『空色の地図』(著者:梨屋アリエ)は公文国際学園中、洗足学園中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容、あらすじを紹介します!
■『空色の地図』(著者:梨屋アリエ)について
この本は、中学生の女の子が友だちとの関係がうまくいかず悩みながら、小さい頃遊んだ友だちと再会して、親のこと、将来のことを考え、前向きに未来の自分へと繋げていこうとするお話です。
読書感想文の課題図書にもなっている本です。
思春期の女の子が悩んだり考えたりすることが、一人称で語られているので、生徒さんたちにとってわかりやすく、とても共感しやすいです。
ただ、友だち関係の悩みなど女の子特有なので、男の子にはちょっと抵抗があるかもしれません。
主人公は14〜15歳ですが、小学生でも十分読んで楽しめます。
大人からすると、もう少し深く事情を掘り下げてほしいと感じる部分もありますが、小・中学生が読むにはちょうどいいボリュームとなっているでしょう。
子どもの頃に紙ヒコーキを飛ばすシーン、中学生になってグライダーの体験飛行をするシーンと、空に地図を描いていくイメージが明るく清々しい物語のイメージとなっています。
詳しいあらすじを最後に書いています。読書感想文などを書く際に参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)
中学受験では、2015年度公文国際学園中学校C入試、2011年度第3回洗足学園中学校の国語の問題で出題されました。
◆2015年度公文国際学園中学校C入試の国語の入試問題
大問1番でリード文あり、第3章〜第4章にまたがって出題され、ハードカバーの本の約15ページ分とかなり長い出題でした。
初音が美凪に会いに行く場面と、親友だと思っていた封子との友情は、実は自己満足でひとりよがりであったことを悔やんでいる場面です。
鉛筆を何本削ってもうまく削れない描写があり、この描写の物語での効果を問う問題などが出題されていました。
この大問1番の設問形式は、5択の記号選択問題が6問、81〜100字の記述問題が1問、40字の記述問題が1問で、全部で8問でした。
大問2番は論説文、大問3番は漢字、四字熟語、熟語の成り立ちで、大問3番まででした。
◆2011年度第3回洗足学園中学校の国語の入試問題
大問2番で、ハードカバーの本の約9ページ分、美凪と初音で、唯尚君のグライダークラブにグライダーを見に行く場面が出題されました。
この大問2番の設問形式は、20字と40字と55字の記述問題、4択の記号選択問題が2問、5つの慣用句の意味を選ぶ問題、4カ所擬態語を選択する問題の全部で8問でした。
大問1番は説明的文章で、大問2番まででした。
■『空色の地図』あらすじ(ネタバレ)
中学3年生の初音のところに、8歳の夏休みに未来の自分に宛てて書いた手紙が届くが差出人がわからない。8歳の夏にいっしょに遊んでいた美凪が送ったのではないかと、初音は美凪のところへ行ってみることにする。おじさんのタカちゃんに美凪の居場所を調べてもらって、行ってみると、シャドーボクシングをしながら歩いている男の子みたいな子が美凪だった。美凪は8歳の頃いっしょに遊んだときは、泣いてばかりいる子だったのに、話し口調も男の子で、全然変わってしまっていた。初音は封子という学校の友だちのことでずっと悩んでいた。8歳の頃美凪と遊んでいたときも、今と同じように美凪を傷つけていたかもしれないと思い、会えたら謝ろうと思っていたのに、美凪は初音のことを覚えていないようだった。はるばる電車に乗って行ったのだが、初音はがっかりして、家に戻る。
その後、初音の家に美凪から電話が入る。美凪のところにも未来の自分に宛てた手紙が来たと言うのだ。8歳の夏休みに遊んでいた場所は、もう亡くなってしまった千塚のおばあちゃんの家だった。そこに行けば何かわかるかもしれないということで、次の日曜日に2人で千塚まで行くことになる。
千塚にはおじさんのタカちゃんが住んでいた。タカちゃんがおばあちゃんの生前に子どもたちから手紙を預かったことを聞いていて、投函したのだった。
タカちゃんと話をしていると、唯尚君という20歳前後のお兄さんが来る。彼も初音と美凪が遊んでいたときに、遊んでくれたことがあったらしい。紙ヒコーキの作り方を教えてくれたのだ。唯尚君はグライダーに乗っているという話を聞いて、美凪は興味を持ち、乗ってみたいと思うようになる。初音にいっしょに体験してもらいたいと話すが、体験するにもお金がかかるため、おじさんのタカちゃんのように路上演奏をしてお金を稼ごうということになる。2人の演奏でお金がまともにもらえるわけはないのだが、たまたま知り合いの古稀のお祝いのホームパーティで演奏してもらいたいという依頼があり、タカちゃんと3人で演奏することになる。
そして、もらったお金で初音と美凪はグライダーの体験をする。初音は怖いながらも楽しめたけれど、美凪は高所恐怖症だったらしく、酔ってしまった。それでも、2人は成し遂げた達成感で満ちていた。
最後に、初音はもう一度未来の私に手紙を書く。
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