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【徒然草 現代語訳】第百七十四段
神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。
原文
小鷹によき犬、大鷹につかひぬれば、小鷹にわろくなるといふ。大につき小をすつることわり、誠にしかなり。人事多かる中に、道を楽ぶより気味深きはなし。これ實の大事なり。一たび道を聞きてこれに志さむ人、いづれのわざかすたれざらむ、何事をか営まむ。おろかなる人といふとも、かしこき犬の心におとらむや。
翻訳
小鷹狩り向きの犬を、大鷹狩りに用いてしまうと、小鷹狩りには使えなくなるという。大に就き小を捨てるの真理、まったくもってその通りである。人の所業はあまたあれど、仏道に勤しむより奥深いものはない。人として生まれてきて最も重要なことと云える。ひとたび仏に導かれ、その道に専心すると決めた者は、ほかのあらゆる雑事を捨て去ることが出来るし、それ以上に大事な生業なぞあろうはずもない。どれほど愚かな者であろうと、賢い犬よりかなんぼかマシというものではないか。
註釈
○小鷹
小鷹狩り。秋に行う鷹狩りで、ハヤブサなどの小型の鷹を使ってウズラ、ヒバリ等を獲る。
○大鷹
大鷹狩り。冬に大鷹の雌を使って行う鷹狩り。ウサギ、鴨等を獲る。
三島由紀夫の曾祖母の名前は松平鷹といって、常陸宍戸藩主松平頼位(よりたか)の娘です。三島由紀夫には大名の血が流れていました。