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間質性肺炎の診断を受けている人に肺炎球菌ワクチンを接種後、増悪して死亡した事例

厚労省のサイトやリーフレットには、「高齢者に対する肺炎球菌ワクチンによって、重症な肺炎などにかかることを予防できます」と書かれています。一方で、肺炎球菌ワクチン接種後に、肺炎で死亡する事例が厚労省のサイトの奥深いところで公開されています。医師の評価では「因果関係あり」としている事例もあるのに、なぜ周知しないのでしょうか。


肺炎球菌ワクチンの定期接種

厚労省のサイトには、肺炎球菌ワクチンの定期接種に関するページがあります。

高齢者の肺炎球菌ワクチンについてのリーフレット

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001086212.pdf

このページにもリーフレットにも、接種後の死亡事例があることについては書かれていません。因果関係が不明だとしても、死亡事例があるのは事実です。しかも、死因が肺炎であることは、知らせるべきではないのでしょうか。

肺炎球菌ワクチン接種後の死亡事例

厚労省のサイトでは、10月25日に開催された「第104回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」の資料が公開されています。

資料2-33 ワクチン接種後の死亡報告一覧

今回の報告では、肺炎球菌ワクチン「ニューモバックスNP」(単独接種)で調査中も含めて3件の死亡がありますが、詳細が出ている事例1について掘り起こしました。文字が小さいので、詳細は上記のリンクからご確認ください。

事例1

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001320842.pdf

専門家の意見
詳細は不明だが、本症例には間質性肺炎の基礎疾患があった様子であ
る。肺炎球菌ポリサッカライドワクチン2回目接種後から、間質性肺炎
の増悪を示唆する症状が出現
し、約1か月後に死亡した。現状で、肺炎
球菌ポリサッカライドワクチン接種後一定期間に間質性肺炎の増悪を
呈する患者が集積するという知見は存在せず、
本症例において当該ワ
クチンの関与を積極的に示唆する所見は無い。ただし、ワクチンは一
般に免疫反応を惹起する薬剤であること、またワクチン接種と間質性
肺炎増悪の時間的な前後関係から、ワクチンの関与を完全に否定する
ことはできない
。すなわち、現在入手できる情報からは、本症例にお
ける当該ワクチンと死亡の因果関係は判断できない。

ワクチンの関与を完全に否定することができないのに、因果関係を判断できないと結論づけています。「現在入手できる情報から」とありますが、入手する気があるのでしょうか。

紅麹サプリのときも因果関係は不明でしたが、調査していました。なぜワクチンは、調査しないのでしょうか。以下、朝日新聞デジタルより、一部引用です。

紅麴サプリ、自治体調査の大部分終了 因果関係が明確な死亡例はなし2024年8月15日 19時00分 朝日新聞アピタル
 小林製薬の紅麴(こうじ)サプリをめぐる健康被害問題で、大阪市などの自治体が実施している、摂取後の死亡に関する調査の大部分が終了した。厚生労働省によると、これまでに死亡とサプリの摂取の因果関係が明確になった事例はない。武見敬三厚労相は15日の閣議後会見で「残る事例についても、自治体に調査を急がせたい」と述べた。

https://www.asahi.com/articles/ASS8H2TRHS8HUTFL00QM.html

ワクチンについては「安全」だというばかりで、厚労大臣から「調査を急がせたい」などとという発言を会見などで私は聞いたことがありません。

一方、報告医師は下記のように書いています。

(症例 No.1)
1.報告内容
(1) 事例
85歳(発症時)の女性。
2024年2月20日、A病院にて肺炎球菌ワクチン2回目が皮下接種された。接種直後より、咳、発熱症状及び息切れが認められた。
2月27日夕方、間質性肺炎のためB病院に入院した。入院時、両肺にすりガラス影が多発していた。肺炎球菌ワクチンによる薬剤性肺障害と考えられ、ステロイドパルス療法が実施された。午後7時20分、KL-6 1020 U/mLであった。
2月28日午前8時12分、KL-6 988 U/mLであった。
3月1日時点でステロイドパルス療法により、状態は安定していた。午前8時55分、KL-6 953 U/mLであった。
3月2日午後2時24分、KL-6 1171 U/mLであった。
3月5日午前8時44分、KL-6 1458 U/mLであった。
3月11日午前8時4分、KL-6 1759 U/mLであった。
3月14日午前8時17分、KL-6 1810 U/mLであった。
3月、気胸が発現した。
3月、ステロイドパルス療法が実施されたが、奏功せず、以後症状が悪化した。
ネーザルハイフローによる酸素投与が継続された。
3月17日午前8時23分、気胸及び間質性肺炎により死亡した。死亡時画像診断及び剖検は実施されなかった。

(2) 接種されたワクチンについて
肺炎球菌ワクチン(MSD ロット番号不明)

