見出し画像

中国茶のある暮らし――6月のお茶「白茶」

 長い歴史に磨かれた豊かな中国茶の世界。四季折々の甘味や食に合わせるお茶を、中国政府公認の評茶員・茶藝師の澄川鈴が提案します。
 心に余裕がなくなりがちな日々だからこそ、めぐる季節を愛で、自分を癒すひとときを。そして、お茶を通して見える中国の人々の素顔と暮らしにも、ほんの少し触れていただけたらと思います。

☞ 連載「中国茶のある暮らし」


6月のお茶請け「551ちまき」


 今回は、白茶の老寿眉(lǎoshòuméi)に551蓬莱ほうらいの「551ちまき」を合わせようと思います。
 関西では「551の豚まんがあるとき/ないとき」のCMがお馴染みの551蓬莱。「豚まん(肉まん)」や「アイスキャンデー」がよく知られていますが、「551ちまき」のほかには「甘酢団子」「焼売」「焼餃子」「551ラーメン」などのメニューがあります。

「551ちまき」には「豚肉・栗ちまき」「鶏・うずらちまき」「海鮮ちまき」の3種類があり、どれもとても美味しく、おすすめです。

 合わせる白茶は、摘んできた茶葉をそのまま萎凋いちょう・乾燥させただけの茶で、揉捻じゅうねんはしていません。福建ふっけん省の発祥ですが、最近の市場では雲南うんなん省の大葉種を使った白茶などもよく見かけるようになりました。

 白茶には、ほかの茶よりもアミノ酸が多く含まれているため〝飲む美容液〟と呼ばれることもあります。少なくないモデルさんが有名フランス紅茶店の白茶を愛飲していたり、世界的な化粧品メーカーの美容液にその成分が使われていたりと、美容目的で白茶に親しんでいる人もおられるようです。

 白茶は、①芽だけを使った「白毫銀針」、②芽と葉を使った「白牡丹」、③葉だけを使った「寿眉」――の3種類があります。「1年目は茶、3年目は薬、7年経つと宝」と言われており、茶ごとに品質の良し悪しはあるものの、中国の市場でも人気の茶です。 

 先述のとおり揉捻をしないところが白茶の特徴ですが、散茶さんちゃの場合は嵩高いので、携帯するには便利な餅茶へいちゃがおすすめです。今回は、少し年数の経った餅状の寿眉を用意しました。

 お天気が良い日に京都の河原町かわらまちで中国茶をいただきながら、悠久のときに思いを馳せてみました。

野点セットを持って、京都・河原町へ


ここから先は

3,446字 / 5画像

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?