学校でのHPVワクチン啓発活動に関する違和感
最近のニュースやSNSを見ていると、HPVワクチンの接種を推進している学校が増えてきているように感じます。理解促進に取り組む医学生団体を呼んで授業をしたり、ワクチンを推奨する講座のチラシを小学校で配ったり、大学では集団接種を行ったり・・・。一方で、HPVワクチン薬害訴訟はまだ続いていますし、勧奨再開後に接種して健康被害に苦しむ女子高生が勇気を出して自身の経験を発信しています。接種と症状の因果関係は、「ない」という結論が出たわけではありません。子どもたちを「守る」ことを第一に考えるはずの学校が、なぜ接種を勧める方向に進んでいくのでしょうか。
文科省の事務連絡
文科省は令和5年9月8日付で、「HPVワクチンに関する正しい知識等の普及啓発に取り組むこととしているところです。」という内容の事務連絡を教育機関宛てに出しました。
令和5年度「ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種に関する相談支援・医療体制強化のための地域ブロック拠点病院整備事業」に基づく啓発活動への協力について
文科省がいう「正しい知識や情報」とは何なのか、具体的には書かれていません。けれども、添付の資料には「接種後に生じた症状に関して調査を行う」などと書かれており、「接種する」ことが前提となっているようです。
まだ安全性に関して結論が出ていないのに、文科省がこのような考えであることは問題ではないのでしょうか。文科省がこのような考えであれば、多くの学校は接種を推進する方向に動くことになるでしょう。
なぜ「正しい知識や情報」の中に、裁判が続いていることは含まれないのでしょうか。片方の意見だけで推し進めようとすることは、多様性を尊重しようとか、探究活動を取り入れようとか言っていることと、矛盾しているのではないでしょうか。
2022年12月の名古屋訴訟
2022年12月22日に、「HPVワクチン薬害名古屋訴訟 第14回口頭弁論期日」が開かれました。コロナ禍では口頭弁論期日が開かれなかったので、公開法廷での期日は3年ぶりとのことです。
法廷内での様子を文字で伝え、名古屋原告団代表の谷口さん(名古屋原告1番の母)にインタビューをしている動画(約17分)が公開されています。
カラオケの個室で撮影されたようで、隣室の歌声が気になる部分もありますが、カジュアルなインタビューなので、よりリアルな声が聞けると感じました。接種後、どのように副反応が起きたのか、製薬会社の対応など、実際に起きたことが語られています。
以下は、愛知県議会議員・末永けい氏を中心としたメンバーが公開している「愛知県民チャンネル」の動画です。
動画を見ていて驚いたのが、子宮頸がんワクチンの「母の日キャンペーン」が行われたという部分です。
調べてみたら、2018年に本当にありました!
子どもと家族のためにがんばるお母さんたちに「母の日ありがとうカード」をプレゼント! と書かれています。
http://cczeropro.jp/assets/files/news/2018/2018mothersdaycard.pdf
検診だけならわかりますが、「検診に加えて、ぜひ受けてほしいのがワクチン接種です」と書かれています。
性交渉を経験する前に接種することで予防効果が期待できると言っているのに、「お母さん」に接種を勧めるという矛盾。人の命を守りたいのではなく、「誰でもいいから接種させたい」という考えが見えてきます。
さらに、このキャンペーンを行った「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」について調べてみると、HPVワクチンメーカー2社から計3500万円の寄付を受けたことが指摘されていました。
HPVワクチンをめぐる利益相反については、厚生科学審議会の委員や参考人もワクチンメーカーから講演料や原稿執筆料をもらっていました。さらに、本来申告すべきだった利益相反を適切に申告してなかったことも明らかになっています。
「厚生労働省の審議会の利益相反管理ルールの見直 しを求める要望書
―H P V ワ クチンに関する審議会委員の利益相反を踏まえて一」
例えば、「第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」の議事録でも確認できます。GSKとMSDは、どちらもHPVワクチンメーカーです。
2013年12月25日 平成25年度第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会 議事録
こんなに多くの委員が講演や原稿執筆でワクチンメーカーからお金をもらっているのに、公正な審議ができるでしょうか。
これらのメンバーが2014年1月の「第7回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」で、接種後の症状は「心身の反応であり、ワクチンの成分が原因ではない」 とする見解を出したのです。
岡部信彦氏はコロナワクチンの会議でも登場しているワクチン推進派で、下記の記事で取り上げました。いつまで、このようなメンバーで会議を行うのでしょうか。
学校で啓発活動をするなら、こういった背景があることも知っておくべきではないのでしょうか。
また、動画で紹介されている本は、以前の記事でも取り上げましたが、啓発活動をする前にぜひ読んでいただきたいです。
同書には、動画でも語られていましたが、HPV感染経路は性交渉によるものだけではない可能性についても書かれています。性交渉の経験がなくても、ワクチン接種時にすでに感染が進行していれば、異形成(子宮頸がんの前段階)のリスクが高まるか状態が悪化する可能性があるのです。
そういったことも知らせずに接種を勧める人たちの話だけで、判断してよいのでしょうか。
原告の意見陳述
「HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団」のサイトには、「HPVワクチン薬害名古屋訴訟 第14回口頭弁論期日」の様子を伝える記事と原告の意見陳述が公開されています。
以下、意見陳述の一部を引用します。
ワクチンメーカーから講演料などをもらっている人たちの意見だけでなく、実際に被害にあって辛い思いをしている人の言葉に耳を傾けなければ、事実は見えてこないと思います。
HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団のオンライン授業
HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団のサイトでは、オンライン授業の案内が掲載されています。
大学の先生方と連携してオンライン授業を行っており、中学や高校、地域の学習会などにも積極的に対応し、費用は無料とのこと。
東京都など、男子への接種費用の補助を検討している自治体も増えています。
けれども、男子の死亡事例も出ています。
学校の授業でHPVワクチンを取り上げるなら、推進派だけでなく、被害者の立場に立った意見を聞く機会も作っていただきたいです。それが、教育現場で行うべきことではないのでしょうか。
生徒の皆さんも、双方の話を聞いて判断したいと思いませんか?