春を待つ、阿蘇へ。
ちょっと落ちていたので、土曜日の午後、気分転換にひとり阿蘇へ向かった。
2人展「つなげる阿蘇-未来への切符-」
少し前に、いきもの画家POPPOさんが阿蘇白川駅で「つなげる阿蘇-未来への切符-」と題した2人展の告知をnoteに綴っていたので、寄ってみることにした。
POPPOさんと、くについくみさんの2人展。小さな駅に、2人が見つめた阿蘇を落とし込んだ作品が展示されている。これから約一年かけて、巡回、リレー方式で展示されるそうだ。
私が作品を鑑賞していると、駅に併設するカフェ「75th St.」の方が、声をかけに出てきてくれた。そして、POPPOさんがお知らせしていた来場者プレゼント“阿蘇の旅ねこ”さんのことを教えてくれた。
これ!
POPPOさんお手製18匹の旅ねこたち。
か、かわいすぎる!! 散々悩んで、この子を連れて帰ることにした。
ふらっとドライブに来ただけなので本当はこのまま帰るつもりだったが、阿蘇の旅ねこさんを小さな旅のおともにしたくなった。
私が阿蘇白川駅を訪れたとき、残念ながら駅長のワンちゃんは不在。仕方なく駅の写真だけ一枚。
すでに午後3時をまわっていた。日が暮れる前にもう少し車を走らせよう。カフェでマクロビバナナケーキをテイクアウトし、再びドライブ。旅ねこさんも一緒だ。
阿蘇の旅ねこさんと小旅行
阿蘇白川駅まで来たのなら、少し先のあの駅に行ってみようと思い立つ。それは、先日『ぎぼむす』スペシャルについて触れたnoteにも書いた、午後の紅茶のCMロケ地「見晴台駅」のこと。3年続いたCMの完結編・2018年の冬バージョンでは、HYの「366日」を上白石萌歌ちゃんが歌っている。そういえば、冬に見晴台駅を訪れたことはなかった。
駅に着くと、先着あり。若い女の子2人が物思いに耽りながら、景色を眺めていた。どうやら、運行数の少ない列車の撮影待ちのようだ。
駅からの眺め。
それにしても、やはり冬の阿蘇は寒い。耳がキーンと冷たく、CMの白い息がよみがえる。さあ、旅ねこさんよ、ここが見晴台駅だ。
そして当然ながら、メニューが全部午後の紅茶という特別仕様の自販機でミルクティーを購入。撮影用に用意されたものだが、お客さんからの要望が多くそのまま設置されている。
厳しい寒さの中で、温もりを求める。”人を思う”温もりも。ここは、そんなシーンを追体験できる。
木々は落葉し、山肌には雪が残る。冬の南阿蘇に響く列車の音。南阿蘇鉄道は、まだ熊本地震からの全線復旧には至っていないが、2023年夏の全線開通を目指して工事が進められている。
人の手によって守られる阿蘇の草原
早春、阿蘇では野焼きがはじまる。よく「手つかずの自然」と言うが、阿蘇の草原は逆。人が手をかけるから藪化せず、千年もの間草原が保たれてきた。
ずっと昔、仕事で話を聞いた畜産農家の主から「あなたたちは、阿蘇の恩恵を受けていることに鈍感だ」と言われたことがある。草原に降る雨は大地にしみこみ、それが川となり、下流に住む熊本市民をはじめ九州各地の人々の生活を支えている。阿蘇が「九州の水がめ」と言われる所以。草原は、観賞用ではない。生きものと人の営みが凝縮し、守り守られここに存在する。
***
見晴台駅を後にして10分。「道の駅あそ望の郷」に立ち寄ってみた。夕方で人もまばらだろうと想像していたら、案外お客さんは多く、「いやだ、いやだーーー。まだ遊ぶーーー!」と泣き出す小さな男の子に困り果てるお父さんもいた。
山並みを見渡すと、ギザギザ山の根子岳の東に満月前の白い月が昇っている。旅ねこさんと、しばらく真冬の月を眺めた。
守られてきた自然。こうしてふらっと訪れて、またがんばろうと思えたり、美味しい水が飲めたりするのは、阿蘇の人たちの努力があってこそなんだよなあ。山々と家並みを眺め、そんなことを考えながら帰路についた。
さてさて、連れて帰った旅ねこさんは玄関に。
たった数時間の小さな旅で、すいぶん気が晴れた。また旅ねこさんと巡るか。冬の阿蘇にはなかなか行く機会がなかったが、冷たい空気もいいな。夜更け、テイクアウトしたマクロビバナナケーキを食べながら、思いを巡らせた。
最後に。このnote、「#つなげる阿蘇」の他に、「#未来に残したい風景」を付けたいのだが、このお題がただいまサントリーさんの後援中だということに途中で気づいた。ごめんなさい、サントリーさん! 思いっきり午後の紅茶の話が……(汗)。『共演NG』、失礼しました。そんなわけで、サントリーさんをフォローせず(ってのも失礼だけど……)にお題に参加します。
※ちなみに道の駅には、しっかりサントリーさんの自販機がありますからね!
(2022.1.18 追記)
どうやらハッシュタグ付けるときにフォローになってしまってました。外しました。重ね重ね、ごめんなさい、サントリーさん!
#つなげる阿蘇 #未来に残したい風景 #冬の阿蘇 #エッセイ #この街がすき