ネイティブライクへの道〈21〉~高校の授業におけるスピーキングとは?~
Welcome again to "A Journey to a Native-Like Speaker of English"!
去年の9月12日から始まったこのシリーズは、ELSA Speak という発音トレーニングアプリの効果を調べるとともに、私の英語教員としてのつぶやきを載せています。
このアプリは、Hikaruさんの記事で初めて知りました。
前回の投稿から今までの進捗状況
2月10日(水)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音84%, 流暢性82%, イントネーション74%, 強勢95%)
2月11日(木)84%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音85%, 流暢性83%, イントネーション74%, 強勢95%)
2月12日(金)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音84%, 流暢性84%, イントネーション75%, 強勢95%)
2月14日(日)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音83%, 流暢性84%, イントネーション75%, 強勢94%)
2月15日(月)82%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音82%, 流暢性85%, イントネーション75%, 強勢94%)
2月16日(火)82%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音82%, 流暢性85%, イントネーション75%, 強勢90%)
2月17日(水)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音83%, 流暢性85%, イントネーション75%, 強勢90%)
2月18日(木)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音83%, 流暢性85%, イントネーション75%, 強勢92%)
2月20日(土)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音83%, 流暢性85%, イントネーション75%, 強勢92%)
2月21日(日)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音83%, 流暢性85%, イントネーション75%, 強勢93%)
2月22日(月)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音82%, 流暢性86%, イントネーション76%, 強勢93%)
2月23日(火)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音82%, 流暢性86%, イントネーション76%, 強勢94%)
2月24日(水)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音83%, 流暢性86%, イントネーション76%, 強勢94%)
2月25日(木)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音83%, 流暢性86%, イントネーション76%, 強勢94%)
2月26日(金)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音83%, 流暢性87%, イントネーション76%, 強勢95%)
一時は、「85-86%ネイティブ」だったのが、ジワジワ下がっては持ち直す、の繰り返しで、結局低めで安定している気がします。
先日、このアプリを使っていらっしゃる amairo さんの記事を読み、コメントさせて頂きましたが、amairo さんによると、アプリの精度が上がっているのではないか、とのこと。確かに、私が使い始めてから数か月の間に、いろんな機能が加わっているので、発音測定の精度も上がっているはずです。
ということは、一時の「85-86%ネイティブ」は、やはり甘すぎたんですね。もっと謙虚に頑張らないと(笑)。
高校の授業におけるスピーキングとは?
前回の記事では、学習指導要領について、独断と偏見を語らせていただきました。今回は、その学習指導要領におけるスピーキングの扱いと、実際の授業で行われていることについて書きます。
学習指導要領では、「話すこと」を「話すこと[やり取り]」と「話すこと[発表]」の2種類に分けています。これについて、みなさんはどう思われますか?
私は、高校の英語では、「やり取り」を訓練させることに集中するべきだと思います。以下に理由を並べます。
理由その1:日常生活における「話すこと」は、対話であって、発表ではありません。「英語が話せる」とか「英語が話せない」とか言うとき、私達が普通イメージしているのは英語で1対1のやり取りができるか否かであって、発表ができるか否かではありません。
英語で発表することが必要になるのは、英語圏の大学や研究施設で学んだり教えたりする人や、仕事で必要な人。こういう方たちは、日本人全体のうち、一体何%でしょう。
私自身、本格的に、初めて「英語で発表」したのは、44歳でアメリカの大学院の日本校に通い始めてからでした。
22歳で、1年だけアメリカの大学院で勉強したことがありましたが、その時は発表らしい発表(教室の前で、クラス全員に5分くらい話すようなこと)はなかったです。課題で指定された本を読んで、それについて自分の意見を1-2分、自席に座ったまま述べるっていうのはありましたが。ま、これも発表と言えば発表ですけど。
いずれにせよ、「発表」よりも「やり取り」の方が、日常的には、はるかに必要度が高いと思います。
理由その2:週に4時間前後の「英語コミュニケーション」の授業で、4技能扱うとなると、ただでさえ時間が足りない。「発表」指導をきちんとやるにはとても時間がかかり、「やり取り」の指導をする時間がなくなる。
発表指導をするには、生徒に原稿を書かせ、添削し、それをある程度覚えさせ、練習させ、本番をやります。40人のクラスだと、原稿を書かせるのに最低でも2時間、暗記と練習に2時間、本番で2時間、合計6時間。教員が40人分添削するのに、授業外で5分×40人=3時間20分‼これを3クラス持っていたら、3倍!
