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美しくも残酷な愛のかたち『ボーンズ アンド オール』【映画レビュー】
★★★★★
監督:ルカ・グァダニーノ
出演:テイラー・ラッセル
ティモシー・シャラメ
2022年米・伊合作映画
“骨まで愛して”
動物は皆 食べずに生き続けることはできない
歪な青春ラブストーリー 様々な州をまたいでのロードムービーでもある
マイノリティの 同族なるものの中にも個々があり 苦悩する者 あがく者 あきらめる者 謳歌する者
少年のような少女マレン 少女のような少年リー
抗えない宿命を生きる中で 必然的に出会った二人
美しき映像 言葉などいらない二人の愛の表現に目が離せない
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こういう役も美しく演じることが出来る 血だらけシャラメ 目を奪われる 人気なわけだ
出自を知っていく中で待ち受ける絶望的な未来 初めて旅に出て苦悩するマレンを それでも瑞々しく演じるテイラー・ラッセル 素晴らしかった
そこに 二人よりも遥かに長い時間を 絶望と共に生きてきたマーク・ライランス演じるラリーの孤独
『リトル・チルドレン』(2006)のジャッキー・アール・ヘイリーを彷彿させる見事な不穏感 登場すると心拍数があがった
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暗いテーマだが ラッセルとシャラメの2人の脆さ 純粋さと
老獪なライランスが 純粋な 愛の物語へと昇華させた
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己の愛の浅はかさを思い知らされる
美しくも残酷な究極のかたち 心震わされた
「ティモシーは自分が演じるキャラクターの視点からだけでなく、映画全体の観点から考えることができる稀有な能力を持っている」
ルカ・グァダニーノ
シャラメ主演 3月公開『デューン砂の惑星part2』が待ち遠しい
(text by 電気羊は夢を見た)