【若干ネタバレあり】ノルウェーからやってきた童夢(大友克洋)『イノセンツ』【映画レビュー】
★★★★☆
鑑賞日:8月11日
劇 場:ミッドランドスクエア シネマ
監 督:エスキル・フォクト
主 演:ラーケル・レノーラ・フレットゥム
『わたしは最悪。』の脚本を担当したエスキル・フォクトの監督作。
『わたしは最悪。』は人生に悩むアラサー女性の話だったが、今回は団地に暮らす子供たちのサイキック・スリラーである。
前評判は映画『クロニクル(傑作!)』 ミーツ 漫画『童夢』とのこと。
主要人物は、同じ団地に住み、それぞれに悩みをかかえる4人の少女・少年。人種や家庭環境も様々でノルウェーの実情は知らないが現代的な設定である。
超能力を使えるからといって派手なアクションはそれほど無い。最初は石をちょっと飛ばすくらいのかわいいものだった。
しかし、それが徐々にエスカレートすることで惨劇が起こる。
子供だけに向こう見ずに動物や人を簡単に殺してしまうから残酷である。
そして、静かなラストバトルの末、決着を迎える。
鑑賞後、本作のレビューをいくつか読むと例の大友克洋による漫画『童夢』からの引用・インスピレーション・元ネタ・パクリとの記述がかなり出てきた。
なので、この際に『童夢』を購入。読んだ。
以下、大きくネタバレ。
途中まではインスパイア元の領域を出ない、オリジナルなストーリーと設定だなという印象。
が、映画のクライマックス。
団地の池を隔ててサイキックバトルのシーン。
いくら何でもこのシーンは『童夢』のラストまんまではないか。
このシチュエーション自体は団地の地形を活かした素晴らしくオリジナルな設定だと思う。
だが、バトルに密かに反応する子供、ベランダからバトルを眺める子供、ブランコ、とどめでガクッとなる感じ(周囲は気付かない)・・・
この辺りが完全に『童夢』と酷似。
日本版ホームページには『童夢』からのインスピレーションとあるが、エンドロールにはクレジットはなし。どうなんでしょうか。
映画しては、映像も音響も撮影も良くて十二分に面白かったです。
(text by President TRM)