
特別企画③:心に残る最強悪役 BEST3『哀しき獣』『2001年宇宙の旅』『悪の教典』、おまけ『ザ・ボーイズ』
メチャクチャ非道な悪もいれば、質の悪い純粋な悪もいる。必要悪にクレイジーな奴。目的も動機も様々だ。人間として正しくはないが思わず魅了されてしまう悪役を選んだ。
『哀しき獣』(2010年韓国映画)
監督:ナ・ホンジン
悪役:キム・ユンソク演じるミョン社長
韓国映画の中でも生涯ベスト級に大好きな『哀しき獣』。
同じく、ナ・ホンジン監督でハ・ジョンウとキム・ユンソクが共演する『チェイサー』と裏表の作品である。
『チェイサー』では元刑事を演じたキム・ユンソクが今作では裏社会のボス的な立ち位置のミョン社長に扮する。序盤はダーティーで豪快ないなたい親父の雰囲気だが、後半では暴力的な本性を全開で見せてくる。
圧巻なのは鍋の具材の牛骨を凶器にしてヤクザと戦う戦闘シーン。

武器は牛の骨だぜ!
これはヤバイぜ。
『2001年宇宙の旅』(1968年アメリカ映画)
監督: スタンリー・キューブリック
悪役:HAL 9000
言わずと知れたキューブリックのSFクラシック。
はて、この映画に悪役なぞ出てきたでしょうか?
いや、あいつがいる。

史上最高の人工知能HAL9000型コンピュータだ。
大学生の時に何の前情報も持たずに、とりあえず有名だから見てみた本作。題名どおり宇宙旅行の映画だと思ったら、まあそうなのだが、予想していたのとは全く違う内容に戸惑った。
公開は1968年。
50年以上前にAIの反乱を描くとはアーサー・C・クラークの元ネタがあるとは言え何という創造性だろうか。
前衛的かつ非常に挑戦的な映画だと思う。

『悪の教典』(2012年日本映画)
監督: 三池崇史
悪役:高校教師 蓮実聖司

題名に悪が入っているとおり、本作の主人公の伊藤英明演じる高校教師はメチャクチャ悪い。同情の余地が全くないほど完膚なきまでに悪。
その行動はなぜか爽やかさまで感じるほど潔い。
サイコパスと呼べばそれまでだが、点を取るスポーツのごとく殺しまくる姿は圧巻。

おまけ『ザ・ボーイズ』よりホームランダー

映画ではないが近年の映像作品でナンバーワン悪役と言えば、ホームランダーでしょう。
強い。とにかく強い。
逆らうヤツはすぐに殺す。
都合が悪くなれば殺す。

大衆が憧れるスーパーヒーロー。
冷酷非道なマザコンパワハラ野郎。
ホームランダーを崇めよ。
(text by President TRM)