J eigo J ジューンとジェフの英語珍道中〈13〉~大人になってからの第2言語習得~
Welcome to "J eigo J," our silly journey of language learning!
英語オタクおばさんのジューンです。このシリーズでは、私のパートナーのアメリカ人おじさん、ジェフとのやりとりで気づいた、面白い(と私が思う)語学学習や異文化理解にまつわるエピソードをご紹介しています。
昨夜、ジェフの友人のジョン(仮名・30代のアメリカ人)と会いました。覚えていらっしゃる方もいるかもしれません、以前私が「ユーモアのセンス」について書いたときに引き合いに出した彼です。
彼の彼女ユリ(仮名)が、女の子の赤ちゃんをいよいよ来週出産予定とのことで、彼は興奮状態(笑)。
でも、いろいろ話していくうちに、ユリについてのちょっとした不満(?)をもらしました。「ユリは、外国人とあまり話したことがないから、日本にいる外国人の日本語のレベルが、どれくらいかって分かっていないんだ。だから、俺の日本語がまだまだ未熟だって言うんだよ。」
ジョンは、アメリカの4年制大学で日本語を専攻しているので、日本語には自信があったのですが、その自信がちょっと失われつつある様子。
ユリはジョンよりも年上で、すでに立派なキャリアをもつ女性。ジョンに対する期待が大きいのかな、と私は思いました。
また、テレビを見ると、最近は、日本語ペラペラの外国人タレントが何人も出演しているので、もはや日本語を話す外国人が珍しくないのかもしれません。
それにしても、大人になってからの第2言語習得は難しいのです。たとえ、その言語を話す国に住んでいたとしても。
「アメリカに数年住んでいたら、英語が話せるようになるはずだ。」「日本に数年住んでいたら、日本語が話せるようになるはずだ。」と想定するのは、「日本人男性なら、空手ができるだろう。」「日本人女性なら、着物が着れるだろう。」と想定するのと似ていると私は思います。
空手や着物の着付けは、日本に住んでいるだけでは身につかないように、言語も、そこに住んでいるだけでは、特に大人になってからは、身につかないのです。
急に固い話になりますが、第2言語習得理論の分野で有名なロバート・デカイザー(Robert DeKeyser、メリーランド大学名誉教授)の研究論文で、"Cross-linguistic evidence for the nature of age effects in second language acquisition"(第2言語習得で、年齢がどう影響するかについての、複数の言語における検証結果)という題名のもの(2010年出版)があります。
この論文は、デカイザーが他の2人の学者と大掛かりな調査をして科学的なデータを取って書いたものです。カナダに移住したロシア人移民の英語習得と、イスラエルに移住したロシア人移民のヘブライ語習得について、移民した年齢が18歳未満、18-40歳、40歳以上とグループを分けてデータを取ったものです。
結論としては、18歳未満に移民したグループは、カナダでもイスラエルでも、第2言語習得が、発音と文法において、ネイティブレベルに到達した確率が高かったのです。そして、40歳以上で移民したグループは、ご想像通り、その逆でした。
ちなみに、18-40歳で移民したグループは、「言語学習に対する適性」が明暗を分ける、という結果でした。(「言語学習に対する適性」を測るテストというのがあって、それも、この研究では被験者に受けてもらっているのです。)
つまり、18歳から40歳の間に移民した場合、もともと言語学習に対する適性が高い人なら、その土地で話されている言語を習得しやすいが、適性の低い人だと、習得がうまくいかない場合が多い、ということです。
移民した年齢が18歳以下だと、適性の高低に関わらず、ネイティブレベルに到達しやすいし、40歳以上だと、適性が高くてもなかなか難しい…。
私も初めてこの論文を読んだとき、40代後半だったので、正直面白くなかったです(笑)。ま、私は移民したわけではないので、あてはまらないんですけど。
言語習得理論(language acquisition thories)においては、移民などして、その言語圏で生活しながら習得する、第2言語学習(second language learning)と、日本で英語を学ぶような、外国語学習(foreign language learning)は、別のものとして考えます。
ま、外国語にしろ第2言語にしろ、「ネイティブになる」ことを目標にしなければ、いいじゃないですか!要は、自分の目的をその言語で果たせればいいんです!
(そんなこと言いながら、私は「ネイティブライク」を目指していますが、それは私がただオタクなだけ。それに、ネイティブと同レベルになることは本当は無理って分かっているつもりです。)
だから、外国語・第2言語習得は、そのプロセスを楽しみながら、気長にやっていきましょう。
そして、日本語がまだ発展途上の外国人の人たちに対して、日本が理解のある国になることを願っています。
では、今日はこの辺で。よろしければ、こちらもどうぞ。私の英語学習歴も、この記事の終わりに載っています。
Ok, that's all for now! See you next time! Until then, keep enjoying your life IN ENGLISH!!