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『不況を乗り切るマーケティング図鑑』 〜コロナを言い訳にしない者達へ〜

『不況を乗り切るマーケティング図鑑』を読了。

誰もが、とにかく、たくさん、考えた、一年だった。

私の家族は、バブル崩壊をきっかけに、10年かけて新しい商品を作り出し、それは今現在、会社の主力商品となっている。
いわゆる「脱下請けを目指して自社商品を開発した中小企業」の先駆けとして、家族は時々講演を頼まれる。
その中でよく「どうしてそんなに続けれられたんですか?」と質問されるらしい。
それに対する家族の回答はシンプルで、「それしかなかったから」だ。
何も問題がなく、日々の仕事が順調であれば、新しいことなんて考える必要はないからだ。

新しいことを考えて実践する。
言葉にするとシンプルだけど、実際、変化することはしんどい。
もし、今までのやり方で通用するならば、そのしんどさを乗り越えるのは難しい。
何か言い訳を探して、同じことを繰り返したほうが楽だからだ。
そう、それでも何とかやっていけるならば。

でも、今年はたくさんの人が、何ともならなくなった。
そして考えた。今だって、考えている。

本書で取り上げられている16社は、それぞれ過去に危機感を持って、新しいことに取り組んで、それぞれのやり方で乗り切ってきた。
会社ごとに危機の形は違う。時代ごとに乗り越え方も変わる。
でも、それぞれがそれぞれのしんどさを乗り越えて、より強くなっていった。それはノウハウとなって、会社の基礎体力を高める。

いつの時代にだって、危機は起こる。だけれど、高い基礎体力があれば、きっとどんな荒波だって乗り越えていける。変化するものだけが、生き残る。

コロナはある意味、いい言い訳にもできる。
誰にも平等に訪れた危機だし、誰が悪い訳でも、誰に責任がある訳でもないからだ。

でも、誰が悪い訳でも、誰に責任がある訳でもない、この状況の中で、それでも必死でそれを乗り越えようとする者達もいる。たくさんいる。
本書はそんな、コロナを言い訳にしない者達のために捧げられた、サバイバル・マニュアルだ。
8つの対策と16の実例は、光となって私たちを導いてくれるだろう。

まだまだ厳しい状況は続く。そしてもちろん、私たちの人生も続く。
言い訳を探して諦めてしまうことはいつだってできるから、その先にかすかでも光が見えるならば、苦しくともそれを目指して歩いて行こう。そのしんどさという負荷は、きっと私たちの基礎体力を高めてくれるはずだから。

激動の一年を振り返り、新しい年にスタートダッシュを切るために、この年末年始にこそ読むべき一冊。


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