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【Feature PEOPLE】 山崎眞結 Vol.1

Feature PEOPLE第4弾!2024年夏にスペインに滞在したカンパニーメンバー山崎眞結さんへのインタビューです。
最近、海外へのアプローチが多いカンパニーメンバーですが、スペインではどのような刺激・感覚・ダンスがあったのでしょうか?ぜひご一読ください!

聞き手:山田うん


今回はどのような経緯でスペインに滞在することになったのでしょうか!?

経緯としては、毎年スペインのブルゴスで開催されている「BURGOS & NEW YORK INTERNATIONAL CHOREOGRAPHIC CONTEST」に、昨年作品を応募して、動画審査の予選を通過し、ブルゴスに行ってきたというのが始まりですね。私はこのコンテストの存在すら知らなかったのですが、山根海音さんからここに一緒に挑戦したいと誘われたことがきっかけで、私はとにかく少しでも可能性があるなら挑戦してみたい性分なので、応募することに決めました。あと、スペインに行ったことがなかったので、これで行けたら最高じゃん!という能天気なことも思ったわけです。

ブルゴスでのセミファイナルが開催される1ヶ月ほど前に予選通過の連絡がきて、まさかまさかと期限切れのパスポートを大急ぎで更新して、7月に人生初のスペインに無事上陸しました。しかしそこからは地味にタイトなスケジュールで、全く観光らしい観光はできず…。しかしセミファイナルを無事通過し、ファイナルまで進むことができました。とにかく、こんな遠くの異国の地に来て、踊るのが1回だけ、なんてことにならなくてよかった!
そこで出会ったのが、当時の審査委員長だったLuis Martin Oya(ルイス・マルティン・オヤ)さんで、彼は私たちの作品をとても評価してくれました。そして、今回滞在するきっかけとなった、マドリッドにあるNacho Duato Acadamy(ナチョ・デュアト・アカデミー)のクラスを3ヶ月間無償で受けられるスカラシップを、ファイナルの賞としてLuisさんから受け取り、再度スペインに行く機会を得ることが出来ました。Nacho Duato Academyの存在は、この時に初めて知りました。
アカデミー及びカンパニーの主宰であるNacho Duatoは、スペインに限らずヨーロッパを中心に活躍されている振付家で、Luisさんは彼の右腕のような存在で、そんな方に出会えたのが一番大きかったですね。

[HP] Nacho Duato Academy
[YouTube]
@nachoduatoacademy


滞在中はどんな毎日でしたか?

3ヶ月分のスカラシップということで、本当は丸々3ヶ月滞在したかったのですが、仕事のスケジュールの都合で断念し、代わりに夏期に開催されるサマーインテンシブに参加をしてきました。期間としては、7月下旬から8月上旬です。これは3週間のプログラムでかなり短いのですが、内容はとても濃いものだったと思います。アカデミーはマドリッドにあって、滞在場所はアカデミーと提携している宿泊施設だったのですが、いや、まさか、地下鉄で1時間かかるなんて(笑)移動するのは職業柄慣れてますが、朝から日差しが強くて、移動だけでだいぶ体力を削られました。

クラスは平日の9時半から16時までの4クラスです。クラシックバレエから始まり、クラシックバレエのレパートリークラス、Nacho Duatoのレパートリークラス、そしてエクスエラ・ボレラというスペインの伝統舞踊とバレエが融合したようなジャンルのクラスでした。受講生はアカデミー生だけでなく、アメリカ、メキシコ、フランスなどなど各国から集まったダンサー達なのですが、とにかく若い!10代がほとんどでしたね。シニアクラスだったのですが、全然シニアじゃない!でもみんな熱心で、素晴らしいダンサーの卵たちでした。

クラスは、頭も身体も休む暇なし、休憩は30分。まさに修行という毎日でした。暑さも相まって汗だくでしたね。こんなに自分の身体に向き合った時間は久しぶりだったので、贅沢な時間だったと思います。クラスが終わった時にはクタクタで、軽くストレッチをしてそのまま帰宅するか、近くのファミレスに入ってご飯を食べてサングリアを飲んで帰る日々が多かったです。元気な時はアカデミーの周りを散策したりしましたが、とにかく暑くてなかなか長時間歩き回るのが難しかったです。

