書店パトロール19 まんだらけ〜まんだらけ〜。
大阪に出張る時、たまにまんだらけに行くことがある。
まんだらけ。それは夢の国。大好きなアニメや漫画のグッズが、い〜っぱいあるのだ。
然し、私は京都に住んでいるため、大阪のまんだらけは異国の地にあるが如く遠い。
そんな矢先、京都にもついに、先月、まんらだけ京都店がOPENしたのである。
なので、先日覗いてみた。
そもそも、私の愛する高島屋が、高島屋SCとやらにリニューアルして、
なんかオシャンティーなお店も入りつつ、とはいえ百貨店ムードは継承して、という、そういう(どういう)建物になったのである。
私はまんだらけを彷徨った。ウィンドウに、『ハンターハンター』の新連載時、『NARUTO』の新連載時のジャンプが並んでいた。前者は55,000円、後者は75,000円。
くそー!私は買っていたのだ、あの頃のジャンプを。残しておけばよかった。舌打ちを噛み締めながら、歩いていると、異邦人が多いことに気付く。そりゃあそうさ、だってここは古都、京都だもの。
海外のオタクたちが魔法少女のムック本を漁っている。
私はその隣に立ち、同じように魔法少女のムック本を漁った。一体、何十人、何百人、いや、何千人の魔法美少女たちがいるというのか。皆愛らしく、強く、優しい。そして、それに憧れる外国のレディたちがここにいる。彼女たちにとっては、もはや魔法少女はホグワーツ魔法学校の生徒なみに眩しい存在かもしれない。
さて、この高島屋SCにはNintendoSHOPもある。
ニンテンドー、といえば、京都の代名詞であり、これもまた外国人大好きなジャパン最強ブランドの一つなのは当然周知の事実だが、この高島屋SCには外国人のオタク、日本人のオタクが愛するものが詰め込まれている。
私は、京都では一番BALを愛するものだが、二番目は高島屋。その思いを強くした次第。
で、ここには蔦屋書店も入っている。最早、書店、といえば、ライフスタイル書店である、こういうオシャンティーな書店、乃至は、カフェを併設したりしないと、生き残れない。
まぁ、本を書い、カフェでお茶をして読む、なぞ、セレブレティの極みである高雅な趣味だが、無論、私は薬局で缶コーヒーを飲み、先程の立ち読みの余韻に浸るのが関の山の貧乏人である。
そもそも、本は家で読むものであり(偏見)、カフェで優雅に読むものではない!断じて!ないのだ。それはもはやファッションなのである。
そして、その蔦屋書店に数多置かれた写真集や美術書を眺めながら、こんなん買うやつおらんやろ……、という思いを禁じえない。どこからこんだけ集めて来たんや、あーもうけったいやなー、アホ男とバカ女が好きそうやわー、と言いながらも、あ、かっこいい、ぽっ。って自分は棚に上げるのが人間だよね。
そして、これらのバカ男とアホ女が好きそうな洋書などの数々、これもまた、ファッションである。書店が本で着飾っているわけだ。
すると、山と積まれたアニメ絵風の女の子がいた。
『白亜』という漫画が大量に置かれている。これは、外国人に向けての訴求だろうか。今年刊行された特別版とのことだ。この、『HAKUA』というタイトルが、もろ『AKIRA』であり、オレンジの紙も無論それを意識しており、なんというか、こう、藝大イズムというか、めちゃくちゃ村上隆っぽく、彼の著作的な、これはもう完全にアホ異邦人を狙っているものと思われるが、どうだろうか?
なんだろう、この現代美術感。こういうのが10億円とかで売り買いされる世界。まぁ、そもそもアーティストの方なので、これは一つのアートなのだろう。さて、気がつくと、私はこの蔦屋書店を後にしていた。何故ならば、高い本ばかりで購入するのが難儀だからである。『HAKUA』だって、なんと3,960円もした。尋常な価格ではない。然し、異邦人は喜んで買うだろう。私だって、仮に30ドルしようが、おフランスなら同じように財布の紐が緩むだろうから。
で、別の書店に移動して、またウーロウロ。
さて、文芸コーナーに赴くと、そこには国書刊行会から発行された『十蘭逍遥』なる新刊が。
誰が買うねん。と言いつつも手に取る。久生十蘭、といえば、私の愛読書の『翻訳家の蔵書』の著者大瀧啓裕は、若い頃に久生十蘭狂いだったそうで、そこから日夏耿之介へとシフト、このあたりの話は抜群に面白い。
久生十蘭といえば、私はあんまり詳しくないので、この本を買ってもよくわからないだろうが、然し、とても魅力的な書影である。よく識らない作家を、これから識りたくさせる、そういう装丁、そういう仕事が真の編集者の仕事であり、作家の義務である。
まぁ、久生十蘭は充分に有名だろうが、然し、異常に知名度の高い作家の紹介ばかりする人間は編集者失格である。
なーんて他人事だから好き勝手言えるんだよネ☆然し、2,970円という衝撃プライスに慄き、私は逃げ出した。
で、私は結句、本の雑誌の特別編集である『神保町』特集を買ってしまった。
1,980円である。映画が1本鑑賞できる。然し、これは恐らくは総集編的なものだろうが、神保町にまつわる書店、人々などが多くの記事や対談と共に掲載されている、まぁ、なんとも読み応えのある分厚い本(いや、気持ち的な分厚さかな)。
1,980円は今の私には痛かったが、然し、ここで買わなければ、私は永久にこの本を買うことが出来ないだろう。ええい、ままよ!とままにレジに向かうと、ブックカバーはおつけしますか?と尋ねられて、無論だ、と答える。
以前、私は書店でアルバイトをしていたことがあり、その時にシコシコとブックカバーを折っていた。ブックカバーは、初めからブックカバーとして存在するのではない(え?そうだよね?)。
書店員が手ずから丁寧に折り続ける。そうして、その根気ある作業の結果、お客様のお買い求めの本が守られるのである。
本を読むときに、いきなり帯を外す方がいる。帯は50年くらい経てば、それだけ10万円20万円のバリューが生まれるのかもしれんねんで!とお説教したくなる。さらに、読みにくいから、という理由でカバーを外して読み出したり、中に閉じられている小さな冊子などを真ん中から取り出し一番前の頁に挟むなど、私には常軌を逸した行為に思えることに及ぶ御仁もいる。
まぁ、そんなものである。本なんて、そんなものである。読み方なんて、千差万別。
さて、まんだらけ、ではないが、最近ちょっとしたお高いものを買った。またnoteで紹介したいと思う。
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