岩松勇人プロデュース@ビジネス本研究所:スタンフォードのストレスを力に変える教科書 ケリーマクゴニガル
【スタンフォードのストレスを力に変える教科書】はこんなあなたのための書籍です。
●ストレスを悪だと思い込んでいる人
●ストレスを感じやすい人
●ストレスを解消したい人
●人生の満足度を高めたい人
●パフォーマンスを向上させたい人
【スタンフォードのストレスを力に変える教科書の目次】
Introduction
「ストレスを力に変える教科書」へようこそ
―考え方を変えれば、人生が変わる
1 ストレスを見直すーすべては思い込みー
「ストレスは役に立つ」と思うと現実もそうなる
ストレス反応を最大の味方にする
レジリエンスを強化する
ストレスの欠如は人を不幸にする
忙しい人ほど満足度が高い
2 ストレスを力に変える
―「ストレスに強くなる」とはどういうことか?
向き合う―不安は困難に対処するのに役立つ
つながる―いたわりがレジリエンスを生む
成長する―逆境があなたを強くする
おわりに―新しい考え方は、ひっそりと根を下ろす
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今回は、
「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」
という本を解説します。
ストレスの正しい捉え方、付き合い方
について書かれたものです。
なかには従来の考えとは異なる内容も
含まれていて、にわかには受け入れがたい
部分もあるかもしれません。
ですが、
さまざまな科学的調査や実験データに
裏付けられ、説得力があります
●ストレスを感じたときの反応の種類
●ストレス研究の歴史
●ストレスの源と生きがいは重なることが多い
●ストレスが多い人のほうが、より人生に充実感を覚えている
という調査結果もあるんです。
この本の結論は、
という本のタイトルそのままの内容です。
など、
実験データや調査結果、具体事例などと
ともに解き明かすという内容です。
本書の重要な3つのポイントは次の通りです。
まず1つ目のポイント
1 ストレスは有害ではない
健康心理学者である著者は、長い間、
授業や研究などで「ストレスは有害である」
と述べてきたそうです。
しかしある研究結果をきっかけに、
それまでの考え方を見直しはじめた。
その研究結果は、1998年にアメリカで
3万人の成人を対象に得られたものです。
まず参加者に対して、
ストレスを感じましたか?
ストレスは健康に害を
もたらすと思いますか?
という質問が行われた。
そして8年後の追跡調査で、参加者のうち
誰が亡くなったかを確認した。
その結果、死亡リスクが高まっていたのは、
強度のストレスを受けた参加者のなかでも、
「ストレスは健康に悪い」と
考えていた人たちだけであった。
ストレスそのものではなく、
ストレスをどう捉えているかが、
健康状態を左右する――
こうした考え方は、従来の考え方と
だいぶ違いますよね。
一方で健康心理学者である著者は、
ものごとに対する考え方が健康と寿命に
関係するということを、
他の事例を通して認識していた。
たとえば
「年齢を重ねることをポジティブに考えている人は、
ネガティブに考えている人よりも長生きする」
「他人を信用できると考えている人は、
信用できないと考えている人よりも長生きする」
といったことはわかっていた。
そこで著者は、過去30年間の科学的研究と
調査の内容を詳細に調べ、データを見直した。
そして最終的に、
それまでのストレスについての考え方を改め、
「ストレスを受け入れることが正しい
ストレスマネジメントである」という結論に達した。
2 ストレスには闘争、チャレンジ、絆反応がある
人間のストレス反応は「闘争・逃走反応」
以外にもあると、現在は考えられている。
「闘争・逃走反応」の場合、アドレナリンが
分泌されることで多くのエネルギーを生み、
行動を促すとともに脳を活性化させる。
このときエンドルフィン、アドレナリン、
テストステロン、ドーパミンなど、
何種類もの脳内科学物質が分泌される。
一方でストレスがあっても危険度が低いとき、
脳と体は「チャレンジ反応」という別の状態に変わる。
心拍数が上昇し、アドレナリンが急増し、
気分を高揚させる脳内科学物質が急増する。
ここまでは「闘争・逃走反応」と同じです。
しかし「闘争・逃走反応」と異なり、
集中力は高まるが恐怖は感じない。
この反応は、ストレスから回復したり、
学んだりする効果が高い。
またストレスを感じると、アドレナリンの他に、
オキシトシンという物質が分泌される。
オキシトシンが大量に分泌されると、
大切な人への信頼が高まり、
役に立ちたいという思いが強まる。
加えて、脳の恐怖反応が鈍るので、
困難に対して体が動かなくなったり、
逃げ出したりしなくなる。
さらにオキシトシンの分泌は、
