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いつの間にか始まった「ワクチン・検査パッケージ制度」

10月ごろに内閣官房のサイトで意見を募集していた「ワクチン・検査パッケージ制度」、いつの間にか活用がスタートしていました。どのような意見が集まり、どのように取り入れられたのか全くわからないままですが、何を目的にしているのでしょうか?

制度の趣旨・定義

内閣官房のサイトによると、下記のように書かれています。

【制度の趣旨】
感染対策と日常生活の回復の両立に向けて、将来の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等の下においても、感染リスクを低減させることにより、飲食やイベント、人の移動等の各分野における行動制限の緩和を可能とするための制度です。

【ワクチン・検査パッケージ制度の定義】
飲食店やイベント主催者等の事業者が、入店者・入場者等の利用者のワクチン接種歴又は検査結果の陰性のいずれかを確認することにより、感染リスクを低減させ、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等において適応される行動制限を緩和するものです。

https://corona.go.jp/package/

「感染リスクを低減させて、行動制限を緩和するもの」と書かれています。
制度の要綱については、下記に詳しく書かれています。

制度に関するQ&Aより

内閣官房のサイトには、前回の記事でも取り上げた「ワクチン・検査パッケージ制度要綱に関するQ&A Ver.1.1」が公開されています。

その中から、いくつか取り上げてみます。

2.飲食店やイベントでは必ず「ワクチン・検査パッケージ制度」を活用しなければならないのか。
回答:飲食店全てに「ワクチン・検査パッケージ制度」の活用を義務づけるものではない。人数制限の緩和の適用を受けようとする事業者があらかじめ都道府県に登録していただきたい。

https://corona.go.jp/package/assets/pdf/vaccine-package_qa_20211214.pdf

「人数制限緩和の適用を受けたい事業者は、都道府県に登録する必要がある」ということは、適用を受ける必要がない事業者は登録しなくてもいいと読み取れます。

4.ツアーや個人旅行は対象となるか 。
回答:人の移動については、基本的に個人に対する自粛の解除であるため、事業者がワクチン接種歴や検査結果を確認することを求めるものではない
なお、ツアーや宿泊施設へのワクチン・検査パッケージ制度の適用の詳細については、観光庁において別に定めることとしている。

https://corona.go.jp/package/assets/pdf/vaccine-package_qa_20211214.pdf

観光庁サイトのトップページからは、ワクパケについて書かれている場所がわかりませんでした。サイト内で検索してみると、「旅行業・宿泊業におけるワクチン・検査パッケージ運用ガイドライン」が見つかりました。

読んでみると、「観光庁がワクチン・検査パッケージを活用した施策を実施する場合は・・・」と書かれています。

販売時に、以下の内容について旅行者の同意を得る
・ワクチンを接種済であること又は検査結果が陰性であることが利用条件であること。
・予防接種済証等又は検査結果通知書を事前確認又は当日確認の際に確
認を行う者に提示すること。
ワクチンの効果は完全ではなく、接種しても感染し、他の人に感染させる可能性があるため、ワクチンを接種していたとしても基本的な感染対策を怠らないこと。
検査結果が陰性であったとしても、検査後に感染する可能性があり、
また、偽陰性である可能性もある
ため、基本的な感染対策を怠らない
こと。
旅行開始日の 2 週間前から感染リスクを避けて生活すること。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001442240.pdf

つまり、そのようなツアーなどを利用する場合は、接種や検査の証明が必要だということのようです。その場合は、事業者が観光庁又は観光庁が指定する者に登録しなければならないとのこと。つまり、それを活用しない事業者は、接種や検査の証明を確認する必要はないということでしょう。

上記のような条件を出して、それでも感染したり感染させる可能性があるなら、確認する意味はあるのでしょうか?

留意点として、下記が挙げられていました。

民間事業者等がワクチン・検査パッケージを活用する場合
・観光庁の施策とは関係なく、民間事業者がツアーや宿泊施設の利用にあた
り、利用者のワクチン接種歴や検査結果を活用することは、原則として自
由であり、特段の制限を設けない
(観光庁又は観光庁が指定する者への
録も不要
。)。

・ただし、旅館業法(昭和 23 年法律第 138 号)など個別法においてサービスの利用制限の排除について定めている場合には法違反とならないように
ることに留意する必要があるほか、業界が接種証明利用のガイドラインを
定めた場合には、この内容にも留意しながら運用されることが望ましい。

学校等の活動に係るツアーや宿泊サービスについては、引き続き、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」等を踏ま
えた対応を行い、ワクチン・検査パッケージは活用しない

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001442240.pdf

民間事業者が独自に取り入れることも可能だということですが、学校などの活動に係るツアーや宿泊は適用外とのことです。また、旅館業法などの違反にならないように留意する必要があると書かれています。

第五条 営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。
一 宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき
二 宿泊しようとする者がとばく❜❜❜、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき。
三 宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=79088000&dataType=0&pageNo=1

旅館業法を見てみると、「伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき」は拒むことができると書かれています。「接種や陰性の証明がない=伝染性の疾病にかかっていることの証明」ではないので、拒むことはできないということではないでしょうか。

5.イベントや飲食店においては、緩和する部分のみ、ワクチン接種歴又は検査結果を確認すれば良いのか、それとも入店者・入場者全員のものを確認するのか。
回答:飲食店で同一テーブル5人以上で利用する場合には、当該5人以上全員のワクチン接種歴又は検査結果を確認する。
イベントについては、「ワクチン・検査パッケージ制度」により緩和される部分(上限人数を超えて追加可能となる入場者数分)について、入場者のワクチン接種歴又は検査結果を確認する。

https://corona.go.jp/package/assets/pdf/vaccine-package_qa_20211214.pdf

これはとても不思議な回答です。5人以上で利用する場合には確認するけれど、同じ店内で4人とか3人で利用するなら確認しないということになります。イベントでも、「上限人数を超えて追加可能となる入場者数分」は確認するけれど、それ以外は確認しないということなのでしょうか?

関連する回答を見てみましょう。

8.登録飲食店は、接種証明、検査結果通知書を忘れた人を店内に入れることは絶対にできないということか
回答:登録飲食店においても、同一グループ同一テーブルでの4人以下での会食の場合には、ワクチン接種歴又は検査結果の陰性の確認をする必要はない

https://corona.go.jp/package/assets/pdf/vaccine-package_qa_20211214.pdf

同じ店内に確認しない人もいるなら、確認する意味はあるのでしょうか? 

さらに、このように説明しています。

10.「ワクチン・検査パッケージ制度」において使用可能なワクチン接種歴の有効期限はいつまでか。
回答:有効期限は当面設定しないこととしているが、今後、ワクチン接種による感染予防効果の減退に関するエビデンスや3回目接種の進捗状況等を踏まえつつ、引き続き、国において検討予定。

https://corona.go.jp/package/assets/pdf/vaccine-package_qa_20211214.pdf


コミナティ筋注の添付文書には、下記のように書かれています。モデルナ製も同様です。

コミナティ筋注 添付文書

効果の持続期間がわからないのに、何を証明できるのでしょうか。

登録を希望する飲食店などは、本当にメリットがあるかどうか、登録前にじっくりと資料に目を通した方がよいと思います。

参考


ワクチン・検査パッケージ制度における抗原定性検査の実施要綱

医療従事者の不在時における新型コロナウイルス抗原定性検査のガイドライン <理解度確認テスト>

下記で募集した意見は、どのくらい聞き入れてもらえたのでしょうか? 聞き入れた結果が、これなのでしょうか・・・。