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居酒屋の開業はやめとけ?需要・将来性をデータとイラストで可視化してみた【市場分析】

残り10

どもー。
分析太郎です。

色んな仕事の将来性を
分析しています。

今回は居酒屋の
市場分析レポート
です。

仕事の将来性を把握する上で
市場分析は必要不可欠です。

起業するにせよ転職するにせよ、
将来性を把握しておかないと、
キャリア選択で痛い目を見ます。

なので分析太郎が、
データとイラストを駆使して、
将来性を分析しました。

それでは、見ていきましょう。

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【前編】居酒屋の将来性


まずは需給バランスを理解する

前編では、居酒屋業界の
将来性を確認していきましょう。
その前に、需給バランスについて説明します。

世の中には様々な市場があり、
その中でお金が取引されています。

そして市場の中には、
供給(事業者)需要(お客様)
存在します。

これらを釣りで例えるなら、
市場=釣り堀
供給=釣り人
需要=狙っている魚
と言えます。


そして、需要と供給にはバランスがあります。
イラストにするとこんな感じです。


本レポートでは、
居酒屋市場が4つのうち
どこに分類されるかを、
行政機関と業界団体のデータを
フル活用して考察していきます。

それでは、本題に話を移しましょう。


居酒屋の市場規模

それでは最初に、
居酒屋業界の
市場規模を確認しましょう。

一般社団法人
日本フードサービス協会の統計によれば、
2021年の居酒屋業界市場規模は
4,483億円、コロナ禍の影響で
ガクンと減少していました。

グラフを作成しました。


居酒屋業界の市場規模推移(1975~2021・46年間)
出典:JF外食産業市場動向調査(一般社団法人 日本フードサービス協会)


ものすごい減り幅ですね…。
居酒屋市場の成長具合は、
下記のように表現することが
できそうです。

  • 1970~1990(20年間):成長期

  • 1990~2000(10年間):成熟期

  • 2000~2020:(20年間):停滞期

  • 2020~:???

グラフを塗り分けてみました。

居酒屋業界の市場規模推移(1975~2021・46年間)
出典:JF外食産業市場動向調査(一般社団法人 日本フードサービス協会)


「家飲み」「宅飲み」など
コロナで生活が大きく変わった今、
人々は再び居酒屋を利用するのでしょうか。
後ほど詳しく見ていきます。

同規模の市場には下記市場が挙げられます。

  • 眼鏡小売(4,072億円)

  • ゲームセンター(4,440億円)

  • 文具・事務用品(4,576億円)

国内市場の立ち位置としてはこのあたりです。


国内市場における居酒屋市場の立ち位置
出典:市場規模マップ


そこそこの大きさという印象です。
この市場で、需給バランスは
どうなっているのでしょうか。



確認していきましょう。


居酒屋市場の供給の推移

それでは、居酒屋市場の
需給バランスを確認しましょう。
まずは供給から確認します。

ここでの供給は、居酒屋の
店舗数
・従業者数

の2点について見ていきます。

はじめに、
店舗数から確認しましょう。
グラフを作成しました。


居酒屋事業所数の推移(1991~2021・20年間)
出典①:H8 事業所・企業統計調査(総務省)
出典②:H11 事業所・企業統計調査(総務省)
出典③:H13 事業所・企業統計調査(総務省)
出典④:H16 事業所・企業統計調査(総務省)
出典⑤:H18 事業所・企業統計調査(総務省)
出典⑥:H21 経済センサス基礎調査(総務省・経済産業省)
出典⑦:H24 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑧:H26 経済センサス基礎調査(総務省・経済産業省)
出典⑨:H28 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑩:R3 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)


右肩下がりで減少傾向にあるようです。
コロナ禍に入る前から、減少傾向が
始まっていたようですね。

では、居酒屋で働く人は
どう推移しているでしょうか。
グラフを作成しました。


居酒屋の従業者数の推移(1991~2021・20年間)
出典①:H8 事業所・企業統計調査(総務省)
出典②:H11 事業所・企業統計調査(総務省)
出典③:H13 事業所・企業統計調査(総務省)
出典④:H16 事業所・企業統計調査(総務省)
出典⑤:H18 事業所・企業統計調査(総務省)
出典⑥:H21 経済センサス基礎調査(総務省・経済産業省)
出典⑦:H24 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑧:H26 経済センサス基礎調査(総務省・経済産業省)
出典⑨:H28 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑩:R3 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)


