『小学五年生』(著者:重松清)は10年以上中学受験で出題され続けています!国語の入試問題の内容、あらすじ(一部)を紹介!
■『小学五年生』(著者:重松清)について
この本は、
葉桜
おとうと
友だちの友だち
カンダさん
雨やどり
もこちん
南小、フォーエバー
プラネタリウム
ケンタのたそがれ
バスに乗って
ライギョ
すねぼんさん
川湯にて
おこた
正
どきどき
タオル
の17編からなる短編小説集です。
短編なので国語の入試問題で全文出題されることもありました。
「葉桜」は、転校した女の子のことをずっと気になっている同じように転校した男の子の話、「おとうと」は、目が悪くて手術することになった弟と、手術前に海の見えるところへ連れて行く話、など1つ1つが小学5年生ってこんな感じだったかなあと、ほのぼのしたり、しみじみしたり... どちらかというとしみじみが多い短編小説集です。
小学生が読むのでしたら、重松清さんの作品では、他にもう少し楽しいものがありますが、入試問題は楽しいものよりしみじみする方が多いので、全部読まなくてもこの中から選んで、少ししみじみを体験するのも良い練習になるのではないでしょうか。1話だけなら20分もあれば読めると思います。
良さそうな作品を親子で交替で少しずつ音読してみるというのもいいでしょう。
オススメは、受験でも出題され、塾のテキストにも掲載されている「南小、フォーエバー」「友だちの友だち」「バスに乗って」の3つです。後にあらすじを載せておきますので、読書感想文などにも参考になさってください。(ネタバレになりますので読みたくない方は読まないようにしてください。)
※『タオル』は中学2年生の教育出版の教科書に掲載されています。
Amazon Audibleでも『小学五年生』は購入可能です。自分で読むにこしたことはないですが、忙しい受験生には、Audibleで聴くのも1つの手段としていいでしょう。
最近の中学受験では、2019年度第1回法政大学中学校、2020年度第2回恵泉女学園中学校、2022年度第1回東京女学館中学校、2023年度第1回攻玉社中学校の国語の入試問題の国語の入試問題に出題されました。
過去に『小学五年生』から国語の入試問題で出題した学校を、私が知っているかぎりで、書いておきます。
・2008年恵泉女学園中 「南小、フォーエバー」
・2008年横浜共立学園中 「バスに乗って」
・2010年頌栄女子学院中 「友だちの友だち」
・2014年明治学院中 「友だちの友だち」
塾のテキストにも掲載されているので、多くの生徒さんが一度は目にしているのではないでしょうか。
◆2019年度第1回法政大学中学校の国語の入試問題
大問1番で、「タオル」が出題されました。大問2番は論説文で、大問2番まででした。
「タオル」は文庫では13ページですが、出題されたのは、最初の2ページちょっとを除いた、3ページ目から最後まででした。
この大問1番の設問形式は、1文の抜き出しが1問、語句の抜き出しが2問、4択の記号選択問題が4問、40字の記述問題が1問、少年に関する説明文の中の語句を4つ本文から抜き出す問題が1問、漢字の読みが1問で全部で10問出題されました。
ちなみに、漢字の書き取りは大問2番の方で出題されています。
◆2020年度第2回恵泉女学園中学校の国語の入試問題
大問1番で、「バスに乗って」が出題されました。大問2番は説明文で、大問3番が漢字の書き取りで大問3番まででした。
「バスに乗って」は文庫では14ページですが、出題されたのは、最初の3ページ半を除いた、4ページ目から12ページまででした。
大問1番の最初に、簡単な説明があってから、本文に入る形になっていました。
この大問1番の設問形式は、語句の挿入が3問、内容一致(4つの文を○✖️で答える)が1問、4択の記号選択問題が1問、自由記述問題が1問、60字の記述問題が1問で全部で7問出題されました。
◆2022年度第1回東京女学館中学校の国語の入試問題
大問1番で、「バスに乗って」が出題されました。大問2番は説明的文章で、大問3番が漢字の書き取りで大問3番まででした。
「バスに乗って」は文庫では14ページですが、途中中略が2回あり約2ページ分省かれ、最後の4行を除いた全てが出題されました。
この大問1番の設問形式は、25字の記述問題が3問、30字の記述問題が2問、日数を計算する問題が1問、抜き出しの問題が2問、4択の記号選択問題が7問(問1と問13が2つ)で全部で問13まででした。
◆2023年度第1回攻玉社中学校の国語の入試問題
大問4番で、「バスに乗って」が出題されました。大問1番は漢字の読み、大問2番は漢字の書き取り、大問3番は動物を用いてできる四字熟語、ことわざ、故事成語、大問5番は説明的文章で、大問5番まででした。
「バスに乗って」は文庫では14ページですが、全文が出題されました。
この大問4番の設問形式は、5択の記号選択問題が10問、4択の記号選択問題が1問、語句の意味が1問で全部で問12まででした。
■『小学五年生』よりあらすじ(一部ネタバレ)
●「南小、フォーエバー」
夏休み初日、少年トシは、5年生に進級する前に転校した、4年生の頃一番仲良しだった三上君の家に遊びに行く。ところが、三上君はソフトボールの練習があって休めないからと、12時過ぎにやっと戻ってくる。さらに、午後も試合があると言う。トシと遊ぶ予定をすっかり忘れて約束してしまったらしい。仕方なく、トシも試合に付き合うことになるが、トシの出る場はなく、やっぱり帰ることにする。トシは、バス停で泣きそうになりながら待っていると、三上君が走って来た。バスが来るまで少しだけキャッチボールしようと。三上君が投げてきたボールには「南小4年1組フォーエバー!」と書いてあった。転校したての頃に書いたものに違いない。バスが来て、ラスト一球を投げる。
●「友だちの友だち」
少年は初めての転校でちょっと調子に乗って、前の学校や町のことを大げさに話し、おもしろがらせようと今度の学校をネタとしてしゃべったら、いばってるとか、ここをバカにしてると言われてしまった。リーダー格のヨッちゃんとも仲良くなれるはずだったのに話もできなくなった。仕方なく、町をあてもなく自転車で探検し、落ちて来たこいのぼりを拾って、団地の3階の部屋に届けに行くと、おばさんに中にあがるように誘われた。交通事故で亡くなった息子さんがいたそうだ。そこに、亡くなった息子さんの親友だったヨッちゃんがやってくる。2人はなんとなく一緒に遊んで、帰りにヨッちゃんは、鯉のぼりを亡くなった息子さんに見せてやろうと、片手運転ができる少年に鯉のぼりを渡し、一緒に河原を自転車で走る。
●「バスに乗って」
少年は5年生の2学期になって初めて、少年の母が入院したため、1人でバスに乗ってお見舞いに行った。父からバスの回数券を買うようにお金をもらう。毎日病院へ通わなくてもいいと、母は少年を心配したが、買い足した3冊の回数券ももうすぐ終わりになってしまう。最後の回数券を使わないといけなくなったとき、少年は泣きながら回数券を使いたくないと、河野という運転手に話す。新しい回数券を買うと、母の退院の日がまた遠ざかってしまうからと。河野さんは何も言わずに小銭を運賃箱に入れ、乗せてくれた。その後は、少年はお小遣いでバスに乗った。お小遣いがなくなる前に、母は退院できることになる。退院の日、少年は一人でバスで帰ると言う。河野さんのバスが来るまで待って、最後の回数券に「ありがとうございました」と書いて運賃箱に入れ、降りる。
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