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【徒然草 現代語訳】第百三十二段
神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。
原文
鳥羽の作道は、鳥羽殿建てられて後の号にあらず。昔よりの名なり。元良親王、元日の奏賀の聲甚だ殊勝にして、大極殿より鳥羽の作道まで聞えけるよし、李部王の記に侍るとかや。
翻訳
鳥羽の新道は、鳥羽殿が立てられてから付けられた名称ではない。それよりもはるか昔からある名である。元良親王が元旦の祝辞を述べられた際、そのお声があまりに麗々しく雄渾で、なんでも大極殿から鳥羽の新道にまで聞こえたとか、李部王こと式部卿重明親王の日記に記されているそうでございます。
註釈
○鳥羽の作道
読みは「とばのつくりみち」。
○元良親王
もとよしのしんのう。第五十七代陽成天皇第一皇子。百人一首に採られた「わびぬれば今はた同じ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ」の歌で名高い好色漢。
○李部王
読みは「りほうおう」。李部は、式部の唐名。重明親王。第六十代醍醐天皇第四皇子。当代きっての風流人。日記は現存しない。
文章に多少ぎくしゃくしたところがある分、一気呵成に書いたものならではの疾走感があり、読ませます。
独りが嫌なら一人でいるに越したことはありません。