中学受験最頻出の『クラスメイツ〈前期〉』(著者:森絵都)を紹介します!あらすじ(一部)と国語の入試問題の内容を紹介します!
■『クラスメイツ〈前期〉』(著者:森絵都)について
この森絵都さんの『クラスメイツ』は、中学受験の入試問題のために書かれたのではないかと疑ってしまうほど、よく出題されています。ですが、それほどいい小説なのだと思います。
笑いあり涙ありであっという間に1年A組の中に入り込み、読み終わってしまいました。
北見第二中学校の1年A組はたったの24人。その24人の一人一人が1つの章になって、一人一人が語り手になりながら、物語全体の話も進んでいく構成になっています。前期で12人、後期で12人が語ります。
思春期の男の子、女の子がぶちあたる悩みや恋の話もあります。
その生徒が主人公の章と、他の章で出てくるその生徒は、微妙に違うんですよね。
クラスの中ではこんなふうに思われている生徒が実はこうだった、みたいな展開もおもしろいです。
とても読みやすく楽しく、入試問題に出るからというのではなく、たくさんの小学生・中学生に読んでもらいたい本です。
章ごとに語り手が違うので、部分的に読んでもいいと思います。
2015年度学習院女子中等科A入試、2015年度高輪中学校A日程、2016年度横浜共立学園中学校A方式、2016年度第2回女子美術大学付属中学校、2019年第2回桐光学園中学校、2021年第2回明治学院中学校の国語の入試問題で出題されました。
◆2015年度学習院女子中等科A入試の国語の入試問題
2015年度A入試の大問1番で「第8章 夏のぬけがら 陸」から出題されました。文庫で17ページ分全文が出題されました。学習院女子中は、試験時間50分で全問自由記述の問題です。問12まで全部で14問が自由記述の問題で、「〜理由を説明しなさい」とか「〜の気持ちを説明しなさい」というような問題です。他に大問2番が漢字20問となっています。
◆2015年度高輪中学校A日程の国語の入試問題
2015年度A日程の大問3番で「第8章 夏のぬけがら 陸」から出題されました。大問1番は漢字と語句、大問2番は論説文、大問3番までで50分の問題でした。この「夏のぬけがら 陸」からは、最初2行のリード文があった上で、文庫で7ページ分くらいが試験問題になっています。
大問3番の設問形式は、記号選択の問題が3問、字数制限つきの記述問題が2問、抜き出しが2問、自由記述問題が2問でした。
◆2016年度横浜共立学園中学校A方式の国語の入試問題
2016度A方式の大問2番で「第1章 鈍行列車はゆく 千鶴」から出題されました。文庫で17ページある章から最初と中頃が割愛されて、約7ページ分くらいが試験問題になっています。ちなみに、大問1番は漢字、大問3番が論説文となっています。
この大問2番の設問形式は、自由記述の問題が4問、記号選択の問題が7問でした。記号選択の問題が5択なので、全体の文章量が多く、読むスピードが要求されます。
◆2016年度第2回女子美術大学付属中学校の国語の入試問題
大問1番で「第4章 愛と平和のシメジ ハセカン」から出題されました。文庫で19ページある章から若干削除されて、18ページ分くらいが試験問題になっています。ですので、読むだけで結構時間がかかります。設問が漢字も含めて問13まで、そのうち9問が自由記述の問題です。試験時間は50分で、大問2番は四字熟語の問題だけなので、ほぼこの「愛と平和のシメジ ハセカン」に費やす形となります。
女子美中の場合、学校から解答をもらえるらしいのですが、その自由記述問題の解答が1文なのに、かなり長い文になっています。本文で答えに該当する箇所を見つけて、そのまま1文にまとめるような形で書いていくのがいいようです。
「第4章 愛と平和のしめじ ハセカン」は、ハセカン本人とても深刻なのでしょうけど、おもしろおかしくとっても楽しい章となっています。少しだけ紹介しておきます。
◆2019年第2回桐光学園中学校の国語の入試問題
大問1番で「第11章 悲しいことを悲しむ 敬太郎」から文庫で約10ページ分が出題されました。
この大問1番の設問形式は、語句の意味が1問、4択の記号選択問題が5問、自由記述問題が1問で全部で7問でした。
大問2番は説明的文章で、大問2番までです。
◆2021年第2回明治学院中学校の国語の入試問題
大問1番で「第8章 夏のぬけがら 陸」から文庫で約10ページ分が出題されました。
この大問1番の設問形式は、語句の意味が1問、抜き出しが3問、4択の記号選択問題が7問、50字の記述問題が1問で全部で12問でした。
大問2番は詩で、大問3番は漢字しりとり、敬語、ことわざ、四字熟語など、大問4番は漢字の書き取り、大問5番は漢字の読みで、大問5番まででした。
■『クラスメイツ〈前期〉』より「愛と平和のしめじ ハセカン」あらすじ
蒼太が野球部のくせにうっとうしかった髪を短髪にしたことで、ハセカンもイメージチェンジするよう勧められる。耳までかぶるヘルメットのようなもっさりと重たい髪をしていたが、なんとハセカンは母親に切ってもらっていたのだ。友達は美容院で切ってもらっていると知って、ハセカンはひどくうろたえる。母親を説きふせ、美容院代をもらい、渋谷の美容院を予約した。だけど、一人で行く勇気がなくて、近藤に好きなアイドルのカレンダーをあげるからと言って、一緒に行ってもらうように頼む。渋谷まで出て予約したカリスマーズという美容院まで行ったものの、近藤は先に帰ってしまう。ハセカンも美容師たちが宇宙人のように見え、いてもたってもいられなく、逃げ出してしまう。最寄り駅まで戻って来て、歩いていると、美容室ユキというお店を見つける。入ってみると、母親よりも年配のおばさんが美容師だった。自分の希望するカットをお願いしようとすると、そこに同じクラスの松原このみが入ってきて、きちんと説明できず、誤解されたまま切られてしまう。出来上がった髪型は、ビートルズのジョンレノンのマッシュルームカットだった。以前のフタみたいな髪型が小さくなっただけだった。