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丁寧な描写と余韻のある美しいラスト/ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』最終回

初回から心を持っていかれ、ついつい熱く語ってしまったドラマが最終回を迎えた。

(以下、ドラマの内容を含みますので、ご視聴後にお読みください)


ふたりの時間を丁寧に描いた最終回

再発したミヤビは、いつ脳梗塞が完成してもおかしくない。いつもなら「おはようございます、三瓶友治です」と説明するだけなのに、倒れた彼女が目を覚ました時には「あなたの婚約者です」と付け加えた三瓶。ミヤビの病状が切羽詰まっていることがうかがえる。でも周りの面々の「は?」「え? 婚約者?」という動揺には、ちょっと笑ってしまった。

どうしても手術を諦めきれない三瓶は、ひとりオペの練習に励む。疲労と焦りと不安でいっぱいいっぱいの彼に、「ミヤビのそばにいなくていいのか?」と諭す津幡。みんな救えるものなら救いたいと思っている。いや、私だってそうだよ(泣)。

入院から在宅に切り替えたミヤビは、三瓶と一緒に暮らしはじめる。タイムリミットが近づく中で、ふたりで暮らすシーンが最終回の半分を占めており、交差する互いの思いが丁寧に描かれた。おそらく手術シーンは終盤の7、8分だったのではないだろうか。

食器のくだりから、大口を開けて焼肉丼を食べるミヤビと、それをまねするように焼肉丼を食べながら涙をこらえる三瓶にもらい泣き。この幸せな時間にリミットがあるなんて、ムリ。それを見届けるなんて、ムリ(泣) 。

こんなにやさしい眼差しだった?

三瓶がミヤビを見つめる瞳からは、いつも愛がダダ漏れだったけど、こんなにやさしい眼差しだったっけ? ミヤビの手を包み込みながら「一緒にいませんか?」と同居を提案するときも、一緒に暮らしてからも、ずっとこの眼差しだ。若葉竜也がやさしいのか? もし演技だったらこわい。これは本人から出る表情なのでは? ボロボロ泣きながらも、そんなことを考えていた。

ミヤビはミヤビで、疲れて眠る三瓶の姿を目に焼き付けようとする。彼に触れて、彼を見つめる静かな時間。だが次第に、彼女は涙が止まらなくなる。ミヤビは、三瓶の横で生きたいのだと思った。

絶対に忘れない。
記憶を失くしても心で彼を覚えておきたい。

台詞はないのに、彼女のそんな切実な決意と愛が伝わってきてしんどかった。過去の記憶に三瓶がいなくても、彼がセントラル病院にやって来てからの日々が、ミヤビにとってどんなに大切なものになったか(泣)。

無防備に泣く若葉竜也の演技にやられる

ふたりの出会いが断片的にしか語られていなかったため、正直「婚約していた」というのは三瓶の嘘なのではないかと、物語の中盤まで疑っていた。すまん。けれど回を重ねるにつれ、そんなことはどうでもよくなった。今思い合うふたり、それでいいじゃんと考えるようになった。

それが、まさかまさかの「Dr.三瓶、新型ウイルスに感染して帰れなくなった」エピソード! 婚約者だと嘘をついたのはミヤビの方だった。隔離された彼の元で看病するために。そういえば、てんかん発作を起こしたときに、うわ言で「私が残ります」と言っていた。このことだったのかもしれない。

一緒に食事をきちんと取るようになった三瓶が、「そのとき」を迎えた彼女の状態を表向きには冷静に受け止めながら、日課になったヨーグルトを食べているのが切なくて、どうしようもなく涙がこぼれた。彼女の手紙と日記を読んで、こらえきれずに泣く彼と一緒に私も泣いた。手術はしないと決めたけど、やっぱりミヤビは生きたいのだ。三瓶と生きて、医者を続けたいのだ。

参ったな、もう本当にずっと泣き通しですよ。だってだって、あの三瓶が、自分をさらけ出して無防備にむせび泣いているから(泣)。部屋のシーンのカメラがときどきブレるんだけど、それがまるで私の目線のようで、あるいは動揺のようで。今、目の前で起きているんじゃないか。そんなリアル感だった。

8分の可能性にかける三瓶と大迫

意識を失ったミヤビの脳梗塞は、まだ完成していなかった。8分でオペをすれば助かるかもしれないという一縷の望み。けれど、バイパスを入れなければその場所には届かない。

そこにコーイチ(大迫)登場!
ふたりでやれば、できるんじゃないか?

