第2シーズン放送開始/『アストリッドとラファエル2 文書係の事件録』
心待ちにしていたドラマがある。
昨年の夏、日曜日にNHKで放送されていたフランス発ドラマ『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』のシリーズ第2弾である。
(以下、ドラマの内容を含みます)
主人公は、パリの犯罪資料局で働く自閉症の文書係・アストリッドと、ガサツだが直感と行動力抜群のパリ警視庁の警視・ラファエル。2人は、ラファエルがある事件に関して資料局を訪れたことで出会う。膨大な知識と鋭い洞察力で謎を解き明かしていくアストリッドの能力を見抜いたラファエルは、捜査中の事件について彼女に見解を求めるように。できるだけ人と交わらずに生きてきたアストリッドだったが、ラファエルによって閉ざした扉を開けられる。そして、互いに個性を認めて信頼し合い、友情を育んでいく。
アストリッドを最初は訝しげに見ていたラファエルの同僚たちも、彼女を少しずつ受け入れるようになる。第1シーズンの最終回は悲しい別れもあったが、まるで凸凹コンビの集大成のような、見事な事件解決ぶりだった。このドラマは2人のバディ感に加え、登場人物たちの人間性が丁寧に描かれているところも魅力だ。
吹き替えは、アストリッドを貫地谷しほりさん、ラファエルを林真里花さんが担当。自閉症であるアストリッドの吹き替えは、特に難役だと思う。貫地谷さんは、この演技で「声優アワード」の海外・ドラマ賞を受賞している。一方、ラファエルの吹き替えを担当している林さんも、声に包容力があって魅力的。何度も観ている映画『ホリデイ』のアイリス(ケイト・ウィンスレット)も彼女だ。林さんが林隆三さんの娘だと気づいたのは、つい最近のことだけど。
最終回と同時に「第2シーズンの放送は2023年5月予定」とアナウンスされ、「うそやろ、ものすごく先じゃん。待てない、待てない」とダダをこねそうになっていたが、あっという間に5月が来てしまった。最近、時間の経過のはやさが尋常ではなく、とてもこわい。朝ちょっとボーッとしたら、すぐに夕方になってしまうし。
以前にも書いたように、今期の日曜日はとにかく忙しい。
・20時~『どうする家康』
・21時~『ラストマン-全盲の捜査官-』
・22時~『日曜の夜ぐらいは…』
・23時~『アストリッドとラファエル2 文書係の事件録』
いつ食器片づければいいの!?
いつ洗濯すればいいの!?
いつお風呂に入ればいいのかーー!
22時台、共感しつつも不穏な空気が消えない『日曜の夜ぐらいは…』を観て、「お願いだから3人+みね君、幸せになってほしい」と念仏のように唱えながら、23時台はNHKに移動している。
第1シーズンで、後見人だった犯罪資料局の局長・ガイヤールを失ったアストリッド。第2シーズンでも静かに自立した生活をしながら、パリ警視庁への捜査協力を続けている。アストリッドは、ガイヤールがいつも見守ってくれているように感じている様子。
第1シーズンでは、アストリッドと母親、ラファエルと父親の関係もクローズアップされた。第2シーズンでは、1話からラファエルの元恋人で検事のマティアスが登場。また今後、アストリッドが通う店の店主の甥っ子が登場するらしい。もしかすると、凸凹コンビの恋模様が描かれるのかもしれない。ラファエルには長年の友達で同僚のニコラと仲良くなってほしいのだが、さあどうなるか。事件解決とは別のストーリーも気になる第2シーズンとなりそうだ。