これじゃ、試験範囲終わらないし、私も身体壊す(笑)。
(念のため言いますが、教員の仕事は、授業をやることや授業の準備や課題の点検は、仕事量全体の半分くらい。授業と無関係な仕事もたくさんあります。)
ちなみに、私の同僚で「僕はプレゼンテーション指導に力入れています!」って言っている若手男性教員が複数いますが、みんな、原稿をほとんど添削していません。ま、最近は生徒も賢くて(?)グーグル翻訳という家庭教師を使う子も多いのですが(笑)。
ご存知のように、グーグル先生も結構間違えるので、間違いを含む原稿を丸暗記して、発表なんて…英語学習としては私はダメだと思います。
理由その3:たとえ原稿を添削してもらって完璧にしても、丸暗記したものを人前で発表することに、第2言語習得の観点から、どれほどの意味があるのか、疑問。
ま、先生や友達に褒められたり、良い点数をもらえたりしたら、モチベーションはアップするから、心理面では良い効果があるとしても、言語面では…。定型表現などを暗記することは大事ですが、別に大勢の前で発表しなくても…。
理由その4:発表を心理的な負担に感じるあまり、英語学習そのものに支障をきたす場合がある。その日学校を休んでしまう生徒も、クラスに1人くらいいることが珍しくないです。
だから、私はハッキリ言って、発表指導は好きではありません。それよりも、1対1のやり取り(ダイアローグ)を練習させて(NHKラジオ講座のイメージ)、インテビューテスト(面接形式の1対1のテスト)で進捗状況を確かめる方が好き。
はい、では今日はこの辺で。
That's all for now! See you next time! Until then, keep practicing!
私(1970年生まれ、インターネットが登場する前に大人になった)の英語学習歴… 子供英会話教室(当時はまれ)に通ったのがきっかけで、中学生頃から自分で英語漬けの生活を始める(中学校での壮絶ないじめからの逃避願望もあった)。NHKラジオ講座、文化放送「百万人の英語」、FEN(在日米軍ラジオ放送)、アメリカ映画、アメリカの十代向け雑誌など。フツーの公立中に通いながら、中2で英検2級。高校は海外帰国生が全生徒の3分の2という私立高校(ICU高校)で、アメリカ英語の洗礼を受ける。帰国生に負けまいと英会話スクールに通う。高2で英検準1級。高3で英語の先生に帰国生と間違われて内心ガッツポーズ(笑)。大学(ICU)で英語専攻。英会話スクールにも同時に通う。大学2年で英検1級。アメリカ人の教授について卒論も英語で書く。アメリカの大学院に1年在籍、アメリカ史を専攻して挫折して帰国。高校の英語教員になり、25年。その間、TOEIC 980点、通訳ガイド(通訳案内士)、TESOL(英語教授法)修士号(Temple University Japan)を取得。NHKラジオ講座は中学生以来、時々ブランクはあるけれど、聞いている。今は、アメリカのリアリティ番組にドはまり中。Podcast も好き。
「ネイティブライク」という言葉について… native-like という形容詞で、「ネイティブ・スピーカーではないけれど、それに非常に近い」という意味です。
「ネイティブ・スピーカー」という概念について… 応用言語学者の中には、ネイティブ・スピーカー至上主義(native speakerism)を批判する人も少なくありません。私も、ネイティブ・スピーカー至上主義は支持しません。私がこの記事で「ネイティブライクになりたい」と言うのは、発音練習が私の趣味だからです。英語はいろんな文化的背景を持った人たちがコミュニケーションのツールとして、第2言語として使うものですから、その人たちの第1言語(母語)に影響された英語(訛りのある英語)が使われるのは当然のことです。訛りのある英語も、アメリカやイギリスのニュースキャスターが使う英語も、言語として優劣は無いと考えています。世界には、native speaker の英語教師よりも non-native speaker の英語教師の方が、はるかに数多く存在します。私もその non-native speaking teacher of English であることを誇りに思っています。