ネイティブライクへの道〈15〉~従属接続詞 because の日本での扱い続編~
Welcome again to my endless journey of learning and teaching English!
このシリーズは、ELSA Speak という発音トレーニングアプリの効果を調べるとともに、私の英語教員としてのつぶやきを載せています。
このアプリは、Hikaruさんの記事で初めて知りました。
前回の投稿から今までの進捗状況
12月10日(木)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音81%, 流暢性88%, イントネーション80%, 強勢99%)
12月11日(金)84%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音82%, 流暢性88%, イントネーション80%, 強勢99%)
12月12日(土)84%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音83%, 流暢性89%, イントネーション80%, 強勢99%)
12月13日(日)84%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音82%, 流暢性89%, イントネーション80%, 強勢99%)
12月14日(月)85%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音84%, 流暢性89%, イントネーション80%, 強勢99%)
12月15日(火)85%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音84%, 流暢性89%, イントネーション80%, 強勢100%)
12月16日(水)85%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音85%, 流暢性88%, イントネーション78%, 強勢100%)
一見順調に向上しているように見えますが、その日のお題の内容によって、私にとって難しかったり易しかったりするので、このパーセントの数字は余り信用しないようにしています。でも、そうは言っても、人間なので、数字が上がればうれしいです(笑)。
「ビコーズ問題」続き
前回の私の記事を読んで下さった greenTさんが、ご自身の記事でこの問題を取り上げてくださいました。
前回の記事は、ちょっと感情的になりすぎて(笑)、誤解を招いてしまったかもしれないと反省しています。この問題のポイントを以下にまとめます。
日本の学校英語では、「Why で聞かれたら Because で答えを始めなさい」と教えることがよくあります。しかし、それは以下の2点において問題であると私は考えています。
①そもそも、because で始める必要は無い。例えば、Why were you late for school? と聞かれて、I was sick this morning. と答えるのは自然である。私はこの答え方をどう思うかと、英語を教えているネイティブ・スピーカー数人に聞いたところ、皆、この答え方は正しいと答えた。むしろこちらの方が、 Because I was sick this morning. よりも文法的に正しいから好ましい、と答える人もいた。
②Because は、if や when と同じ従属接続詞なので、because S V (because 節)だけでは、文にならないのに、多くの日本の先生がこの because 節を文として認めている。
よく、日本の記述テスト問題で、「以下の英語の質問に、英語で答えよ。ただし、主語と動詞を含む完全な文で答えよ。」という問題があります。
そのような問題では、例えば、Which subject do you like best? と聞かれて、Music. と答えたらバツ。正解は、I like music best.
しかし、同じ条件の問題で、Why do you like music? に対して、Because I enjoy singing. をマルにする先生が多いのです。これはおかしい!もし、文で答えないといけないなら、I enjoy singing. または、I like music because I enjoy singing. 等でないといけないはず。(私は、前者の文の方がシンプルで英語らしいと思いますが。)
when 節や if 節は、それだけでは文にならないと、すぐに気づくのですが、because 節はなかなか気づいてもらえない。それは、きっと頭の中で和訳しているからだと思います。when ~「~するとき」や if ~「もし~ならば」は、日本語でもそれだけでは文にならないのが明らかですが、because ~を「なぜなら~だから」と訳してしまうと、文のように聞こえるのだと思います。
恐るべし、直訳!!