(3) 接種時までの治療等の状況
既往歴、アレルギー歴、副作用歴及び副反応歴はなかった。併用薬はなかった。自宅で同居生活をしており、ADLは自立していた。嚥下機能に問題はなく、経口摂取は可能であった。
2002年12月4日、肺炎球菌ワクチン1回目が接種された。
2019年12月20日午後0時20分、KL-6 910 U/mLであった。間質性肺炎の疑いで診断はつかなかった。その後治療するまでのことはないが、軽度の間質性肺炎が続いていた。初回の間質性肺炎の診断日は不明であった。
2020年7月8日に間質性肺炎の診断歴があった。午前8時42分、KL-6 392 U/mLであった。

2. ワクチン接種との因果関係についての報告医等の意見
死因について、気胸及び肺炎球菌ワクチンによる薬剤性肺障害によるものと考えられる。肺炎球菌ワクチンのDLSTは実施できなかったが、経過から肺炎球菌ワクチンによる薬剤性肺障害は間違いないものと考えられた。間質性肺炎もしくは間質性肺炎の既往のある方への肺炎球菌ワクチンの接種は、今後控えた方が良いのではないか。

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001320842.pdf

上記のサイトによると、間質性肺炎を発症すると、炎症に伴ってII型肺胞上皮細胞からKL-6が作られ、血液中で高値を示すようになり、基準値は500U/mL未満であるのが一般的とのこと。

事例1の方は、2019年12月20日にはKL-6 910 U/mLという結果になっています。「間質性肺炎の疑い」で診断はつかなかったとのことですが、2020年7月8日に間質性肺炎の診断歴があったと書かれています。

2024年2月20日に肺炎球菌ワクチン2回目を接種し、接種直後より、咳、発熱症状及び息切れが認められ、2月27日に間質性肺炎のために入院。そして3月17日に、気胸及び間質性肺炎により死亡しています。

死因について、気胸及び肺炎球菌ワクチンによる薬剤性肺障害によるものと考えられるとし、間質性肺炎もしくは間質性肺炎の既往のある方への肺炎球菌ワクチンの接種は、今後控えた方が良いのではないかという意見を書いています。

これは非常に重要な意見だと思います。なぜなら、間質性肺炎の患者には肺炎球菌ワクチンを勧める医師が大多数だからです。

上記のサイトにも、日常生活の中で気をつけることとして下記のように書かれています。

・禁煙する
・副流煙を浴びない
・粉塵、カビ、羽毛などの悪化原因を避ける
・マスクの着用や手洗い・うがいをする
・インフルエンザや肺炎球菌の予防接種を受けておく
(以下略)

https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/6b99wj15f


再度、事例1に関する専門家の意見を見ると、「現状、肺炎球菌ポリサッカライドワクチン接種後一定期間に間質性肺炎の増悪を呈する患者が集積するという知見は存在せず、本症例において当該ワクチンの関与を積極的に示唆する所見は無い」と書かれています。

「集積するという知見は存在せず」というのは、データを集めようとしていないと読み取れます。なぜ集めないのでしょうか。さらに、「間質性肺炎もしくは間質性肺炎の既往のある方への肺炎球菌ワクチンの接種は、今後控えた方が良いのではないか」という意見は、当該ワクチンの関与を積極的に示唆する所見といえると思えるのですが、なぜそう考えないのでしょうか。

日本呼吸器学会にも、下記のような論文は報告されています。

2016年に発表されたこの論文には、「薬剤性肺障害の診断・治療の手引きの診断基準より,間質性肺炎の原因は肺炎球菌ワクチン接種によると考えられた」と書かれています。

さらに、「PPV23 が定期接種化され今後 PPV23 接種が増加するなかで,薬剤性肺障害には注意および早急な対応が必要である」とも書かれています。2016年に早急な対応が必要であるという論文があったのに、なぜデータを集めようとしないのでしょうか。
※PPV23: ニューモバックスNP

肺炎球菌ワクチン接種後の肺炎

厚労省のサイトには、死亡事例以外の報告も公開されています。

資料2-7 23 価肺炎球菌ワクチンの副反応疑い報告状況について

表が長いので一部をスクショしましたが、書かれている項目は下記になっています。平成25年4月~令和6年3月までの報告で、左が医療機関からの報告、右が製造販売業者からの報告ですが、複数の製造販売業者から重複して報告されている症例が含まれている可能性もあるようです。

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001320981.pdf

最近、ニュースでも取り上げられているマイコプラズマ性肺炎の報告もあります。


https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001086212.pdf

予防できるワクチンがあると言って接種を促し、肺炎になる人がこんなにたくさんいたら問題だと思うのですが、厚労省のサイトを奥深くまで調べないと副反応疑いの報告などの情報は得られません。

少し前の記事でも、肺炎球菌ワクチンを接種して肺炎で死亡した事例について取り上げましたが、これを問題だと思わない人たちが行っている審議会は正常に機能しているといえるでしょうか。