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「完全に理解した」状態を積極的に利用する

ダニング=クルーガー効果

知識・経験・能力の大小と自信の大小の関係性を模式的に表した図。

いわゆる「完全に理解した」というスラングは、グラフ上の極大点を指している。そういった状態は周囲から揶揄されがちではあるが、仕事においてはむしろその効果を積極的に利用してもいいのではないか、と思う。

社会人駆け出しの頃に、新規研究テーマを貰う機会があった。自分一人で主導できることにワクワクしていたが、いざ進めてみると未知・未経験の事柄があまりにも多かった。上司や同僚から研究の進め方にダメ出しを食らうことも多く、その度にポジションを降りたいという気持ちが芽生えていた。そんな中でも「新人が一人で主導して研究開発を進めている」姿勢を応援してくれる方が少なからず居り、その励みを栄養分として、担当課題に食らいつき続けることができた。結果として、当初の研究開発目標を達成することができたのだが、思いもよらぬ副産物を得ることになった。

1.新規研究テーマへの引き抜き
一連の研究主導経験もあってか、次の年から別の新規研究テーマに招いてもらい、当時の知見を活かして計画立案から参画させてもらうことができた。そして今、自分の専門性を広げるために、専門外の知識が必要な研究を担当している。今でも、たくさんの壁にぶつかるたびに担当を降りたくなる気持ちは芽生えてしまうが、長い視点で見た時の自分の成長を見据えて、「これでいいのだ」の7文字を自分に刻んでいる。

2.他人の研究への助言機会
先行文献を読んだとしても、想定通りに実験がうまくできないことがある。それは文献上に「明示されていないコツ」がたくさんあるからだ。新規研究テーマで扱う実験は社内で未経験の類が多く、先陣を切ってそのコツを掴む機会が多い。社内でも重宝されやすくなり、他者からの信頼度の向上や人脈の形成にも繋がり、正のスパイラルに入りやすくなる。

この副産物が得られるとは当時の自分は少しも思っていなかった。あの頃の自分を「ナイスファイト!」と激励したい。ちょっと自信過剰でいる方が、色々なことに挑戦できるし、人間としても成長できると思う。これからも新しいテーマに挑戦できる機会があれば迷わずに手を上げて、テーマに取り組む中で自分を激励していきたい。形が先、努力は後。

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