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『おしまいのデート』(著者:瀬尾まいこ)は田園調布学園中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容、あらすじを紹介します!

■『おしまいのデート』(著者:瀬尾まいこ)について

  • おしまいのデート

  • ランクアップ丼

  • ファーストラブ

  • ドッグシェア

  • デートまでの道のり

の5編からなる短編小説集です。

どれもほんの30〜40ページくらいしかない物語なのに、いつのまにか瀬尾さんズワールドに入ってしまいます。デートにちなんだ物語で、ほろっとしたり、ほっこりしたりさせられます。

デートといっても、男の子と女の子のいわゆるデートではなく、
おしまいのデート」では孫娘と祖父のデート、
ランクアップ丼」では、高校教師と高校生のデート(のちに定年退職した高校教師と社会人のデート)、
ファーストラブ」は中学生の男の子同士のデート、
ドッグシェア」はバツイチ30代女性と大学生の男の子のデート、
デートまでの道のり」は保育園の保育士と父子家庭のお父さんと息子の3人のデートまでの道のり
が描かれています。

私が特に泣かされたのは、「ランクアップ丼」でした。「ランクアップ丼」が、ある意味本当におしまいのデートだったんです。他の作品は、区切りとなるデートで、これから先にまた新たな世界がスタートする予感を感じさせてくれるお話です。

「おしまいのデート」と「ランクアップ丼」だけでも読んでもらいたいです。

「おしまいのデート」「ランクアップ丼」の詳しいあらすじを最後に書いています。読書感想文などを書く際に参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)

瀬尾まいこさんの作品、中学入試でよく出題されています。
この『おしまいのデート』は、2012年度第3回田園調布学園中等部の国語の入試問題で出題されました。そして、驚いたことに、「ランクアップ丼」の一番泣かされた最後の場面が出題されていました。

◆2012年度第3回田園調布学園中等部の国語の入試問題

平成24年度第3回田園調布学園の国語の入試問題では、大問1番と2番とあり、1番がこの「ランクアップ丼」から2番が外山滋比古「忘却の整理学」から論説文でした。

大問1番のこの「ランクアップ丼」からは記号選択問題と記述問題が半分半分でした。上じいの人物像が問われたり、記述問題では「なぜ〜ですか」と問われたりしていますが、この最後の場面だけから判断するのは小学生にはなかなか難しいのではないかと思われます。

■あらすじ(ネタバレ)

◆「おしまいのデート」あらすじ

彗子おじいちゃんのデートは、毎月第1土曜日。彗子は、小学校4年生の時に両親が離婚し、母親に引き取られた。最初は父親と会っていたのだが、中学生になって父親が再婚した後から、父親方の祖父と会うことになったのだ。

おじいちゃんとのデートは、公園で待ち合わせで、遅れてくるおじいちゃんは、ソフトクリームを買ってくる。ソフトクリームを食べながら今日のデートコースを決める。といっても、海が見える岬か、ブナが立ち並ぶ山道か、小さな動物園が合体した植物園の3コースのいずれかになる。

彗子が中3になり、母親が再婚することに決まり、おじいちゃんとのデートも最後となった。最後のデートは、海が見える経ヶ岬だ。一緒に写真撮影もして、待ち合わせた公園に戻ってくると、おじいちゃんが彗子に言う。「彗子の願い事を一つ叶えることにしよう」と。ところが、彗子はすぐに願い事が思い浮かばない。そこで、おじいちゃんは家に帰るまでの間、(今にも降り出しそうな)雨を止めておいてやろう、と提案する。しかし、公園を出てすぐ水滴がかかり、雨足はどんどん速くなる。そこに、母親の再婚相手の子供、実君が傘を持って現れる。だけど、持ってきた傘は小さな傘1本だけ。すでにもうだいぶ濡れてるけど、その小さな傘に2人で入って、家に帰る。おじいちゃんとのデートはおしまいだけれど、これからの新しい生活はきっと幸せなことにちがいないと予感させながら。

◆「ランクアップ丼」あらすじ

上じいは社会の先生で、三好は、上じいの高校の生徒。

三好がちょっと友達と喧嘩したり、悪さをすると、上じいは三好を食事に誘った。お腹が空いてるから、イライラして、悪さをするんだと。玉子丼をごちそうしてくれた。

三好の家は母子家庭だった。仕事や恋愛に忙しい母親は、食事をまともに作る暇がなかった。だから、三好はいつも空腹で、上じいの誘いにほいほいついていった。

上じいも奥さんに早くに先立たれ、子供たちも独り立ちしていて、独り身だったから、たまには一緒に食事をという気持ちだった。

高校3年の2月、最後の晩餐だと、上じいは天丼をごちそうしてくれた。三好は、そう言われて、寂しさでおいしく食べれなかった。

三好は、大型スーパーに就職した。上じいのアドバイスだった。三好は、人の集まるところで働かないといけないと強く言われて、決めたのだ。最初は、苦労したものの、だんだんと仕事にも慣れ、2か月目の給料日。今度は三好が、上じいを玉子丼の店に呼んだのだ。

高校時代に上じいにおごってもらった玉子丼は20回、最後の天丼で21回。

今度は、三好が借りを返して行くことになる。三好は、そんなつもりではなく、いつでも好きなものを食べてもらいたいと言っても、上じいは頑なに玉子丼を一緒に食べた。毎月24日の給料日に玉子丼の店で一緒に食べるのが決まりごととなった。ところが、三好の彼女が、12月24日はクリスマスイブだから、一緒に過ごしたいと言う。三好は、それでも彼女を押し切って、上じいとの玉子丼デートに行き、そこで結婚しようかと思っている話を上じいにする。

そして翌年、1月24日、玉子丼の店で待っても待っても、上じいは来ない。そこで現れたのは、上じいの娘さんだった。3日に上じいは亡くなったと。上じいは、ガンで入院していて、毎月病院を抜け出して、玉子丼を食べに来ていたのだ。借りを返してもらうのだと。クリスマスイブの玉子丼デートが最後のデートだったことになる。

1月は、借りを返す最後の日だった。最後の天丼を娘さんと食べた。だけど、またしても、天丼を味わうことはできなかった。

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