居酒屋の従業員数は
増加傾向で推移していましたが、
コロナの影響によりガクンと
減少していました。

どうやら、
一店舗あたりの従業者数は
増えている
ようですね。

その年の従業者数を
事業所数で割ってみました。
グラフを作成しました。


居酒屋一店舗あたりの従業者数の推移(1991~2021・20年間)
出典①:H8 事業所・企業統計調査(総務省)
出典②:H11 事業所・企業統計調査(総務省)
出典③:H13 事業所・企業統計調査(総務省)
出典④:H16 事業所・企業統計調査(総務省)
出典⑤:H18 事業所・企業統計調査(総務省)
出典⑥:H21 経済センサス基礎調査(総務省・経済産業省)
出典⑦:H24 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑧:H26 経済センサス基礎調査(総務省・経済産業省)
出典⑨:H28 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)
出典⑩:R3 経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)

居酒屋チェーンの拡大が
その理由かもしれません。

供給のデータを
簡単にまとめると、こうです。

・居酒屋の数は減少傾向
・居酒屋で働く人は増加傾向だったが、コロナの影響により1991年と同じ水準まで急減

つまり、
居酒屋における供給力は
縮小していると考えてよさそう
です。

従って現時点では、
先ほどの四分類では
このどちらかに分類されるのでは
ないでしょうか。



では、需要はどう
推移しているでしょうか。
確認していきましょう。


居酒屋市場の需要の推移

それでは、
居酒屋市場の
需要がどう推移しているか
確認していきましょう。

居酒屋はお酒で利益を出す
ビジネスモデルです。
従って、家計支出の飲酒代(外食)が
どう推移しているのか確認しましょう。

グラフを作成しました。


総世帯の年間飲酒代の平均支出金額推移(2007~2022・15年間)
出典:家計調査(総務省)


コロナウイルスの影響で
驚異的な勢いで
支出が落ち込みましたが、
2022年はやや回復しています。



そんな声も聞こえてきそうですが、
問題はここからなんです。

他分野の外食産業と比べて、
2019年(コロナ前)と
2022年(コロナ後)で
支出がどの程度まで回復したのか
確認してみましょう。

表を作成しました。


2019年と比較した場合の支出金額回復度合い
出典:家計調査(総務省)


あちゃ〜。。。
他分野の外食産業は
軒並み80%以上まで回復しているのに、
飲酒代は50%程度しか回復していません。

居酒屋はお酒で利益を出す
ビジネスモデルですので、
この傾向はしんどいですね。

そういえば最近、
缶ビールや発泡酒のテレビCM
めちゃ多くないですか??

緊急事態宣言が出され、
外でお酒飲めない状況だったら
まだ納得できます。

ですが、コロナも五類に移行されて、
居酒屋だって普通に行ける状況なのに、
とにかく缶ビールのCMが多い。

これはおそらく飲料メーカーが、
なかなか飲酒代(外食)が
回復しない現状を察して、
だったら家でもっと飲んでくれ!
売上立てんとあかんねん!
」と
広告費をかけまくっている影響でしょう。

この傾向が続くなら、
家飲み・宅飲みが定着化して、
さらに居酒屋から足が遠のく
可能性があります。

その証拠に、
2023年上半期の居酒屋・倒産件数が
急増してるようです。


なるほどなるほど。
ということは…
家飲み向けの缶ビールなどの
酒購入金額は上昇していることが
考えられますね。

そちらを確認してみましょう。
グラフを作成しました。


酒購入金額の推移(2007~2022・15年間)
出典:家計調査(総務省)


ん〜…。
確かにコロナ以降、
購入金額は上昇していますが、
それでも、2000代後半と
同じくらいでした。

同じ水準でも、
背景が大きく違います。

2000年代後半は、
もちろん緊急事態宣言なんて
出されていませんでしたから、
普通に居酒屋に行くことができました。

一方のコロナ禍は、
緊急事態宣言の影響で、
普通に居酒屋に行くことが
できませんでした。

それなのに、
購入金額が同じ水準なんです。

このことから、
下記のような仮説を
立てることができます。


居酒屋や自宅に関わらず、
人々はお酒を飲まなくなっているのではないか

仮説


この点について
確認してみましょう。

「国民健康・栄養調査(厚生労働省)」は、
年代別の飲酒頻度について調査しています。
そのデータをグラフにしました。


年代別・飲酒頻度(2019)
出典:R1 国民健康・栄養調査(厚生労働省)


