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文学と古書

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文学と古書の記事を中心に。
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記事一覧

この世の果てまで後をつけるといふと、その人を殺してしまふしかないんだからね。川端…

川端康成の小説に、『みづうみ』という小説があって、これは所謂川端康成の「魔界」を描いた小…

雪雪
1年前
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谷崎潤一郎の映画『お遊さま』と甲斐庄楠音

Amazon primeで『お遊さま』を観る。 溝口健二監督の映画で、タニジュン、即ち谷崎潤一郎原作…

雪雪
1年前
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塚本邦雄の暗黒小説 『父さん鵞鳥嬉遊曲集』

塚本邦雄といえば、絢爛たる短歌の大家であるが、そんなツカモンは小説もいっぱい書いていて、…

雪雪
1年前
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映画『狂った一頁』と小説『たんぽぽ』

川端康成脚本の映画に『狂った一頁』というものがある。 これは1926年の映画なので、大体1世…

雪雪
1年前
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村上春樹を読みたいが、読めない

村上春樹の新刊が今年の4月に発売されるのだという。 タイトルも、内容も、まだ未発表。 私は…

雪雪
1年前
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私の夢  文章について思うこと

兎角言葉に世知辛い時代である。 言葉、というのは刃物であって、上手く扱わないと自分も怪我…

雪雪
1年前
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書店の文学コーナー、エンカウント率低すぎ問題

私は本屋さんを愛している。本屋さんか映画館さんが落ち着くのである。 本屋に行くと、まずは文藝コーナーに行く。評論とか、作家評伝が置いてあるような場所である。 noteでは、たくさんの人が文学について語っており、文学はたくさんの人に愛されている。然し、私が行くと大抵そのコーナーには人の気配はない。 ガチで100回訪って、3回遭遇するくらいのレア度である。 つまり、noteに文学好きが集っているだけであり、やはりマイノリティなのである。これが私のマイノリティ・リポートだが(私

小説における魔術、或いは奇術

戦争から、きらめきと魔術的な美がついに奪い盗られてしまった。 とは、映像の世紀のナレーシ…

雪雪
1年前
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私は私でしかないのだから

世の中には優れた傑物がたくさんいる。 文章でもそうだ。なので、人は文章の巧い人を崇めて、…

雪雪
1年前
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小説家の誕生と死亡 久坂葉子

小説家志望の方は巷に溢れている。 恐らくは、日々したくない仕事で糊口をしのぎ、空いた時間…

雪雪
1年前
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蝙蝠か燕か 没後弟子の矜持/西村賢太

西村賢太氏の『蝙蝠か燕か』を購入して読む。 方方の書店を巡ってようやくゲットしたが、発売…

雪雪
1年前
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貧乏で書くか、金持ちで書くか。

川崎長太郎は私小説家であり、住んでいる家に激烈なインパクトを齎す作家である。実家の物置、…

雪雪
1年前
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虐待文学『にんじん』 を食べて強くなるということ 

虐待文学、という類の小説群が存在する。 或いは、絵画、漫画、映画、アニメーション、汎ゆる…

雪雪
1年前
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神西清の『垂水』と谷崎潤一郎の『細雪』/大正昭和の貴族精神

神西清はロシア文学の翻訳者として識られている。 チェーホフの作品の戯曲の訳などで、三島由紀夫とも縁がある。 なので、三島由紀夫は神西清の小説も大変褒めているが、然し、三島由紀夫は文学に関しての様々を、読み過ぎではないかと思う。 神西清は小説作品も多数あり、青空文庫で読めるが、私は全部読んではいない。とにかく、文章があまりにも美しいために、屡々理解が追いつかない。 2008年に、小出版社の港の人から作品集が発売されている。 『垂水』は日本の貴族階級の人々の話ではあるが、