三瓶、大迫、綾野、星前、成増のドクター陣、サポートする津幡師長の闘いが始まった。「失敗したら全責任は俺が取る」と言い切った(言っちゃった!)藤堂院長が、かっこよかった。緊迫するオペ室で目を充血させる三瓶を、こちらも瞬きせずに見守った。もうドキドキで変な汗かいた。

7分57秒で、無事に終了。
うううう、でもまだ分からないよ。
だって私たちは、毎回ラストで奈落の底に突き落とされてきた民だからーーーー。

千葉雄大×野呂佳代コンビに救われた

ふたりのことばかり書いているけど、彼らを見守った、頼りになる星前と安定の成増を演じた千葉雄大さんと野呂佳代ちゃんが本当にいいの! 『いいね!光源氏くん』(←これはこれで名作)のかわいいイメージがある千葉くんだけど、最近では『星降る夜に』の春のような役を演じることが多くなった。今回のドラマを機に、さらに活躍の場が広がると予想(偉そうに言ってる……笑)。彼のこの先がとても楽しみになった。そして野呂ちゃんの「中堅感」よ! 次のクールの別ドラマも期待したい。

観ている側は、星前と成増にどれだけ救われただろう。最終回の彼らのやり取り、最高だった。私にもお弁当をつくってくれーーー。このふたり、もしかしてもしかして、原作では続きがあるの?

三瓶は目を覚まさないミヤビの手をにぎって、片時も離れない。彼の不安を打ち消すように笑わせる星前に、また涙。私も何かあったらセントラル病院に入院したい(泣)。

全話を通した伏線を見事に回収

ミヤビと三瓶の出会いの真実。

は?
いや、ちょっと。
は?
交際0日で?

そして、あのグーーーーーミーーーーー。

最後の最後に明かされた、壮大な伏線回収。偏食気味の三瓶が食べそうなものと想像していたが、ミヤビの受け売りだったとは。思い出してほしくて、ずっと食べていたのね。再び涙腺崩壊。さんぺーーーーい(泣)。

確かに第6話でこのシーンが登場したとき、彼がミヤビにロックオンされたのはすぐに分かったけど、ここでいきなりプロポーズしていたなんて聞いてない。聞いてないぞ、私は(笑)  。だから「ですます調」のままだったのか。やられたーー。

余韻を残す美しいラスト

ミヤビがつぶやいた「分かります」の意味に、想像の余地を残したラスト。涙をダラダラ流しながら、「この後、ふたりはいっしょに暮らすのだろうか」「“たかみ”で快気祝い絶対やる」「風間は森ちゃんとどうなったか」「藤堂院長が辞めずに済んでよかった」など、凄まじい妄想がはじまってしまった。

いつも「自分にとっていいドラマは、登場人物たちが存在する世界線を感じる」と言ってきたけれど、このドラマの世界線も、きっとどこかに存在している。

翌日、ミヤビのインスタを確認したらピースサインの写真がアップされていた。彼女の今日は、明日につながっている。三瓶とミヤビには、この先も幸せに生きてほしい。いや、全員そうあってほしい。

忘れられないドラマになった

初回を視聴したとき、メインのふたりの演技に引き込まれて視聴を継続する気になったが、どの回も俳優陣が素晴らしく、カメラのアングルといい演出といい、制作に携わった職人さんたちの仕事もブラボー(語彙力ゼロ)。患者の現実や、ミヤビ自身の病との向き合い方が描かれたヒューマンドラマ。最後は、壮大な愛の物語になっていた。

若葉さんがあるインタビューで、「テレビドラマをひと通り観てみたけど、説明が多すぎる」と言っていた意味が分かった。映画のような余白と余韻に、こんなにも心を揺さぶられるとは思ってもみなかった。台詞がなくても伝わる思いに、何度も泣かされた。

約3ヵ月、本当にありがとうございました。そして、ほぼ毎回うだうだと書き綴ったnoteにお付き合いいただいた皆様にも感謝申し上げます。次回からは通常運転の予定です。

タイトルの「アンメット」(満たされない)とは逆に、私は非常に満たされました。忘れられないドラマのひとつになりました。最終回を観るまで“完結”でいいと思っていたけど、今は続きが観たくて仕方ない。三瓶先生、ミヤビちゃん、また必ず会いましょう。

この先、三瓶沼から抜けられるのだろうか(笑)。寝癖パーマ、最高だわ。ベリーグッドです。





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ぶんぶんどー
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