10モモゾーの話2

わが家の猫生活【その二/三匹の子猫、棲みつく】

かわいがるうちに、3匹のそれぞれの性格が明らかになってきた。

白い部分とキジ柄がきれいなハナちゃんは元気いっぱい。
全身キジ柄のナナちゃんが一番おっとりしていて、気づいたらいつも隅に追いやられて転がっている。
そしてピンクの鼻はぺっしゃんこだけど、瞳がきれいで一番の“器量良し”がモモちゃん。近所でも評判の猫となった。ただし超マザコンで、育児放棄した母猫・ナケちゃんとたまに道端で出くわすと、いつまでもガオガオ鳴きながら追いかけて行った。そして毎度ナケちゃんに完全無視されて、うなだれて帰って来るのだった。叱られてしばらくションボリするのもモモちゃんだった。人間かよ!

そんな猫との暮らしの中で、いつも事件はある日突然起きる。

雌だと思っていた3匹が、全員雄だと分かったのだ。3匹にハナちゃん、ナナちゃん、モモちゃんって名前つけちゃったよ(笑)。それぐらい、猫に関しては無知だったということだ。

今さら名前を変えるのは嫌だと言って、正式名を「ハナタ、ナナタ、モモタ」とした。最初に父が言い出した「ハナオ、ナナオ、モモオ」は即却下された(そうだ)。

そんなこんなで、うちの家族にとっては、にぎやかな猫のいる暮らしはさぞかし毎日が発見の連続だったに違いない。

ただ、定められた命もあるわけで、元々母子感染で2つの病気を持っていたナナちゃんは、1年も経たないうちに天に召されてしまった。病院から家に帰ってきたときには、もうほとんど動けない状態。「モモちゃん、ずっとナナちゃんの体を舐めてた」と、姉が電話してきた。

それから半年ほど経って、今度はハナちゃんが天に召された。元気いっぱいのハナちゃんは、いつものお散歩コースから帰る最中にトラックの前に飛び出てしまい、はねられた。外飼いだから、こういうことがあるのは仕方ない。トラックを運転していた女性は同じ集落の人だったため、「ごめんねえ、ごめんねえ」と抱きかかえて連れて帰ってくれた。どの猫がどの家の猫か、みんな知っている。“田舎あるある”である。ハナちゃんは、見た感じまったく傷が無かったそうだ。


こうして、残った猫はモモちゃん1匹となった。(つづく)

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ぶんぶんどー
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