど。

いくらなんでもそれは雑すぎるだろ、と突っ込む全ての人のために、本書では丁寧に細かくマーケティングが説明されている。
また、マーケティングではよくある、カタカナやアルファベットの用語もひとつひとつ説明がされていて、わかった気になっていたけど、実はわかってなかった人にも重宝する内容だ。
で、いろいろな説明とともに、それを使った事例が紹介されているので理解しやすい。
特に最後の中国の事例は、私にとっては不知の部分が多く、大変興味深かった。

しかし、用語の説明と事例だけにとどまらないのが本書の特徴だ。
腕時計メーカーや、アマゾンに立ち向かうリアル店舗小売業のマーケターとして、そして旅館の事業を継承する後継者として、私たちがそれぞれの当事者として様々な視点を獲得できるよう、チャプターの最後には設問が用意されている。

その設問を通して私たちは考える。

自社の製品を、サービスを、組織を分析し、競合する他社を分析し、どうすればいいのかを考える。膨大な要素で成り立っているマーケットの中で、自分たちの正解を見つけるために、マーケターは考え続ける。
そうやって脳みそがちぎれるくらい考えた先に見つけた方法を、今度は試す。で、失敗してまた考える。で、また試す。
それを愚直に繰り返していく中で、ある時奇跡みたいにドカーンと当たる時がくる。
でもそれは奇跡じゃない、ひたすら努力を続けることで、マーケターはその場所にたどり着く。

そうして本書を読むうちに、私たちはあることに気づかされる。
どんな方法を考えたって、その根幹には人を思う気持ちがなければダメだってことに。

どんな製品でも、サービスでも、それを届けたいって人を思い描けること、それがマーケティングには一番大事なんだってことに。
いろんな用語や事例で頭を満たして、わかったつもりになってるんじゃなくて、人を想うことから始めること。それがきっと、これから求められるマーケティングだ。

それに、誰かを想い、笑顔にすること、それはマーケティングだけに限った話じゃない。私たちは皆、仕事を、そして暮らしを通して、きっと誰かを笑顔にしている。自分の作ったものが、やったことが、誰かを笑顔にする。それが「マーケティング」ってことかもしれない。ならば、私たちは皆マーケターだ。

そんな、すべてのマーケターたちへの深い愛が、そしてエールが詰まった、これからの時代を生き抜く私たちにとって、必読の一冊。


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