【映画】「戦慄せしめよ」感想・レビュー・解説
良い部分はとても良く、悪い部分はとても悪い映画だった。
悪い部分から書いていこう。
冒頭の40分ぐらいは、ひたすら眠かった。ほぼ寝落ちしかけてたので、ちゃんとした記憶があるわけではないが、それでも、ところどころなんとなく覚えている映像と音からは、何がなんだか分からない。とにかく、意味不明だった。
映画館で観ていたから最後まで観たが、もし配信で観ていたら途中で止めていたと思う。
あと、「余計な演出」が多い。これは、後で触れる「良い部分」がとても良いので、変な演出を加えずにそのまま見せればいいのに、と思ったのだ。もちろん、演出なしでシンプルにそのまま見せている箇所もある。全編、そのスタンスで貫いても良かったんじゃないかなぁと思う。日本海を思わせる海の映像に重ねるようにして、何が映っているのかよく分からない映像がダブってるシーンとか、なんだかよく分からなかった。僕にはまったく知識がないのでなんとも言えないが、「編集技術」が高いとは思えない作品だった。
では良い部分に触れよう。
とにかく「太鼓の演奏」が素晴らしかった。
映画を観ながら、「太鼓」は「演奏」でいいんだろうか、なんて考えていた。英語にしたら恐らく「play the taiko」ぐらいの感じになるのだろうが、日本語の「演奏する」はあまり適していない気がする。
実にパワフルなのだ。「楽器を演奏している」という感じではまったくない。
特に、人間に身長よりも長い直径ではないかと思うほど大きな和太鼓を2人で叩いている場面は圧巻だった。人間の腕はこんな風に動き得るのか、力強くバチを叩きつけているのにこれほど頭部はブレないものか。地球の底から沸き上がってくるようなその響きにはガツンと頭を殴られたような感じがした(だからパチっと目が覚めた)。
その後の、日本の太鼓ではなさそうな、どこかの国の民族楽器のような太鼓を4人で叩く演奏も凄い。和太鼓の時と違い、バチをムチのようにしならせてリズミカルに叩いている。そしてその状態で、4人が一糸乱れぬ演奏を長時間に渡って続けるのだ。何がどうなってるのかさっぱり分からないようなムチ(バチ)さばきが圧巻だった。
その後は、総勢10名ほどのメンバーで和太鼓(先ほどのよりは大分小さめ)を叩く演奏が始まる。これも凄い。「音が合っている」というだけではなく、腕のフリのシンクロまで完璧なのだ。あれだけ高速でバチを叩きながら、人間の身体はこうも動きを合わせられるものなのかと感動した。
今風に言えば「インストゥルメンタル」ということになるのだろうが、太鼓という楽器1つでここまで圧巻の演奏ができることに驚かされた。ちょっと凄いな。
あと、太鼓ではないのだが、1組の男女が声で音程みたいものを奏で、そのバックで小さく太鼓が鳴っている、みたいな場面もあったのだけど、その男女(特に女性)の声もすごかった。どうやったらあんな声が出るんだろう。これもまた驚かされた。
とにかく余計なことをせずに、太鼓の演奏だけをひたすら映していれば成立すると思う。それぐらい、太鼓が凄い。「余計なことをしている」という点が大きく減点なのだけど、とにかく演奏は素晴らしかった。
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