<散文>触れる声
あなたを独り占めできたとして
初めのうちは どうしたらいいか
分からなくなりそう
ただの熱い塊に成り果てた私を
あなたから触れて欲しい
「ねえ、どうして私のこと知ってるの?」
だんまりはもうダメだよ
ゆっくりでいいから教えてね
話さなくても わかってることでも
声に出したら 楽しい答え合せの時間
くすぐったい心
隠し切れていない その赤い耳を
いたずらに触れてしまいたい
「ねえ、もう触ってもいいんだよね?」
こんな問いかけも すぐに消えて
ゆるい空気とあなたの声
「ねえ、どうして私のこと分かるの?」
可愛い顔して ごまかさないで
秘密の部屋でふたりだけ
ゆるい空気とあなたの声
2022.5.1