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ロバート・ハインデルとエドガー・ドガ


ロバート・ハインデルという画家がいる。
1980年代に活躍した画家で、現代のドガと呼ばれている。

エドガー・ドガも、ハインデルも、踊り子を描いた。

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踊り子を描いたのは、日本にも小磯良平がいる。

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小磯良平の美術館が神戸の六甲アイランドにあるが、とても空いていて快適である。
私は六甲アイランドが好きだ。あの、どこまでも続く空、そして、人気のない、人工の街。

その人工の街にあるからか、小磯良平美術館は静かだ。

東京や京都、大阪の有名な展覧会には、尋常じゃないほどのお客さんが押し寄せて、ベルトコンベアになるのが常なわけで、私は憎んですらいる。けれど、夜の岡崎公園とかで暗闇に佇む近代美術館はだいすきー。小磯良平美術館では、めちゃくちゃ広いスペースにたくさんの絵が飾られていて、ほぼ絵と自分だけという誠に贅沢な時間を体験できた。

小磯良平の絵を観ていると、和田三造の絵を思い出す。和田三造は洋画家で、谷崎潤一郎や横山大観との対談本も出ている。映画の衣装の色彩監督もした人である。
和田三造もまた、踊り子の絵を描いている。

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谷崎潤一郎の『春琴抄』の絵を描いていて、これは汎ゆる『春琴抄』絵画のマスターピースではないか。

この絵がオークションに出ていた。数万くらいで、画伯直筆です!と説明書きにあったが、愚か者め、本物は谷崎潤一郎記念館が保管してるわ!と、購入した人が可哀想案件であった。

まぁ、踊り子というものは、元々は巫女であり、娼婦としての側面もあった。
芸術家は、その妖艶な姿に、時代が変わり役割が変化したとて、惹きつけられるのだろう。

ドガの踊り子は不気味で、然し、一度観たら忘れられない。
川端康成は『花のワルツ』や『舞姫』(鴎外じゃないよ)などの踊り子をメインに据えた作品を書いていて、その中でもドガに触れている。

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ロバート・ハインデルの絵はドガの影響を受けているとは思うけれども、然し、ドガや小磯良平のような肉体性/官能性はそこに存在していないように思える。

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1980年代のアメリカ、或いはバブルの日本のような、現実感のない古ぼけた未来。どこまでも二十世紀なのである。
この二十世紀の感覚、私はどこかで感じたことがあって、どこだろうかと考えると、ああ、六甲アイランドだと思い当たる。
あの人工の街。人気のない、青空と夜空と星だけ浮かぶ、あの街と、ハインデルの絵の持つ匂い、それは懐かしい未来のように、私には似通って映る。



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