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最後の晩餐なに食べる? 私は|うなぎ|と答えていますね。 さて源内先生は?
数年に一度は、こんな会話をしていると思う。
最後の食事は、何を食べたいか。
親・パートナーの手料理、おふくろの味、白米、味噌汁は別ジャンルの会話として膨らむだろうから、ひとまずテーマを正してみる。
焼肉なのか、お鮨なのか の延長のような話題なのです。
ステーキ、唐揚げ、ハンバーグ、カレー、とんかつ、ミートソーススパゲティ、チャーハン辺りとの比較かな。
一番好きな食べ物、そこに最後の食事というキラーワードが、付加価値を付けるのです。
やっぱり|うなぎ|だな、私は。
あの、醤油が焼けた甘辛さが香りで表現されてしまう不思議な香ばしいタレ。
注文から、しばしの時間待つのがまた楽しく嬉しいのです。
しばし、という言葉は、うなぎを待つ事を指すために生み出されたのだろう。
隣の先客に届けられ、蓋が開いた瞬間、鼻に届く香りで、もう白米が食えそうである。
池波正太郎は、|心が踊る|と表しましたね。
うなぎ が舌に届く前です、蒲焼を待つ楽しさが、心が踊る状態だと。
しばし、経つと届けられます。
皮側の"かしっ"とした歯ざわりの後に、その皮の脂も馴染んだ しっとりとした
柔らかさ。ふわっとしてるのです。
食を進めて消化してしまうのが一口目から、もう惜しくなる。
二口目は白米と一緒に。
これが不思議なのです。
白米も脂の旨みで進化して、うな重用白米へモデルチェンジしている。
もう、惜しいとか消化とか難しい言葉は忘れて、ただただ食を進めるだけ。
うなぎだけを口入れたり、白米多目のアレンジを楽しんだり、まだ心が踊っているわけです。
最後の一口は白米で重箱の隅、淵の旨みをぬぐって完食です。
美味しかったです、の一言と共に、洗い物の軽減という形で表します。
吸い物が、また良いですよね。
こんなに透明なのに、なぜにこんなに深い味わいなのだろう。
今年の土用丑の日は、七月二十七日(土曜日)
土用丑の日 / 平賀源内 / といえばキャッチコピーですよね。
日本初のコピーライターなんて言われています。広告業に馴染みのある人間には特別な食べ物、いや うな重という作品なのです。
夏の土用丑の日はうなぎが美味しいから食べろではなかった。
学者、芸術家の天才偉人としてのインプットが、糸井重里氏の先輩のような親近感に変わります。
需要が低い時季に言葉で売上貢献し250年も認知されているという驚き。
だがこれは、うなぎは一年中美味いからだ と先人は仰ることでしょう。
神田神保町、すずらん通り脇 |うなぎ かねいち|
神田神保町、すずらん通り脇、創業43年の老舗ながら、とっても入りやすく人気なのが 神保町かねいち。ランチタイムには周辺オフィス街から老若男女が気軽に入店していきます。
土用丑の日にこだわらなくても近い日や、ご褒美や景気付けの食事には一年中美味しい|うなぎ|を選びたいものです。