発見の連続だったかと思いますが、特に驚いたことや特に心に残ったこと教えてください

どのクラスの先生もそうでしたが、とにかく見本が素晴らしくて、見ているだけで勉強になりました。もちろん言葉でロジカルな使い方やニュアンスは伝えてくれるので、それもとても重要なのですが、それと共に実際に目の前で体現してくれることがとても説得力があって、本当にプロフェッショナルな方々のクラスを受けているんだなと日々実感していました。
それで、どのクラスでも先生が言っていたのは、とにかく頭を働かして!ということ。これってどんなことにも通ずる基本的なことだけど、簡単なことではない、積極的な姿勢だったり、自分を俯瞰する視点だったり、日々の訓練も必要ですよね。

私は今年から大学の非常勤講師として身体表現の授業を受け持っているのですが、動くときに常に何かをイメージしたり、考えたり、それを素早くアウトプットしたり、とにかく脳みそも一緒に使って欲しいと思っているので、改めて身体まるごとフル活用する必要性も再認識できたし、今回は私が生徒側としてそういうクラスを受けることが出来たので、とても勉強になりました。
一緒にサマーインテンシブを受けていたダンサーは、国もレベルもモチベーションもそれぞれだったけど、若い時にこういうクラスが受けられて幸せだなと思います。素晴らしいプログラムですよね。10代の私に喝を入れたいくらいです(笑)

日常生活で驚いたことは沢山あったと思います。地下鉄の時刻表はだいたい8分間隔とか書いてあるし、ファストフード店のドリンクはなぜか飲み放題だし、街をあるけば建造物や歴史的モニュメントはとにかく巨大でスケールが違うし…。
あとは、劇場に行った時に、始まる直前まで客席が賑やかなこと。日本だと喋ったら注意されそうなくらい、水を打ったようにシーンとしてるときがじゃないですか(笑)きっと劇場は、友人や家族で来て楽しむもので、文化として根付いていることやマドリッドのエネルギッシュさを感じることができました。

マドリッドのここが好き!というところを教えてください

気温は高いんですが、とにかく毎日快晴!行った時期が良かったということもありますが、湿気がないのは好きです。あとは、とにかくみんな元気そう(笑)元気そうというのはつまり、とにかく喋るし、電車の中でも車の中でも普通に携帯で喋るし、服装は日本だったらびっくりされるくらい薄着だし、仕事中でもみんなどこかイキイキしていた。ストレスを溜めている感じがないし、自分は自分といった自由で堂々とした空気が流れていました。移民も含めて、いろんな人種が暮らしているということもあると思います。

スペインの後にイタリアを何箇所か巡ったのですが、イタリア人は何というか、少し重心が高い。話しかけるととても親切にしてくれるんですが、なぜか雰囲気がいつもちょっとおしゃれ。マドリッドはもっと土着的で、フレンドリーで、エネルギッシュで、個人的にはマドリッドの方が好きでしたね。

ダンサー 山崎眞結

3歳からクラシックバレエを始める。
玉川大学芸術学部PA学科在学中に日本舞踊、民俗舞踊、和太鼓に出会い、東洋的な土着かつ繊細な身体に興味をもつ。

これまでに堀内充「Ballet Collection」数演目、向井山朋子『雅歌』、湯浅永麻『シェヘラザーズ』、テレーサ・ルドヴィコ『小さな王子さま』などの作品に参加。和太鼓演奏とダンスを全員が兼任するパフォーマンス集団、和太鼓+ダンスユニット<まだこばやし>の紅一点のメンバーとして活動。唯一無二のパフォーマンススタイルを展開し、2022年に初の単独公演『まだ、小囃子。』を上演。
現在はダンサー活動のみならず、クラシックバレエ、コンテンポラリーダンスの講師として未就学児から主婦層までの幅広い年齢層に踊る楽しさを伝えている。
自身のプロモーション映像『朔ノ日』のクリエーションをきっかけに、映像監督やスタイリスト等のアーティストとのコラボレーション活動に興味をもち、舞台上でのダンスだけに留まらない、ナチュラルで自由で存在感のある身体を模索し、創作活動を行なっている。

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