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障害者向け法要開催

※文化時報2022年2月4日号の掲載記事です。写真はスロープなどの設備が整う清浄華院の境内。

 浄土宗大本山清浄華院(京都市上京区)は、2024(令和6)年に迎える開宗850年慶讃事業で、障害のある人だけを招いた慶讃法要を開催する方向で調整を進めている。肢体の不自由な人や知的な発達に遅れのある人らが、気兼ねなく参加できる法要を開き、あらゆる人に平等な大本山を内外に打ち出す。(大橋学修)

 清浄華院は、山内全ての堂宇に至るルートにスロープを設けており、車椅子での移動が容易にできる。また、障害者のホームヘルパー(訪問介護員)の経験がある役職者もいる。

 開催にあたっては、境内に立地する介護老人福祉施設「月影(つきかげ)苑」や、障害者支援に取り組むNPO法人「暖(のん)」(京都市南区)の利用者を招待することを検討。人員確保など受け入れ体制を整える。

 一方で多目的トイレがなく、整備が必要なため、クラウドファンディングの実施を模索。支援の呼び掛けを通じ、障害者に開かれた大本山としての立場をアピールする。

気兼ねを取り除く

 障害の有無にかかわらず、誰もが当たり前に暮らすという「ノーマライゼーション」の精神が社会に広がるに従って、全国の寺院では、境内や堂宇のバリアフリー化が進んでいる。曹洞宗人権擁護推進本部は昨年6月、障害者理解に向けた啓発イベントを実施するなど、障害のある人との向き合い方を模索する動きもある。

 ただ、障害のある子どもの親にとって、お寺への参拝でバリア(障壁)となるのは、段差や周囲の無理解だけではないという。

 NPO法人「暖」の職員で浄土宗僧侶の野田博之さんは「利用者にはお寺に興味のある人が多いが、『騒がしくしてはならない』といった思い込みがあり、行きにくいと感じているようだ」と指摘。「行きやすい環境が求められるのではないか」と話す。

 重度の知的障害のある長女がいる一般社団法人「親なきあと相談室関西ネットワーク」代表理事の藤井奈緒さんは、「障害者を区別している」との批判があり得るとしながらも、「障害のある子の親は、気兼ねの塊。障害者向けの法要があれば、とてもありがたい」と、清浄華院の構想を評価する。

 一方で、「多動の子はいろいろな物に興味を持つので、親は『壊してしまうのではないか』と気を使ってへとへとになる。しっかりしたサポート体制をつくってほしい」と要望した。

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