ただし、「完全な文で答えよ」という条件が無かったら、Music. という答えも、Because I enjoy singing. という答えもマルです。会話ならば、両方とも何にも問題ありません。
また、前回の記事では、because 節と主節の順番について、私は、because 節を前に持ってくるのは(文法的には正しいが)不自然である、と書きました。これについても、一言付け加えさせてください。
私が修士号を取った、テンプル大学日本校の英語教授法の教授(アメリカ人)が、「日本に長く住んでいるネイティブ・スピーカーの中には、日本語の文法に影響されて、不自然な英語を書く人がかなりの数いる。」とおっしゃっていました。
その例として、日本語では、従属節を前にもってくるので、英語でもそれをやってしまい、不自然な英語を書いてしまうことを挙げていました。
例えば、日本語では、「今日は疲れたから、早く寝たい」とか「私が家に帰った時、母は昼寝していた。」と言います。英語では、I want to go to bed early because I feel tired today. とか、My mother was taking a nap when I got home. と言うのが自然です。
because 節や when 節、つまり従属節が後ろにくるのです。主節が前にくるのです。
Because I feel tired today, I want to go to bed early. とか、When I got home, my mother was taking a nap. というように、日本語と同様に従属節が前にくるのは不自然に感じられる、とその教授はおっしゃっていました。
私はそう聞いてから、意識して、聞いたり読んだりしてみましたが、確かに、従属節が後ろの方が圧倒的に多く感じられました。正確にデータを取った訳ではなく、感覚ですが。
そもそも、英語では、主語と動詞とか、否定語とか、大事な言葉は前にあるのが自然ですもんね!
それでも、あえて、従属節を前にもってくることがあるのは、その従属節の内容を強調したいときだと思います。英語では、強調したい言葉を前に出すクセがあります。
… 何と、ビコーズ問題の誤解を解こうとしただけで、もうこんなに書いてしまいました。今日は、この辺で。
ちなみに、greenTさんは、ご自身で何と中国語のテキストを調べられ、このビコーズ問題が中国ではどのようになっているか、上にリンクを貼った記事の中でご紹介なさっています。とても興味深いので、是非、ご一読を!
That's all for now! See you next time! Until then, keep practicing!
「ネイティブライク」という言葉について… native-like という形容詞で、「ネイティブ・スピーカーではないけれど、それに非常に近い」という意味です。
「ネイティブ・スピーカー」という概念について… 応用言語学者の中には、ネイティブ・スピーカー至上主義(native speakerism)を批判する人も少なくありません。私も、ネイティブ・スピーカー至上主義は支持しません。私がこの記事で「ネイティブライクになりたい」と言うのは、発音練習が私の趣味だからです。英語はいろんな文化的背景を持った人たちがコミュニケーションのツールとして、第2言語として使うものですから、その人たちの第1言語(母語)に影響された英語(訛りのある英語)が使われるのは当然のことです。訛りのある英語も、アメリカやイギリスのニュースキャスターが使う英語も、言語として優劣は無いと考えています。世界には、native speaker の英語教師よりも non-native speaker の英語教師の方が、はるかに数多く存在します。私もその non-native speaking teacher of English であることを誇りに思っています。
私(1970年生まれ、インターネットが登場する前に大人になった)の英語学習歴… 子供英会話教室(当時はまれ)に通ったのがきっかけで、中学生頃から自分で英語漬けの生活を始める(中学校での壮絶ないじめからの逃避願望もあった)。NHKラジオ講座、文化放送「百万人の英語」、FEN(在日米軍ラジオ放送)、アメリカ映画、アメリカの十代向け雑誌など。フツーの公立中に通いながら、中2で英検2級。高校は海外帰国生が全生徒の3分の2という私立高校(ICU高校)で、アメリカ英語の洗礼を受ける。帰国生に負けまいと英会話スクールに通う。高2で英検準1級。高3で英語の先生に帰国生と間違われて内心ガッツポーズ(笑)。大学(ICU)で英語専攻。英会話スクールにも同時に通う。大学2年で英検1級。アメリカ人の教授について卒論も英語で書く。アメリカの大学院に1年在籍、アメリカ史を専攻して挫折して帰国。高校の英語教員になり、25年。その間、TOEIC 980点、通訳ガイド(通訳案内士)、TESOL(英語教授法)修士号(Temple University Japan)を取得。NHKラジオ講座は中学生以来、時々ブランクはあるけれど、聞いている。今は、アメリカのリアリティ番組にドはまり中。Podcast も好き。