見出し画像

HER MUSIC. HER LIFE. HER TERMS.『BACK TO BLACK エイミーのすべて』【映画レビュー】

★★★★☆
鑑賞日:11月24日
劇場:伏見ミリオン座
監督: サム・テイラー=ジョンソン
出演: マリサ・アベラ

キャリア最高潮を迎えたのち、27歳で夭逝した稀代のディーバ「エイミー・ワインハウス」
その波乱に満ちた 短くも濃密な エイミーの物語
生きた証を自らの肉体に刻み 欲望に正直なエイミー
その歌声はソウルフル その実内面は繊細で脆く壊れやすいエイミー 
その真っすぐすぎる純粋さは ときに相手を攻撃し傷つけ 
自らも蝕んでゆく
「歌うためだけに生まれてきたの?そんなのイヤよ」
名声なんかいらないとエイミー
うらはらに名声は増すばかり 天国と地獄を行き来する
欲しいものを一度は手に入れたが それはやがて手の中から零れ落ち   ついに本当に欲しかったものは手に入らぬまま 
2011年7月23日鬼籍に入る 
生前本人も恐れていた「27クラブ」の一員になってしまった。

二人の出会いが数々の名曲を生んだのだが…

マリサ・アベラがハマっていた モノマネではない声でエイミーを歌い上げエイミーの業の炎を体現、見事に演じきっていた 
不覚にも涙腺が緩む

ライヴシーンも見どころ

オーディションで何百人もの応募者の中から8人の女性に絞り込んでいた監督サム・テイラー=ジョンソンは、「7人はエイミーの格好をして、マリサはマリサの格好をしてきたが、マリサだけがカメラを見つめたときにエイミーだった。マリサはエイミーという人物を真に反映する何かを、自分の中に見出していた。そこにいた皆が“エイミーがそこにいる”と思った」と回想する。 当初、監督はエイミーの特徴的で親しみやすく、真似することが難しい声の特性から、女優の声をそのまま使う予定ではなかったという。 しかし、マリサは自身の声で感情的に物語を語れるようになるまでトレーニングを積み、映画を通してすべての歌を歌い、その素晴らしい歌声によって物語に説得力を持たせた。監督は「マリサとエイミーの声の違いは明確だが、観客はマリサの魂のこもった歌声によってエイミー自身だと勘違いしてしまう」と評価している。 マリサ・アべラはエイミー・ワインハウスの17歳から27歳までを説得力を持って演じられる唯一の俳優だったようだ。

シネマカフェ編集部


ドキュメンタリー映画『AMY』(2015)をまた観たくなってきた


若いころはAL『BACK TO BLACK』をヘビロテしていたが 歳を経て
今はAL『FRANK』を耳が欲している エイミーは永遠

「マンハッタンのマーサー・ストリートにある、小さなスタジオに彼女が訪れた日に、俺の人生は永遠に変わった。
 恐らく、『バック・トゥ・ブラック』で彼女と一緒に作ったような、とびきり魅力的な音楽を、俺がまた作ることはないだろう。その事実はもう受け入れている。自分は合理主義だから、そのことは彼女を失う前からすでに受け入れていた。(中略)
 2度と彼女と新しい音楽を作れないという事実には、相当頭に来ている。俺の創造的なソウルの一部が取り除かれてしまって、もう取り戻せない気もしている。そういう時は、1枚だけでも彼女と一緒に組めたのがどれくらい幸運だったのか、自分に言い聞かせるようにしている。口を開かないでもまったく同じ波長でいられた、あんなにいい友達を失った事実にも、頭に来ている。近くにいると、ほんの少しだけ、自分が完全になれるような気にさせてくれるのが、エイミーだった。(中略)
 この短い文章で、彼女に対する思いをあますところなく表現するのは、到底無理な話だ。俺は、彼女がここに一緒にいないことを、しっかり理解さえできていないのだから。エイミーのことは、常に頭の片隅にある。彼女は、自分の音楽と、毎日の生活において、絶対に妥協しなかった。だからもし、俺が彼女の人生と同じくらい正直に、完全無欠に音楽を作っていけたら、それでましな男になれるような気はしている。 

マーク・ロンソン談 AL『LIONESS: HIDDEN TREASURES』ライナーノーツより抜粋


もちろんヘビロテ中
サントラ買いに行かなきゃ

エイミー・ワインハウスが世界に残したものは、彼女自身が生まれた年月、俺自身が生きている年月を超えて、さらに生き続けると信じている。彼女の音楽は、これから生まれてくる世代をも、インスパイアーするはずだ。エイミー・ワインハウスはここに27年間しかいなかったけれど、彼女の作品はこの世界に永遠に残る。 

サラーム・レミ談 AL『LIONESS: HIDDEN TREASURES』ライナーノーツより抜粋


初めてその歌声に触れた時、ジャニスの声に受けた以来の衝撃が走ったのを覚えている
突然いなくなってから13年 早すぎるよエイミー R.I.P.

                       (text by 電気羊は夢を見た)



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集