詩の4 #パーソナリティ障害
机に定規を置く。スチール製の30cmがいい。
左が0cm、右が30cm。
今日も15cmからスタート。きれいな花を見つけたり、店の感じがよかったりしたら18cmに移動。だれかに微笑みかけられたら19cmへ。
駅で大声をあげている輩がいたり、大きい鞄に押された日には10cmから8cmへ。人生そんなもんだと思っていたし、そんなふうに暮らしてきた。
でも君は。
ひとつの単語が引っかかって、普通の単語が引き金になって、あまりに簡単に一瞬で0cm以下にすとんと落ちてしまう。なんでどうしてとびっくりしている間に、落ちてしまった感情はどんどん深くどんどん暗く、叫び声をあげながらまだまだ深く落ちていく。
まるで誰も知らない井戸の底からものすごい力で引っ張られているように。いったん定規の0cmから落ちたらもう止まらない。ぐいぐい、ぐいぐい。
そこには何があるの、そこには底はあるのですか。
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