尾崎翠のエドガー・アラン・ポー翻訳#3
尾崎翠の文体模写をするには?
どうにか「モレラ」の英文をすべて日本語訳することができました。次はそれを、尾崎翠の文体に寄せて再現していこうと思います。
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しかし、いざやってみようとすると、どうやってやればいいのか??
数年前にかなり話題になった、こちらの本のことを思い出して、さっそく、書店で購入してきました。
夏目漱石、太宰治などの文豪から村上春樹、町田康などの現代作家、さらに漫才、週刊誌、Siriなどの幅広いジャンルの文体を模倣して、カップ焼きそばの作り方をいかにもそれらしく説明するという趣向の本で、続編と合わせて2冊刊行されています。
夏目漱石「坊っちゃん」の文体模写の冒頭を少しだけ紹介します。
こんな感じでいろんな作家の文体模写がたくさん集められていて、元の作品を知っているものについては特に面白く読める本です。
やはりここは、文豪の文体模写を参考にするのがよいと思い、夏目漱石のほか、田山花袋、芥川龍之介、安部公房などの有名作品の文体模写に特に目を通してみました。
どうやら、模倣するポイントとしては、次のような点に気をつければよさそうです。
①「です・ます」or「である・だ」
②一人称を何にするか(または三人称にするか)
「私」「僕」「主人公のフルネーム」など
③独特の漢字遣い、読み方
「呉れない」「瓦楽多」など
④文章の体裁
改行が多いor少ない、ダッシュ「―」を多用する、
心情を記述する括弧( )が文中にある、など
こういったテクニック的な注意点に加えて、何よりその作家が言いそうな言葉を把握することが必要となりそうです。
尾崎翠については、
①基本は「である」「だ」の文体
②一人称は「私」
で迷わず決まりました。
③、④については、実際に尾崎翠の作品をローラーし、特徴的な漢字遣いや文章の体裁に加えて、よく用いられている言葉、表現などを収集することにしました。
中野翠編『尾崎翠集成』(ちくま文庫、2002年)の上下2冊をチェックして、「モレラ」の話に使えそうな言葉や、尾崎翠らしい言葉を抜き出してノートにメモしていきます。
(なんか、大変なことになってきた…)
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