名誉毀損と認められた事例で振り返る「捏造」扱いされた「事実」
「事実」を発信しているのに、「デマ」や「誤情報」と扱われることが多々あります。多くの場合、政府が進めようとしていることと反対のことを発信した場合です。命や健康を守るためには、「デマ」や「誤情報」とされる発信を先入観で排除するのではなく、自分で調べて「事実」にたどり着く習慣を身につけなければならないと思います。
誰が「偽・誤情報」と判断するのか?
令和6年4月 24 日~5月7日にかけて実施された「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対するパブリックコメントの募集には、 194,832 件の意見が提出されました(下記参照)。
その結果が、7月2日に公開されていました。
新型インフルエンザ等対策政府行動計画(案)についての意見募集の結果概要
パブコメを出さなかった人も、どんな意見が出たか見ることで、いろいろな気づきにつながると思います。
今回は、今後重要になってくる問題として「偽・誤情報」について取り上げます。
政府行動計画 より
第4章 情報提供・共有、リスクコミュニケーション
これについて、下記の意見が公開されています。
回答
行動計画には下記のように書かれています。
今回のコロナワクチン接種を振り返ると、ワクチン接種後に起きた健康被害などについて発信すると、それらの多くは「デマ」だとされ、厚労省は「科学的知見等に基づいた情報」とされるものを提供し続けました。
けれども一方で、現場の医師が書いた「副反応疑いの報告」による死亡事例なども厚労省のサイトで公開されていました。
例えば、下記の記事で取り上げた事例は、2021年7月に厚労省のサイトに公開されていたものです。報告した医師は「ワクチン接種と症状/死亡の因果関係は直結しており、関連ありと考える」と記していました。
もしこのような事例がもっと広く知らされていたら、接種後の死亡や健康被害に関する発信も、「デマ」として扱われなかったのではないでしょか。
これらの事例はすべて、厚労省のサイトで公開されているものですが、奥深くまで見てわざわざ探さないと見られない状態でした。一方で、「安全である」という情報はテレビなどでも何度も提供されたのです。このような偏った発信の仕方で「偽・誤情報」と判断された情報の中には、今では「事実」だと認められたものもあることを知っておく必要があると思います。
医師による「名誉毀損」
2022年に、コロナワクチン接種後に死亡した方の死体検案書を「捏造」だと断定した医師がいました。X(旧Twitter)で多くの人がその意見に同調していたので、私も覚えています。この件について被害者遺族を支援する団体の理事長が、名誉を毀損されたとして損害賠償を請求していたのですが、7月9日に訴訟の判決が出て、東京地裁はその医師に対し賠償金の支払いを命じました。
下記の記事が詳しく取り上げています。
産経新聞でも報じています。
記事でも名前が公表されているので、Xのポストでこの件を振り返ります。個人を攻撃する意図ではなく、どうやって「事実」が「捏造」扱いされたのかを知るための掘り起こしです。
右側の死体検案書について、医師は下記の投稿をしました。7月18日現在、まだ投稿は残っていましたが削除されるかもしれないのでスクショを貼っておきます。
これに対して、同調するコメントが多数ついていました。
さらにこの医師は、下記のような投稿もしています。
彼の発信から派生して、医師と名乗っているアカウントでも多数の同調コメントがありました。
例えば、自身が使用していると思われる死亡診断書の画像を投稿して「手書きが主流です」とコメントしている医師。そこにも、多くの人が同調するコメントを書いていました。
けれども、それに対して「今は電子カルテもある」「手書きの方が少ないと思う」とコメントしている医師もいました。
このような場合、皆さんはどちらの意見を信じますか?
まず、実際に書いた医師に確認をしていないのに、「捏造」と断定することはできないと思います。スペルを間違うことだってあるかもしれませんし、今はPC入力も多くなっているけれど、自分の周りは手書きの人が多いだけかもしれません。つまり、自分が知らないからといって、それが捏造とは限らないのです。
何よりも、「ワクチンは安全だ」という前提で見ているから、そのような視点でしか見えなくなるのだと思います。もし、現場の医師が報告している「副反応疑いの報告」に目を通していたら、捏造とは限らないと思えたはずです。多くの医師が捏造だと言っていましたが、その人たちは「副反応疑いの報告」に目を通したことがあったのでしょうか。
さらに、遺族の支援をしている人が、捏造して得をすることなど1つもありません。鵜川氏は相談者から渡された死体検案書の氏名等をマスキングした画像を添付して、「国は死亡者がどれだけ出れば公に発表するのだ」と投稿したのです。
このポストにも、「捏造」だとするコメントが多数ついています。
今回敗訴した医師は、青山弁護士に対する名誉毀損でも訴訟を起こされていました。以下、一部引用です。
青山弁護士が言った「中長期的リスクは全く不明」は、コミナティ筋注(ファイザー社)の審査報告書にも書かれていることです。
https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_6.pdf
ここには「長期の十分な安全性のデータは得られていない」と書かれていますが、2回目接種後1ヶ月のデータしかなかったのですから、中長期といってよいと思います。これのどこが「デマ」なのでしょうか。
審査報告書については、下記で詳しく取り上げました。
下記の記事で取り上げた報告には、「科学的な根拠は全くないが、注意喚起の意味で報告した」と書かれた事例がありました。現場の医師が必要だと思って報告したものですが、「科学的な根拠」がないとこのような報告も「偽・誤情報」として扱われてしまうのでしょうか。
けれども、当初、接種後の入浴は問題ないとされていたのに、接種した日の入浴中に死亡した事例があったから、今では入浴への注意が追記されたのです(下記参照)。そういった注意喚起が「偽・誤情報」として扱われてしまったら、このような注意も追記されず、被害にあう人が増えるのではないでしょうか。
テレビで言っているから、大臣が言っているから、著名な医師が言っているからといって、正しいとは限らなかったのです。「事実」が「偽・誤情報」として扱われてきたことを知っておかなければ、今後、命を守るために必要な情報を得ることはますます難しくなるでしょう。