【映画】「焼け跡クロニクル」感想・レビュー・解説

凄く面白かった、というわけではなかった。
でも、確かになるほどなぁ、とは感じた。

火事で自宅を失った人は、その後どう暮らしているんだろう? と。

シンプルに「へぇ」と感じたのは、火事から数日、市が公民館を貸してくれたことだ。全国どの自治体も同じことをしているわけではないかもしれないが、火事に遭った後、住む場所がないのが一番困る。

火災の後の実況見分に立ち会ったこの映画の監督・原將人は、消防の人から「今にも崩れそうなので、絶対に入らないで下さいね」と言われる。まあ、確かに危険なのだろう。しかし、じゃあどうすればいいのか。結局その後家族は焼け跡に入っていくのだが、真新しい柱みたいなのが見えた木もするので、崩れないように補強したのかもしれない。その辺りの具体的なことは描かれていなかった。

原將人のこんな話も興味深かった。自宅が燃えていると気づいた彼は、パソコンとハードディスクだけは救おうと、煙が充満する自宅に入っていく。そこで目にしたのは「キャンプファイヤーよりも小さな火」だったそうだ。彼はそこで観た景観を「ファンタジー」と評し、「炎と炎が手を繋いで踊っていた」と語っていた。しかしそんな小さな火だったにも関わらず、原將人はかなりの火傷を負っていた。火の大きさではないのか、と感じた。

そういう、「火災という災厄に見舞われた人にしか見えない世界」が映し出されているという点は、結構興味深かった。

全体的には、「ホームビデオ」という感じが強い。別にそれを悪いというつもりはない。恐らくそういう映画だろうな、と思って観に行ったので予想外というわけでもない。

全体的に、幼い双子の娘の言動がとても面白くて可愛い。「火事」という悲惨さなどなかったかのような明るさが保たれるのは、双子のお陰だろう。しかしそんな彼女たちも、時々、何かしんどさを発露するような場面がある。決して元気で明るいだけではない。

原將人は「伝説の映画監督」らしい。僕は知らなかったし、映画も観たことがない。ただ、この「焼け跡クロニクル」の公開を記念して何作か公開されるようだ。ちょっと観てみたいと思う。

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長江貴士
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