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教育の「常識」疑え

※文化時報2023年11月10日号掲載の社説です。

 滋賀県東近江市の小椋正清市長(72)が「フリースクールは国家の根幹を崩しかねない」などと発言したことが問題になった。反発を受けて県内のフリースクール関係者に謝罪したものの、発言自体の撤回は拒否。関係者から撤回と協議を求める署名約3万6千筆が市役所に提出された。学びの場を提供する機会のある宗教者にとっては、掘り下げて考えるべき課題だ。

 発言は10月17日、滋賀県首長会議の席上でなされた。京都新聞が動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開した音声データによると、小椋市長は「フリースクールの存在を役所の立場で認めることは、公立学校の存在を否定することにつながる」と述べた。暴論である。

 文部科学省の調査では、不登校の小中学生は2022年度、過去最多の29万9048人に上った。小学生が10万5112人、中学生が19万3936人で、小学生の59人に1人、中学生の17人に1人という割合だ。不登校の基準となる年間30日の欠席日数に満たない〝行き渋り〟の子を含めると、人数はさらに膨らむと推測される。

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