『タイムマシンに乗れないぼくたち』(著者:寺地はるな)は麻布中、浦和明の星女子中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容・あらすじを紹介します!
■『タイムマシンに乗れないぼくたち』(著者:寺地はるな)について
この本は、
・コードネームは保留
・タイムマシンに乗れないぼくたち
・口笛
・夢の女
・深く息を吸って、
・灯台
・対岸の叔父
の7編からなる短編集です。
とあるように、孤独すぎずちょっとほっとするような素敵なお話で、大人向けです。
出題された「タイムマシンに乗れないぼくたち」は主人公が小6の男の子です。このお話の中では食べ物が心的描写と関わりがあり、入試問題では、その点を問う問題も出題されていました。
この作品だけでしたら、20分前後くらいで読めると思いますので、小学生の生徒さんには、ぜひこの作品だけ読んでみてください。
他に「深く息を吸って、」が中学生の女の子が主人公ですが、他5編全て大人が主人公です。
寺地はるなさんの作品は『水を縫う』も中学受験で出題されています。下記の記事を参考になさってみてください。
最後のあらすじは、読書感想文を書く際などに参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)
中学受験では、2023年度麻布中、2023年度第1回浦和明の星女子中の国語の入試問題で出題されました。
◆2023年度麻布中学校の国語の入試問題
この『タイムマシンに乗れないぼくたち』からのみの出題です。
最初に「12歳の草児は、両親が離婚して母親と祖母のマンションに引っ越し、転校した学校でもなじめずにいる」という状況の説明があり、最初の約6分の1を除いて途中中略を2回はさみ、この小説の約5分の4が出題されました。
設問形式は、漢字の書き取りが1問、4択の記号選択問題が3問、抜き出し問題が1問、自由記述問題が9問で、全部で13番まで(13番は2問)でした。
記号選択と抜き出しは比較的簡単で、やはり自由記述問題がどれだけ書けるかにかかってくるでしょう。
◆2023年度第1回浦和明の星女子中学校の国語の入試問題
大問1番は説明的文章で、大問2番で、『タイムマシンに乗れないぼくたち』から、最初に、「12歳の草児は、両親が離婚して母親と祖母のマンションに引っ越し、転校した学校でもなじめず、放課後は博物館で過ごしていると、ある日スーツを着た30代の男に声をかけられた」という説明があり、この小説の後半約5分の3が出題されました。
この大問2番の設問形式は、漢字の読みが1問、4択の記号選択問題が7問、抜き出し問題が5問、語句の意味が1問、語句の挿入が2問で問12(問4が2問、問9が2問、問12が3問)まででした。
また、男がお菓子を持っていることを話すシーンから、聖書の言葉「人はパンのみにて生くる者にあらず」の「パン」を自分で書かせる問題がありました。
さらに、「タイムマシンに乗れないぼくたち」というタイトルの「乗れない」を書かせる問題もありました。内容的に考えて解く問題で、本文には男のセリフに「タイムマシンに乗れないんだ」というところがありました。
■『タイムマシンに乗れないぼくたち』のあらすじ(ネタバレ)
12歳の宮本草児は、両親が離婚し、3ヶ月前に母とともに祖母のマンションに引っ越し、学校も転校する。母は夜中まで仕事をし、「お互いに手紙を書こう」と言った父からの手紙もなく、祖母とも慣れず、学校でもほとんど話をすることなく過ごす。草児は放課後博物館で過ごすのが常となり、そこで30代くらいの男に声をかけられる。最初は警戒し応えずに済ますが、博物館の休館日の木曜日に知っていたのに忘れて行ってしまうと、その男とまた会ってしまう。男が持っているお菓子を草児に勧めるが、警戒してもらわずにいると、鞄から次々とお菓子が出され、お菓子をたくさん持っている理由を訊ねる。草児は自分もガムを出そうとすると、こぼれ落ちてしまい、なぜだか涙があふれてしまう。昔住んでいたところの友だちの文ちゃんと力関係に悩んでいたことや、今の学校で誰とも話をすることもできずに過ごすこと、家のことなど、全てが涙となってあふれ出てきてしまったのだ。それを見た男は驚きもせず訊ねもせず、「色々あるよね」と。警戒感が薄らいだ草児は、男と話をし、心が触れ合う。
学校で、担任のTシャツに描かれていた恐竜の絵についてつい話してしまうと、杉田くんという恐竜好きの子が話しかけてきてくれて、杉田くんとは教室で話をするようになる。
母が賞与が出たから外食しようと言い、ファミレスに祖母と3人で行く。すると、博物館で会った男がいた。男も草児に気がつくが、言葉は交わさずに納得する。