隠元禅師350年大遠諱で祥当法要 黄檗宗
※文化時報2022年4月12日号の掲載記事です。
黄檗宗は宗祖隠元禅師の没後350年を迎えた3日、大本山萬福寺(京都府宇治市)の開山堂で祥当法要を営んだ。当初3月28日~4月3日に予定していた大遠諱(おんき)の大法要は、新型コロナウイルスの影響で分散開催とし、大幅に縮小した。一般向けの式典は10月3日の法要で行う。
隠元禅師は中国福建省の萬福寺で住持を勤めた明代末期の高僧。日本からの度重なる招請に応じて1654(承応3)年に来日した。後水尾天皇や臨済宗妙心寺派大本山妙心寺住持の龍渓(りゅうけい)禅師らの助力と江戸幕府の印可を受け、萬福寺の開山となった。
祥当法要は、近藤博道管長を導師に、荒木將旭内局や塔頭(たっちゅう)寺院の住職、遠諱実行委員らが出頭。臨済宗各派や一般寺院からは参列者を呼ばずに厳修した。近藤管長は禅宗の興隆と日本文化の発展に寄与した宗祖の遺徳をしのび、後水尾天皇をまつる舎利殿でも法要を勤めた。
法要終了後、近藤管長は50年前の300年大遠諱で修行僧として黄檗山禅堂に入っていたと明かし、「前回の大師号『華光』を受けた宗の要職を京都駅まで出迎えた。今回、導師として関われたことに感慨深いものがあった」と語った。
遠諱実行委員会の事務局長を務めた荒木將旭宗務総長は「厳粛な中で立ち会えたことに感謝したい。隠元禅師が伝えられた法やその恩に報いる」と語った。その上で、「分散開催となったが、それを逆手に取り、遠諱イヤーとして多くの方々と共に祝いたい」と述べた。
今年の遠諱行事としては、すでに宮内庁からの大師号追贈を祝う法要を厳修。10月3日の式典で一般参拝者に諡号(しごう)を披露する。授戒会は10月1日に実施。記念事業の一環で整備された4伽藍(がらん)の落慶法要については、5月21、22の両日の全国煎茶道大会と10月の普度勝会に分けて営む。団体参拝は年末まで受けている。
あぐらでなく坐禅を
再任した黄檗宗の近藤博道管長(74)は3日、宗祖隠元禅師350年大遠諱祥当法要後、文化時報などの取材に応じ、「前回は禅堂の修行僧として、今回は禅堂師家を務める宗派管長として関われたことに、縁を強く感じた」と語った。
近藤管長は、教学部長などを歴任し、後継者育成に長年携わってきた。2015(平成27)年の管長就任以降、350年大遠諱事業を執行するため90カ寺以上を巡回。3月24日に7年間の任期満了を迎えたが、宗内から再任を望む声が多く上がり、期待に応えて続投することにしたという。
全国巡回では「一般寺院の声を聞き、宗門の将来を見据えて、今回の遠諱を通し宗祖の教えを継承していかなければならない」と、改めて感じたという。
その上で、禅堂や僧堂での修行生活が出発点だと強調。宗の僧侶には「お坊さんという立場にあぐらをかくのではなく、坐禅を組んでもらいたい」と求め、「禅とは行動すること。社会に関わり続けてもらいたい」と呼び掛けた。
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