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ビブリオマニア
ビブリオマニアとは書物狂いのことである。
『ビブリア古書堂の事件手帖』という小説もあったが、あれは私は読んでいないが、私もなかなかにビブリオマニアだが、然し、あくまでもニッチである。
最近、生田耕作訳の『愛書狂』を古書で購入した。1,400円だったので、定価よりは安い買い物だが(定価は3,200円)、これはたまたま手にとって、デザインと内容が好きだから購入したのである。
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生田耕作といえば、なんといっても奢灞都館である。奢灞都館は、生田耕作の私設出版部みたいもので、オシャンティな装丁の耽美系作品を多く出版している。
『アラステア画集』(これ、どこかに行って今迷子なんだよな……。どこ行ったんだろ。)など、私も何冊か所持しているが、最近こんなものが出ていたようで、これは欲しいなぁ……と、オシャレな本の写真にうっとり。
で、『愛書狂』には5人の作家の5つの古書にまつわる話が載っていて、まずはフローベルの『愛書狂』を読むが、なんだ、このデジャヴ……。この話、どこかで読んだような……、と思ったら、ちくま文庫で出ている『書痴まんが』に掲載されていた漫画で既に読んでいた!なんというか、始めに漫画や映画とかで読むと、小説を読む気が無くなってしまうんだよなぁ……。まぁ、それぞれは違う媒体なので、それぞれに面白いんだけどね……。
で、短編のアレクサンドル・デュマの『稀覯本余話』は非常に面白く、稀覯本にまつわる蘊蓄が語られるだけの話であるのだが、こういう、オタッキーなアイテムにまつわる話というのは、いやー、読んでいて最高に楽しいね。知識欲が満たされていく。私は肉体的には日々衰えているが、魂のレベルはアップしていると思いたいところだ。知識と経験はその拠り所だ。
作中のビブリオマニアたちは、常人には理解できない価値観の持ち主が多い。今でも、初版本や署名本には数万〜数十万、はては数百万円を出す人もいるわけで、狂気の沙汰であるが、人間とは物語にお金を払うものなのだ。
これは古美術でも同様。希少価値、創り手のストーリー、バッググラウンド、そういった、お金には換算できない価値と、自分自身が感じる価値とで、天井破りの価格になっていく。
私も欲しい本はたくさんあるが、それも私と同じように、物語に惹かれた買い手が多いため、値段が高いものが多い。
古書の世界は奥深く、私などはその大海の白波の一つしか見えていない。だから、毎日が勉強で、なかなか楽しいものである。