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【徒然草 現代語訳】第百八十一段

神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

ふれふれこゆき、たんばのこゆきといふこと、よねつきふるひたるに似たれば、粉雪といふ。たまれ粉雪といふべきを、あやまりて、たんばのとはいふなり。かきやき木のまたにとうたふべしと、ある物しり申しき。昔よりいひけることにや。鳥羽院をさなくおはしまして、雪の降るにかく仰せられけるよし、讃岐典侍が日記に書きたり。

翻訳

「降れ降れ粉雪、丹波の粉雪~」という詞は、ついた米をふるいにかけて残る糠に雪が似ているので、粉雪と云う。本来は「たまれ粉雪」と云うべきところを、云い誤って「丹波の」になっているのだ。この歌は続けて「垣や木の股に~」と歌われてしかるべきであると、とある物知りが云っていた。はてこれは昔から云われていることなのかしら。ともあれ鳥羽院がご幼少の砌、降る雪をご覧になりこう仰られたことを、讃岐典侍が日記に書き記している。

註釈

○鳥羽院
第74代鳥羽天皇。堀川天皇の第一皇子。崇徳天皇、近衛天皇、後白河天皇の御代に30年近くにわたって院政を敷いた。笛の名手として名高い。

○讃岐典侍
さぬきのすけ。堀川天皇、鳥羽天皇に仕えた女官。


上記の「ふれふれこゆき~」の歌は、文献に残る最古のわらべ歌だそーです。

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