【能登半島地震】100カ寺超被災…教団、結束して支援
※文化時報2024年1月12日号に掲載予定の記事です。実際の新聞掲載時に情報が更新されている可能性があります。
2024年元日に最大震度7を観測した能登半島地震で、甚大な被害が出た石川県内では、本堂や鐘楼が倒壊する寺院が相次ぎ、土塀が倒れたり屋根瓦が落ちたりといったケースを含め、100カ寺以上が被災した。いずれの教団も通信障害などが原因で情報収集が進んでおらず、全容は明らかになっていない。支援体制の整備が急がれる。
真宗大谷派、Xで発信
真宗大谷派は、西勝寺(珠洲市)の本堂が倒壊したほか、複数の寺院で本堂の半壊や仏具の損壊などが見られ、門徒の死傷者も出ている。金沢教区では3カ寺が半壊、4カ寺が外壁などの一部損壊を確認した。
現地支援に向けては、3日に宗務役員6人がトラックに支援物資を載せ、金沢別院(金沢市)へ出発。5日には能登教区教務所(石川県七尾市)に物資を搬入した。各所に物資を届けながら、現地調査を進めている。
また短文投稿サイト「X(旧ツイッター)」に、宗派の支援活動や現地の被災状況を伝えるアカウントを開設。救援金の募集も始めた。「郵便振替 00920―3―203053」、名義「真宗大谷派」で受け付けている。通信欄に「令和6年能登半島地震」と記載する。
曹洞宗、SVAも始動
曹洞宗は、石川県宗務所の管轄約100カ寺で被害を確認した。輪島市の大本山總持寺祖院と蓮紅寺、能登町の太盛院、珠洲市の金峰寺、七尾市の悦叟寺、東嶺寺などで諸堂が倒壊するなどした。現在も調査中という。
支援活動については、全国曹洞宗青年会が8日、髙栁龍哉副会長と宮本昌孝副会長を中心に、食料などの支援物資を運搬した。田ノ口太悟会長は「被害状況が明らかになった時点で、被災者の傾聴活動などを進めたい」と語った。
曹洞宗系のシャンティ国際ボランティア会(SVA)の村松清玄氏と井康博氏も7日から現地に入り、地域団体などと連携。緊急支援募金も開始した。「郵便振替 00170―8―397994」、名義「SVA緊急救援募金」。通信欄に「令和6年能登半島地震」と記載する。
宗も義援金の募集を開始。「郵便振替00190―2―604062」、名義「曹洞宗義援金」まで。
浄土真宗本願寺派は9人現地へ
浄土真宗本願寺派は、石川県で38カ寺、新潟県で19カ寺が被害を受け、本堂や庫裏、鐘楼が全半壊した。富山県高岡市の勝興寺では、国宝に指定されている本堂の柱2本に金箔(きんぱく)の亀裂が見つかった。
6日には、復旧支援隊職員9人が石川教区教務所(金沢市)へ出発。要望を受けた物資を運び込み、支援を開始した。災害義援金も募集。振込先は「ゆうちょ銀行109店 当座0069957」、名義「たすけあい募金」。通信欄に住所、連絡先、領収書の宛名のほか、「能登地震」と記載する。
高野山真言宗、40カ寺の安否分からず
高野山真言宗は、光善寺(石川県七尾市)で本堂の天井が落下し、昭竜寺(富山県小谷部市)の本堂屋根や、上日寺(富山県氷見市)の壁などで被害が確認された。
ただ、被害が大きいと考えられる明泉寺(石川県穴水町)の能登宗務支所については、支所長と連絡が取れておらず、支所下の約40カ寺の安否確認ができない状況という。
宗は2日に災害対策本部を設置。5日には社会人権局の職員4人が石川支所長の自坊、妙観院(北原久禅住職、石川県七尾市)に入り、情報収集を開始した。
天台宗は現地拠点検討
天台宗は、翠雲寺(石川県珠洲市)で本堂の柱が折れたり、鐘楼が倒壊したりしたほか、複数の寺院から瓦の崩落や壁の損壊などの報告があった。
阿部昌宏宗務総長らは4日に天台宗務庁で緊急会合を開き、天台防災士協会の会員らとともに今後の支援体制を協議。8日まで情報収集を行った上で、総本山比叡山延暦寺と共同で災害対策本部を設置する見通し。必要に応じて北陸地方と信越地方に現地事務所を置く。
浄土宗は状況確認
浄土宗は、七尾市以北の奥能登にある寺院の被害が多く、本堂が倒壊した宝幢寺(七尾市)のほか、30カ寺余りで諸堂の半壊や全壊などの被害が出た。道路事情や通信障害で未確認の寺院も多く、今後も被害は増える見込みという。
宗務庁は、被災寺院への視察やお見舞いを予定しているが、道路状況が整った段階で、石川教区と調整する。支援についても、移動が可能になった時点から開始する。
日蓮宗、住職らけが
日蓮宗は昨年5月に起きた地震で大きな被害を受けた本住寺(石川県珠洲市)が再び被災。本堂、庫裏、山門が倒壊し、大句哲正住職と寺庭が軽傷を負った。長壽寺(同県七尾市)では鐘楼が倒壊し、本山妙成寺(同県羽咋市)は仏像や灯籠などが倒れた。
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