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尾崎翠のエドガー・アラン・ポー翻訳#4

尾崎翠作品から使えそうな言葉を収集する

尾崎翠っぽい文体で「モレラ」の翻訳をするために、翠の他の作品から特徴的な言葉使いや表現を収集する作業・・・
ようやく『尾崎翠集成』上・下のすべての作品に目を通し終えました!

例えば、「こおろぎ嬢」からは、以下のような言葉を抜き出してメモしています。

烈しい(はげしい)、随分、眼(め)、久遠の哲理、
身うちを秋風吹きぬける心地、心理作用、学説の切れ端、地上のことがら、
心理的必然、想いを懸けてしまった、生を享けた、
神秘の神に多少の冒瀆をはたらいて、骸(なきがら)、
えろすとみゅうずの神の領土、薄暗い空気が動かずにいた、
咽頭が不愛想な音を吐いてしまった、心の色あい、暁けがた、
嗤われる(わらわれる)

「こおろぎ嬢」(『尾崎翠集成上』)

現在は常用でない漢字使いや、尾崎翠らしいと思う表現を抜き出してみました。
「らしい」と思う表現は他にもたくさんあったのですが、「モレラ」の話の流れで応用できそうなものを特にチェックしています。

「こおろぎ嬢」は特に「モレラ」の雰囲気に合っているように思います。
文学史の中でも資料が少ない詩人「うぃりあむ・しゃあぷ」について図書館で調べるこおろぎ嬢は、ドイツ文学であまり重要視されていない神秘主義の書物に傾倒するモレラと重ねられます。
それに、「しゃあぷ」が死んだとき「ふぃおな」の謎が解ける、二人の人間の同一性という点でも、「モレラ」のクライマックスに通じるものがあります。(詳しくは言わないでおきます!)
細かい表現や言葉のレベルでも、「久遠の哲理」とか「心理作用」など、いかにも「モレラ」の話に使えそうなものが、他の作品と比べて多く見つかった気がします。


こんな感じで収集した言葉・表現を参考にして、自分が日本語訳した「モレラ」の文章を改変していきます。
具体的には、一通り日本語訳した「モレラ」をプリントアウトして、ところどころ赤ペンを入れながら、尾崎翠らしき文章にちょっとずつ寄せていき、最後に全体を整えたいと思います。
そんなことができるのか全く分かりませんが、やってみます!

補足:
尾崎翠の作品は旧仮名遣いが用いられています。「モレラ」の翻訳が収録されている「尾崎翠全集」(創樹社)も旧仮名遣い表記です。
本当は旧仮名遣いまでマスターして文体模写したいところですが、なかなかハードルが高い!
抜粋に用いた「尾崎翠集成(上・下)」(ちくま文庫)は現代仮名遣いに改められているので、自分の翻訳も現代仮名遣いでいきます。





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