あれまぁ…。
年代が下がるにつれて、
飲酒頻度が低下しています。

「毎日飲む」層は、
60代が24.1%に対し、
20代は4.9%でした。
19.2ポイント減少しています。

注目すべきポイントは、
「飲まない(飲めない)」層が
増えてきているわけではないということ。

「飲まない(飲めない)」層は、
20代が29.4%に対し、
60代は36%でした。

「飲まない(飲めない)」層は、
60代の方がむしろ多い
んです。

さて、先ほどの仮説を
改めて見てみましょう。


居酒屋や自宅に関わらず、
人々はお酒を飲まなくなっているのではないか

仮説


この仮説に適切に回答するなら、
こうです。


飲まなくなっているわけではなく、
飲む頻度が減少している

検証結果


居酒屋は、
お酒で利益を出すビジネスモデルです。
この傾向は、長期的に見ると
かなりしんどいですね…。


希望の光

ですが、
飲食業界には希望の光があります。
それがインバウンド(外国人観光客)です。

コロナで激減はしたものの、
インバウンドは急激な勢いで
日本に押しかけてきていました。

インバウンドの推移をグラフにしました。


訪日外国人観光客数の推移(1964~2022・58年間)
出典:訪日外客統計 時系列推移表(JNTO 日本政府観光局)


2012年は835万人だったのが、
2019年には3,188万人
外国人が来ています。
7年間で3.8倍です。

コロナでその数は激減したものの、
2023年現在、インバウンドは再び
日本に押し寄せてきています。

2022年は年間で383万人でしたが、
2023年は10月時点で既に
1,989万人来ています。

以前、うどん・そば屋の
市場分析を行いました。

その結果、
インバウンドの数と
うどん・そば市場規模は
強い相関があることがわかりました。

グラフを作成しました。


訪日外国人観光客数とうどん・そば市場規模の散布図(2000~2021・21年間)
出典①:訪日外客統計 時系列推移表(JNTO 日本政府観光局)
出典②:JF外食産業市場動向調査(一般社団法人 日本フードサービス協会)


訪日外国人数とそば・うどん店の売上高には相関があると考えられる


これはつまり、
インバウンドが増えるほど、
うどん・そば市場規模は拡大している

と考えられることを意味します。
(詳細は記事をご確認ください👇)


そこで、
居酒屋市場にも
相関があるのか調べてみました。
グラフを作成しました。


訪日外国人観光客数と居酒屋市場規模の散布図(2000~2021・21年間)
出典①:訪日外客統計 時系列推移表(JNTO 日本政府観光局)
出典②:JF外食産業市場動向調査(一般社団法人 日本フードサービス協会)


訪日外国人数と居酒屋の売上高には相関がないと考えられる


なんということでしょう…!
インバウンドと居酒屋の売上高には、
相関がほぼありませんでした。

つまり、
外国人がたくさん来るからと言って、
居酒屋市場が拡大するとは
考えられにくい

言えます。


さて、需要のデータを
簡単にまとめると、こうです。

飲酒代の支出金額はコロナ禍を経て回復傾向にあるが、他分野の外食産業と比較すると回復速度は遅い。年代層が下がるごとに、お酒を飲む頻度は減少傾向にある。インバウンドが増えれば居酒屋市場が拡大するとも考えられにくい。

データが出揃いましたね。
それでは、結論に入ろうと思います。


分析太郎の結論

まとめると、
居酒屋市場の
需給バランスはこうです。

【供給】
居酒屋の数は減少傾向
居酒屋で働く人は増加傾向だが、
コロナの影響により1991年と同じ水準まで急減

需要】
飲酒代の支出金額はコロナ禍を経て回復傾向にあるが、他分野の外食産業と比較すると回復速度は遅い。年代層が下がるごとに、お酒を飲む頻度は減少傾向にある。インバウンドが増えれば居酒屋市場が拡大するとも考えられにくい。

結論を出しますね。
需給バランス四分類で言えば、
ここに当てはまりつつあるのでは
ないでしょうか。



釣り堀(=居酒屋市場)の中で、
釣り人(=事業所数・従業者数)が減り、
魚(=市場規模、飲酒代、飲酒頻度)が
減少傾向にあることから、
このような結果になりました。

いかがでしたでしょうか。
今回は、居酒屋の市場分析を行いました。
ただ、これは日本全体の需給バランスであり、
当然ですが地域によって偏りが生まれます。

日本は他国と比較しても、
地域によって文化が特色が
段違いに異なります。

従って、
日本全体だけでなく、
さらにお住まいの地域についても
詳しく分析する必要があります。

そこで後編からは、
居酒屋市場のレッドオーシャン・
ブルーオーシャンな都道府県

特定していきます。


都道府県ごとの居酒屋の希少価値を分析しました


地域ごとの飲酒代を調査しました
お住まいの地域はいかがでしょうか


とある地域だけ、飲酒代が異常値でした
あなたがお住まいの地域かもしれません


都道府県別のブルーオーシャン・レッドオーシャンを特定しました


ここまで読んでくださった皆様が、
キャリア選択で後戻りできない、
取り返しのつかない状況にならないことを、
心から願っています。


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