【映画】「占領都市」感想・レビュー・解説

うーん、という感じだった。

本作はドキュメンタリー映画で、252分、4時間以上もある。そして、おおよそ半分ぐらいのところで15分間の休憩があったのだが、その休憩中に帰ってしまった。ちょっとさすがに無理すぎて。

本作は、「オランダでのホロコースト」が描かれる。ナチス・ドイツの占領下に置かれたオランダ、特にそのアムステルダムにおいて、「ユダヤ人排除」がどのように行われていったのか、その記憶が語られる作品だ。普段なら、僕にとっては興味深いテーマであり、途中で抜けるなんてことはありえないが、今回はダメだった。

さて、本作の構成は、こんな風になっている。まず、「ユダヤ人の排除」に関わる現場の「今の姿」が映像で映し出される。そして、その映像を背景に、ナレーションがそこで何が行われたのかを語る。語られるのは色んな話であり、例えば、「ドイツ軍がやってくる前に、美術館からレンブラントの『夜景』を運び出した」みたいな話があるかと思えば、「売春婦がアーリア人と性交したという理由で拘束された」なんて話も出てくる。

そして、そういう構成のまま、ひたすら「現在の姿」と「そこで過去何が行われたのか」が説明されるというわけだ。

さて、僕がダメだったのは、とにかく「現在の姿」の映像がつまらなすぎたこと。単なる風景が映っているだけだったり、工事現場だったり、若者が騒いでいたりといろいろだが、とにかく、ホロコーストのナレーションが乗っかる「現在の姿」の映像がつまらなすぎて眠くて仕方なかった。ナレーションで語られている話は興味を掻き立てるものも多かったのだけど、とにかく資格情報が絶望的につまらなくて、ナレーションが入ってこない。

もちろん、そういう構成にした意図は理解できる。「現在の姿」はホロコーストとはまるで関係ないものになっていて、まるで街全体がその歴史を無かったことにしようとしているかのようだ。だから、「まさにここで惨劇が起こったのだ」ということをはっきりと伝えるために、そういう構成にしたのだろう。

ただ、それが自分にとって見覚えのある光景なら機能するだろうが、全然知らない風景だから「???」という感じだった。例えばだが、渋谷のスクランブル交差点とか東京タワーとか、あるいはそんなメジャーな場所じゃなくても日本のどこかの街並みとか、そういう風景に乗せて「ここではこんなことが起こったんだ」みたいな説明がナレーションでされたら、それは僕にとっては関心を持って観れる対象になると想う。でも、アムステルダムのことは知らない。知らない風景がひたすら流れるだけなので、「なるほど、”あの場所”でこんなことが」みたいな感じにはなれない。

まあそんなわけで、僕にとっては非常に残念な鑑賞体験だった。休憩までの2時間でも結構苦痛だったからなぁ、4時間なんて無理だったなぁ、絶対。

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長江貴士
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