社会的なつながりを求める気持ちや
大切なものを守りたいという気持ちを高め、
そのための勇気をもたらす。
そのためこうした反応は、
「思いやり・絆反応」と呼ばれている。
ストレス度指数の高い国ほど繁栄度も高い、
という調査結果もあります。
この調査によると、大きなストレスを感じながらも、
精神的に落ち込んでいない人の幸福度が
最も高いという。
また別の調査では、
ストレスを感じた経験の多い人ほど、
人生に大きな意義を感じていることが
明らかになっています。
「よし、ストレスが悪いものではないとわかった!」
というあなたのために、
ストレスをどううまく利用していけばいいのか
を解説していきます。
3 ストレスを利用する
多くの人は、ストレスを感じると
パフォーマンスが下がると考えている。
ですが科学的には、ストレスホルモンの
分泌量が多い方が、テストの成績がよかったり、
仕事の成果をあげていたりということが知られています。
ロチェスター大学の心理学教授
ジェレミー・ジェイミソンは、
「ストレスの効果」を検証するため、
大学院進学適正試験を控えた大学生を対象に、
マインドセット介入実験を行った。
学生らはストレス物質の確認のため、
模擬テスト前と後に唾液のサンプルを回収された。
半分の学生は、試験前に
「ストレスを感じるとテストの結果がよくなる
という研究結果がある」という、
ストレスの効果について書かれたメッセージを読んだ。
一方でもう半分の学生は、こうした
マインドセットへの介入を受けなかった。
結果的に、介入を受けたグループは
介入を受けなかった学生に比べて、
テストで高得点を獲得した。
また介入を受けたグループでは、
強いストレス反応が表れた人ほど、
テストの点数が高いという傾向が見られた。
つまり「ストレスの効果」について自覚的になると、
ストレスをうまく利用できたのである。
しかも実験の3カ月後、学生らが本番の
大学院進学適正試験を受験したときも、
両グループの成績差は広がっていた。
このことから、マインドセット介入が成功すると、
その効果は持続するといえる。
この実験結果から
「自分よりも大きな目標」とつながっているほうが、
精神的に安定することがわかった。
目標の持ち方が感情に与える影響は、
時間とともに大きくなります。
そのため「自分のための目標」を追求している人は、
やがてうつ病になる可能性が高い。
一方で「自分よりも大きな目標」を目指している人は、
人生に対する満足度も高かった。
ただですね、
逆境を感じてストレスが莫大になった人と、
逆境がなさすぎてストレスがなかった人は、
うつ状態になる傾向も高いことがわかっています。
まとめると、
ブラック企業にわざわざ飛び込んで働いたり、
引きこもりになってストレス0になることは
リスクが大きくなってしまうということです。
中程度のストレスならポジティブに受け入れて、
プラスのエネルギーに変えていきましょう。
それでは最後におさらいしていきます。
1 ストレスは有害ではない
ストレスそのものではなく、
ストレスをどう捉えているかが、
健康状態を左右します。
ストレスを受け入れることが正しい
ストレスマネジメントです。
2 ストレスは闘争、チャレンジ、絆反応がある
大きなストレスを感じながらも、
精神的に落ち込んでいない人の幸福度が
最も高いといいます。
また、ストレスを感じた経験の多い人ほど、
人生に大きな意義を感じていることが
明らかになっています。
3 ストレスを利用する
多くの人は、ストレスを感じると
パフォーマンスが下がると考えていますが、
科学的には、ストレスホルモンの
分泌量が多い方が、パフォーマンスが高いです。
中程度のストレスならポジティブに
受け入れて、プラスのエネルギーに変えていきましょう。
著者について ケリー・マクゴニガル(Kelly McGonigal, Ph.D. )
ボストン大学で心理学、マスコミュニケーションを学び、スタンフォード大学で博士号(健康心理学)を取得。スタンフォード大学の心理学者。心理学、神経科学、医学の最新の知見を用いて、人びとの健康や幸福、成功、人間関係の向上に役立つ実践的な戦略を提供する「サイエンス・ヘルプ」のリーダーとして、世界的に注目を集める。メディアでも広く取り上げられ、「フォーブス」の「人びとを最もインスパイアする女性20人」に選ばれている。TEDプレゼンテーション「ストレスと上手につきあう方法」は900万回超の再生回数を記録。著書に、20カ国で刊行され日本でも60万部のベストセラーとなった『スタンフォードの自分を変える教室』をはじめ、『DVDブック 最高の自分を引き出す法』(ともに大和書房)、“The Neuroscience of Change"(オーディオ・ブック/未邦訳)などがある。大学での講義のほか、活発な講演活動のかたわら、心身相関を重んじる立場から、グループフィットネス、ヨガの指導も行っている。